時間栄養学―時計遺伝子と食事のリズム

  • 女子栄養大学出版部
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789554336

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  • 目次:第1章 時間栄養学の概略、第2章 時計遺伝子と食餌リズム、第3章 肝細胞の時間栄養学とコレステロール代謝の制御、第4章 からだのリズムと栄養、第5章 脳卒中・血栓症の時間栄養学、第6章 時計遺伝子による脂肪細胞機能

  • 498.56-カガ 300272820

  • ・海馬にもグルコースの供給が行なわれている。⇒学力にも影響、朝食の重要性

    ・時計遺伝子は自分でリズムを作る。もしも明暗が変化しない密室で生活すれば、25時間の周期で睡眠・覚醒が起こる。地球上では24時間で昼夜が代わり、これに応じて生物が効率よく活動していくために、毎朝、光を浴びて主時計遺伝子が時間の針を朝に合わせて24時間の日周リズムを保っている。これに対し末梢時計遺伝子の位相は朝食で決まる。一定の時間に食餌を与え続けると、食餌を与えなくても、その時間に活動が活発になるという予知行動を起こす。⇒この主時計と末梢時計が同じ周期で働くことが重要。朝食をとらないと同調がうまくいかない。

    ・概日リズムは、時計遺伝子の調節部位(Eボックス)に正の制御因子(CLOCK+BMAL1)が作用して、負の制御因子(PERとCRY)を合成するため起こる振動。具体的には、時計遺伝子の調節因子部位であるEボックス(塩基配列CACGTGの部分)に、正の調節因子であるCLOCKとBMAL1の二種のタンパク質の異種複合体が結合して、負の調節因子であるPER、CRYなどのタンパク質の合成を行なう。PERとCRYはCLOCK-BMAL1の作用を阻害→PER、CRYの生産が減少→CLOCK-BMAL1の作用が回復。つまり25時間の周期でPERとCRYが増減するリズムが生じる。⇒時計遺伝子はさまざまな酵素の増減に関与し、代謝、栄養、心身の諸活動を制御している。

    ・生活のリズムの乱れ(時計遺伝子の乱れ)が運動能力を低下させ、耐糖能が低下し、代謝が異常になって、それが肥満の原因になる。

    ・朝食欠食分だけエネルギー摂取が減るのに、欠食者に肥満が起こるのはなぜ?⇒①欠食者の心身活動の減少、②糖新生反応による筋肉タンパク質の分解と体力低下、③代償的な昼夕食の増加と血糖の急上昇、④時計遺伝子の防御反応→非常時に備えて脂肪の合成が促進。

    ・給餌性リズムの乱れがPGC-1aに影響して運動機能が低下する→PGC-1aはミトコンドリアの形成を促進し、運動に必要な筋繊維を作るといったPGC-1aの遺伝子活動でメタボリックシンドロームの改善に繋がる⇒朝日、朝食がPGC-1aに変化を与え、肝臓の末梢時計遺伝子の活性を高める。栄養指導では、時計栄養学の原理にしたがうことも大事。

    ・カルシウムは朝食で摂取する人が多いが、カルシウムは夕方から蓄積されるため、夕方に摂取するほうが効果的。骨の保護剤は朝に摂取することが望ましい。

    ・生命は開放系の非平衡系の、散逸構造を持ってエネルギーを消費しながら、エントロピーを負にする、非線形性を持ったもの。生命とは代謝、もしくは代謝回転、代謝による自己組織化であり、代謝は栄養素を取り入れて化学変化させることであり、生命は食べることそのものである。

    ・末梢の臓器、すなわち肺、肝臓、腎臓、心臓、筋肉などに時計遺伝子が発現している。発現パターンは、脳も末梢も類似しているが、それぞれ位相が異なる。⇒きちんとした体内時計ということをオーケストラに例えると、視交叉上核は指揮者の役割であって、それが乱れると、それぞれのパート(臓器)が勝手に演奏してしまう。→全体が乱れる(肝臓の場合、コレステロールの代謝異常など)


