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Amazon.co.jp ・本 (279ページ) / ISBN・EAN: 9784788908116
感想・レビュー・書評
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インスタントカメラだけでなく様々な革新的アイデアで世界を席巻。しかしデジタル化の潮流に乗れず、カリスマイノベーターの亡霊と写真品質の呪縛から逃れられず、やがて破綻。もちろんこれはポラロイド社の興亡物語だが…はて?どこかで似たような話を聞いたことはないだろうか?そう。半導体や液晶といった、日本の電機産業そのもの。対岸の火事ではないということは歴史が証明している。
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この手の創業者の伝記が少ないように思う。それともポラロイドのランドのような人物がいないのか。
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ポラロイドカメラ。
これだけスマホが普及して、誰でも簡単にどんな時でも写真を撮れるようになったけれど、ポラロイドカメラ以上に写真でコミュニケーションが生まれるツールは他にはないと思います。
そして、あの白い縁。
四方を囲む縁取りで、下の部分だけが太くなっているあのバランスは、文字を書き込むにも最適だし、写真としての美しさも引き立てると思います。
その、ポラロイドカメラを作りだした人物、エドウィン・ランドについて書かれた本です。
帯に『スティーブ・ジョブズが"国宝"とまで呼んだ』とありますが、ランドという人物はジョブズにすごく似ていると思います。
彼はもともと科学者でした。
けれど、科学だけにのめり込んでいたわけではありません。
芸術や音楽についても詳しかったようです。
想像力って一つのことに打ち込んでいるだけでは生まれないのかもしれません。
いろいろなことを知って、その知っていることがお互いに作用しあって、いいアイディアは浮かぶのかもしれないと思いました。
本を読むと、彼の独創的な発想力とその発想を形にできるだけの技術があってこそ、ポラロイドカメラは生まれたのだとわかります。
現在ようやく普及し始めている3Dも、彼はとっくの昔にどうすればそう見えるかの構造を理解し、実際に製品を作っていたのには驚きです。
スティーブ・ジョブズがアップルの製品の美しさにこだわったように、ランドも製品の美しさにこだわりました。
本の中にはいくつもの製品や広告がカラー写真で紹介されています。
それから、アーティストたちがポラロイドカメラを使って制作した作品も収録されています。
アンディー・ウォーホールのポートレートやトーキング・ヘッズのアルバムのジャケット写真などこれらも全てカラー。
だから、この本はとても美しいと思いました。 -
今回は、「本が好き!」様からの献本です。ありがとうございます。
常識では考えらないものを作り出す人というのは、個性のn乗と言っていいくらい尖っている。そうでないと既成の枠という壁を破り、新たなものを創造する日は永遠にやってこない。
今回の本は、エドウィン・ランドというポラロイドカメラの生みの親とポラロイド社の歴史に焦点を当てている。
こういう経営者のそばにいる人はたまらないだろうなあ。何しろ夜中でも電話で思いついたことを聞いてくるとある。仕事大好き人間で、今はやりの「ライフ&バランス」など念頭にない。一歩間違えると今の時代だと「ブラック企業」扱いされてしまう。この会社を踏み台にして将来起業してやると言う鼻息の荒い方には向いている。
今回の東京のオリンピック招致活動でも発揮した自己アピール能力は、ポラロイドでも発揮された。東京オリンピックの場合、イギリスのコンサルタント会社を活用したとニュースで報道していた。キャッチコピー、宣伝に使うポスターなどなかなか凝っている。黙っていれば物が売れるわけではないので、プレゼンテーション能力の高さがモノをいう。
そんなポラロイドでも、ビデオカメラや携帯電話の勢いには勝てず隅に追いやられていき、破産という地獄を見てきたがそれでもそう簡単に消えてなくなるほどの甘ちゃんではなかった。「ポラロイドは単なるカメラではない。いわば生き物なのだ」と最後に著者が述べているように、ポラロイドが必要なものであると人々から認識されている限り、存在し続ける。
ポラロイドのたどる浮き沈みや、写真の数々は本を読んでのお楽しみ。
千葉敏生の作品
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