性的同意は世界を救う 子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのこと
- 時事通信出版局 (2025年1月24日発売)
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感想 : 11件
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784788720107
作品紹介・あらすじ
性犯罪再犯防止プログラムにおける
包括的性教育の取り組み「性的同意は世界を救う」プロジェクト
■男子の子育てをしている保護者に役立つ知見を抽出
追って詳しく見ていくが、性加害者たちの実態は、多くの一般の方たちが想像しているであろう、「性欲が異常に強く、抑制が効かない人間」というわけでは決してない。加害者臨床の視点からは、むしろ、何らかの要因で生きづらさやコンプレックス、困難さを抱え、「自己治療」の手段として、加害するといったケースのほうが目立つ。
つまり、誤った「自己治療」やストレス・コーピングの手段を選択しているというのが、多くの性加害者の姿であるというのが私の実感である。
そうであれば、治療環境の調整や再犯防止スキルを身に付けることはいうまでもなく、生きづらさを少しでも軽減し、さらに、性暴力を自己治療の手段としてはいけないことであるという再学習が達成できれば、性加害から距離を置くことは可能となるはずというのが、私たちの結論である。そして、この本は、得られた膨大な結論の中から、男子を育てている保護者などに役立つ知見にフォーカスして、6つのテーマでお届けするものである。
①性を「言語化」する
②AVとの付き合い方を考える
③ソロプレイ(いわゆるマスターベーション)の不安を取り除く
④子どもが「自立」できる人間関係を築く
⑤性を自己決定する
⑥誤った「男らしさ」から解放される
ぜひ多くの関係者にこの本を手にとっていただき、子どもたちを性暴力の加害者にも、被害者にも、傍観者にもしないためには何が必要かを話し合うきっかけにしてもらえたら幸いである。
(本書「はじめに―本書ができるまでの経緯と刊行の目的 斉藤章佳」より)
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
性教育の重要性とその実践がテーマとなっている本書は、特に性犯罪再犯防止に向けた新たな視点を提供します。性加害者が抱える生きづらさや感情の言語化の難しさを理解することで、彼らの行動を変える可能性を探りま...
感想・レビュー・書評
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【目次】
はじめに①:本書ができるまでの経緯と刊行の目的(斉藤章佳)
はじめに②:性犯罪加害者臨床において包括的性教育を実施して見えてくるもの(櫻井裕子)
第1章
今日から性の「言語化」を始めよう
「語り」を奪われがちな性加害者たち
「男らしさの呪い」が「語り」を遠ざける
親の「聞く力」の重要性
どんな話でも否定しないで、口を挟まずに聞く
最初は子どもが下品な言葉で性を表現しても構わない
知識を伝えられなくても、子どもと性を語れれば十分!
子どもが日常で「本当の自分」を見つけられる手助けをする
親の過剰な性的嫌悪が子どもに与える影響
性欲にブレーキを掛けられるようになって思春期を迎えるという事実
性欲を感じることを不安にさせない
性欲、勃起、射精の思い込み
性欲よりも「支配欲」が危険
性加害の犯罪性を薄めるような社会の風潮
「歪み」を歪みとして捉えられる力を育む
特別COLUMN:賞味期限切れのサンドイッチ
第2章
AVとの付き合い方を考える
子どもが性を学ぶツールはほぼAVという現実
はじめて見たAVの衝撃で人生が変わってしまった性加害者の話
ポルノを見る前に男の子に伝えていきたいこと
AVで新たな「条件づけ」が生成される可能性も
スマホが劇的に変えた子どもたちをめぐるポルノの環境
私たちのセックスはAVに影響を受けている
AVを見て感じる「男根コンプレックス」
女性の膣について理解できるとコンプレックスから解放される
女子もAVの影響を受けている
「男らしさ」「女らしさ」から脱して生きる
第3章
ソロプレイ(マスターベーション)を大切にする
性依存症者に必ず自慰行為の回数を聞く理由
ソロプレイそのものではなく,「強迫的な自慰行為」が問題
性依存症患者に「オナ禁」をすすめた結果
自分の自慰行為を言語化する
ソロプレイについて子どもたちに最低限伝えたいこと
子どものソロプレイが不安な保護者の方へ
ソロプレイの原点
第4章
「人間関係」の距離感をつかむ
性について突き詰めていくと「人間関係」と「家族」に行き着く
人との触れあいを「気持ち悪い」と感じる性加害者
加害者家族に多い「母子密着で父親不在」というモデル
まずは親が自分の人生を大事にすること
子ども時代に必要なことを経験することの重要性
子ども時代に自然に「自助グループ」を経験しておく
女性の月経を理解できる男子を育てる
第5章
セックスを自己決定する力をつける
セックスに対する男女の認識の違いを知る
セックスしてよい基準はどこにある?
失敗してもよいというメッセージも必要
「不幸にしないための性教育」ではなく「幸せになるための性教育」を!
「ゼロトレランス」と「ハームリダクション」
第6章
誤った「男らしさ」を手放す――父から息子たちの手紙
おわりに -
信州大学附属図書館の所蔵はこちら→ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD10306046
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静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓
https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=e3mfjZ1cQIX5h0n893tL%2Fw%3D%3D -
367.9
2025/9/3 -
性犯罪加害者に対して、包括的性教育プログラムを実施した著書らの対談集。
包括的性教育が加害者にどう影響を与えたのか、まだはじめて2年なのでデータも出ない段階ではあるが、あまり詳しくは書かれていない。
プログラム参加者の反応がどうだったかの記述が多くないため、話の流れが分からず、読み進めながら、なんでこの話をしているのだろう、再犯防止プログラムとどう繋がるのだろう、と思う箇所がいくつかあった。
この施策によって、加害者が再犯防止プログラムに参加するモチベーションは上がっているようだが。効果はこれから明らかになるのでしょう。
MEMO
第一章 今日から性の「言語化」を始めよう
性犯罪加害者は感情の言語化がうまくできない。言語化の能力の高い人の方が、回復可能性が高い。「泣くな、男だろ」などの、「有害な男らしさの呪い」で、感情を抑制されてきた。
周囲の大人の受け止める力が大事。子どもは頭ごなしに否定せず受け止めてくれる人に発信する。
性欲が強いから性犯罪を起こす、というわけではない。
セックスに至るまでの時間や手間、言葉などのどれかを、飛ばすか省いてしまうのが暴力。
性欲原因論(性欲はコントロールできない)が、加害者が自分の加害行為を過小評価して、被害者が自分を責める逆説的な状況に繋がっている。
自己肯定感を高めるではなく、自己受容。
イヤよイヤよはマジでイヤ!
第三章 ソロプレイを大切にする
加害行為の前に、ソロプレイの回数が増える事がある。
第四章 「人間関係」の距離感をつかむ
子育てをしている人に伝えたいのは、育児しながらも自分の人生を生きることが大事だということ。
第五章 セックスを自己決定する力をつける
避妊しないのは、性加害の一つです。
可能性と選択肢を知って、選択する力を身につけられてはじめて「同意」ができる。
男性は射精でセックスが終わるが、女性は次の生理が来るまで終わらない。 -
正しい性教育が性犯罪を無くすと言う単純なものでは無い。
加害者は複合的な原因により犯行に至る。
思春期の性知識への関心は抑圧され、心理的安全性を保ちながら正しい知識をつけて行くのが難しい現状がある。
子供や下の世代に何を伝えていけるか考えたくて手に取った。
すぐに何か伝えられるわけでは無いけど、国際セクシュアリティ教育ガイダンスは見てみよう。
著者プロフィール
斉藤章佳の作品