    ・さまざまな体内時計
    ①日周リズム→朝食で体内時計をリセット。②週周リズム→体重調節や肥満予防には、摂取エネルギーと消費エネルギーの一週間のバランスが大切。③月周リズム→女性の性周期。エストロゲンの分泌が低下している月経前後は食欲が高くなり、LPLの増加により、脂肪組織での脂質の取り込みが促進されるため、この時期に甘いもの、脂っこいものを食べ過ぎると肥満になりやすい。更年期は、エストロゲンの分泌、働きが低下し、月経前後と似ており、太りやすい時期。逆に排卵前後に分泌されるエストロゲンは、HSLを活性化し、体脂肪の分解を促すため、持続性のある運動で肥満の改善に繋がる。

    ・冬季に骨折が多い理由⇒冬季は紫外線量の低下により生体内で合成される活性型VD3が減少するため、食事からVD2、VD3、カルシウムの摂取を心がける。

    ・血中副腎皮質ホルモンの日周リズムは、明暗より摂食サイクルに依存。また、ホルモンのリズム形成には消化管経由の規則正しい栄養摂取が不可欠。

    ・時刻によってナトリウムと塩素の排泄に違いがある。夕食後に食塩の尿排泄が多い。⇒食塩摂取の制限は夕方には多少緩めることが可能?

    ・夕方の運動では、乳酸は速やかに血中に放出される⇒運動能力に優れる

    ・夕方の運動によって著しく成長ホルモンが分泌されるには、時間栄養学的にタンパク質、カルシウム、ビタミン類などを昼食時に摂取することが体力づくりに重要。

    ・運動競技の前の食事には、粉食より粒食(米飯)が、より効果的

    ・必須脂肪酸の欠乏とキレる子どもの関係

    ・BMAL1が高血圧、2型糖尿病に密接に関係している。また、メタボリックシンドロームの患者の内臓脂肪と皮下脂肪では、BMAL1の機能が異なり、皮下脂肪の場合正常に働いているが、内臓脂肪では機能が阻害されている。⇒BMAL1の発現そのものが、PCG-1aやPPARaなどの脂質代謝を調節する転写因子によって制御されている。

    ・BMAL1は血管内皮以外の全ての組織にて発現。BMAL1の欠損→低体重、脂肪細胞の萎縮、顎関節症の発症、運動不全、脱水症状

    ・脂肪組織はホメオスタシスの調節に関与する。脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの例としては、レプチンに加え、アディポネクチン、PAI-1、TNFaなどがあげられるが、これらの量的バランスの変化がメタボリックシンドロームの発症原因となる。⇒生体がホメオスタシスを保つには、適切な数、大きさ、機能を有した脂肪組織が必要。

    ・脂肪細胞の特異的な機能発現には、時計遺伝子が関与している。⇒脂肪細胞から分離される遊離脂肪酸やレプチンの血中濃度に概日リズムが存在する。

    ・BMAL1の過剰発現で脂肪酸、コレステロール合成に関わる遺伝子群は増加、β酸化、脂肪酸分解の遺伝子は低下。BMAL1は、脂肪酸合成にかかわる転写因子を誘導し、その下流にある酵素群を誘導する。BMAL1により、制御される遺伝子には、概日リズムがある。⇒BMAL1は脂肪酸の合成を促進し、分解を制御することによって、脂肪細胞の分化を制御している。

    ・脂肪細胞における時計遺伝子の働きは、他の末梢組織とは異なる。

    ・骨形成にも時計遺伝子が積極的に関与している。

    ・疾病発症と時計遺伝子との関連を明らかにすることが課題。

  • 食事時間が、その際に食べる内容が同じものでも食べるにしても消化吸収に影響する。
    ただ、食べたらいいのではない話が紹介されています。どんな栄養をいつ食べるかを研究されてきた話です。

  • 20111025 たけしの健康エンターテイメント(テレ朝)

    時計遺伝子の活用。

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著者プロフィール

女子栄養大学 副学長。
東京大学医学部医学科卒業。信州大学医学部教授、自治医科大学教授、女子栄養大学大学院教授などを経て現職。自治医科大学名誉教授。専門は生化学・分子生物学・人体栄養学。
著書に、『食べる量が少ないのに太るのはなぜか』幻冬舎刊、『なぜ午後6時の夕食は太らないのか? 時計遺伝子ダイエット』集英社刊、『科学が証明する 新・朝食のすすめ』女子栄養大学出版部刊、『今すぐ始めよう! 早起き早寝朝ごはん』 共著 少年写真新聞社刊、『時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム』編著 女子栄養大学出版部刊。

「2016年 『げんきいっぱい あさごはんのじゅつ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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