佐々木敏の栄養データはこう読む!

著者 :
  • 女子栄養大学出版部
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789554428

作品紹介・あらすじ

「和食」は本当に健康食か?ダイエットは糖質か脂質か?栄養健康情報はどこでゆがむか?「根拠に基づく栄養学」がその問いに答えます。

感想・レビュー・書評

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  • 大学の時に買った本を再読。

    食を扱う人の必須知識が詰まっている本。
    疫学の観点から臨床栄養学や食品化学まで幅広く書かれている。
    誤解されがちな通説を、エビデンスをもとに解説しているから分かりやすい。特にコレステロールについては誤解が多いので、驚く人も多いのでは。

    最近は食品学とか栄養学とか、根本的な部分から離れていたので、いい復習になった。基本を理解しておくのは大切だと再認識。

  • EBNの解説。健康情報について考える。
    栄養データの評価と考え方。通称、用語、疫学データの検索の仕方、見方、バイアスについて。
    結果重視の考え方であるが、利用目的により、使い方に、ゆらぎがありそうだ。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB18381980

  • 世間に流布する栄養に関する通説を図解しながらわかりやすく検証、解説。栄養疫学に対して一般人が陥りやすい誤解の構図についても、説明を試みる。難しい内容ではなくて、朝食をとらないと本当に太るのかとか、ワインは健康をもたらすかなど、民間目線で、わかりやすい。

    トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の問題、ビールじゃなくても、アルコール自体が尿酸の体内生成に影響する事などはよく知られた話かと思う。

    ただ、この本で初めて勉強になった事も多い。ライトな所では、朝飯を抜くとなぜ太る?やはり、当然ながら朝飯を抜けば、その分の摂取カロリーは下がる。ならば太るのは、その反動による間食が原因だろう、と考えていたが、寧ろ、朝飯を抜く層の怠惰傾向によるもの。それと衝撃的だったのは塩分と高血圧の話。年齢を重ねるほどに血圧が上がるのは、若い頃からの塩分の蓄積だと。

    本著は、栄養(摂取)メインだが、もう一歩踏み込んで運動(消費)の影響ついても知りたくなった。

  • とても気軽に読めて、情報を正しく読み取り、生活に活かす力を身に付けられる。

    ブリューゲルのカバー挿絵もいい。

  • 野津あきこ先生 おすすめ
    23【教養】498.55-S

    ★ブックリストのコメント
    エビデンスに基づいた栄養学の書籍。コレステロール、尿酸、アルコールの話、必要カロリーの話など栄養指導をするときの根拠がわかりやすく整理されています。

  • 栄養疫学などと言うと難しく聞こえるが、トクホとか機能性表示食品といった食品を対象に「○○の効果がある」と言われているものが、その根拠を測定するために行われているものといったイメージだろうか。そのほかにも、不飽和脂肪酸と動脈硬化とか、塩分と血圧といったなじみ深い食品と健康の関係などもカバーしているらしい。
    「○○を食べると××に効果がある」とか、「△△ダイエット」といったテレビ受けしそうなネタもその一種だが、塩分の取りすぎが高血圧を招くといった多数の研究があるものと違い、にわか研究は、様々なバイアスを含んでいて、実験や観察のコントロールも不十分なものが多く、簡単には飛びつかない方がいいという著者の指摘は実にもっとも。まともな研究者によるまともな栄養学・栄養疫学の本と言えよう。

  • やっぱり栄養疫学はおもしろい!

  • 栄養疫学の真髄がわかりやすく書かれていて、とても読みやすいです。栄養疫学を知らない人も面白く読める構成になっていると思います。章ごとに簡潔にまとめられており、さらに章末には要点を再掲されているので、理解も深まると思います。

  • XX式、XX流等の健康Hack系書籍を読む前に本著に書かれている基本をきちんと抑えるべき。脂質、塩分、アルコール、肥満等で巷に飛び交う情報の真贋を、エビデンスに基づいて端的に結論を教えてくれる一冊です。

  • 【新着図書ピックアップ!】
    表紙を見ると美術系の本かと思いますが、内容は栄養疫学。生活習慣病に関連する「あぶら」や「塩と血圧」、メタボ「肥満」など健康番組でもよく耳にする話題を扱っています。根拠となるデータや図が多く掲載、それらをわかりやすく解説しており「栄養リテラシー」の項目も興味深い。

  • EBM(Evidence Based Medicine)と同様にEBN(Evidence Based Nutrition)を提案している。
    データに基づいて食と栄養を考えよという主張はすごく同意する。定量的に考えてあやしい健康法にとびつかないの大事。

    データを読むときの交絡(疑似相関)の問題についても触れられているが、箇所によっては相関をナイーブに解釈していて不徹底ではある。
    薬と違って食べ物は完全なブラインドでの比較実験ができないので因果関係の証明に困難な点なので個人的には因果関係の分析が不完全だからといって主張を全て無視するべきではないとは思う。

    以下具体的な内容のメモ。短く言うと: 魚とナッツと植物油と非精製穀物と果物(ジュース不可)がよい。肉の脂や乳製品の脂はよくない、赤身肉と加工肉はよくない、極端な高たんぱく食は一部の人にはよくない。酒はほどほどに。

    コレステロール
    - フィンランドでは1970-1980年代に牛乳と乳製品の飽和脂肪酸摂取を減らすことで心筋梗塞死亡率が減った。
    - 食品からのコレステロール=血中コレステロールではない。血中コレステロールはコレステロールとリポたんぱく質(脂質+たんぱく質)がくっついたもの
    - キースの式: 摂取コレステロールは√(0.5乗)で効く。飽和脂肪酸はコレステロールを上げ、多価不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる。日常の食生活では脂肪酸の影響のほうがやや大きそう(※カロリー一定の前提)
    - LDLへの影響は(飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸)=(6.4:-1.2:-2.8)
    - 牛豚の脂肪は飽和脂肪酸が多く、多価不飽和脂肪酸がほぼない(5:2:0くらい)。鶏肉はそれよりよい(2:3:1)。鶏皮は除いたほうが不飽和脂肪酸の比率が高まる。魚はそれよりよい(2:1:2)。大豆油、ひまわり油は多価不飽和脂肪酸が非常に多い(1:2:3)。オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸が多い(2:11:1)。
    - つまりカロリーを増やさないぶんにはサラダ油が非常によい。
    - 表面的なデータでは血中コレステロールが高いほうが死亡率が低いが、老人や肝臓が悪い人はコレステロールが下がるのでその影響を覗くと理想値はやはり160以下。

    中性脂肪
    - 総カロリー一定ならば油脂より炭水化物のほうが中性脂肪を上げる。

    塩分
    - 生活習慣病対策の優先順位: タバコ>食塩>肥満・不健康な食事・運動不足>有害飲酒>心血管系疾患の薬
    - 1日3gの減塩で総死亡率が4-7%も下がる
    - 塩分摂取と血圧の加齢による徐々の上昇は強く相関している。一日3gなら年に0.2mmHgくらい、12gなら0.7くらい。つまり影響は数十年後に現れてくる。
    - 野菜茹でるとカリウムなくなる。蒸しとかスープ食べるとかがんばれ。

    肥満
    - 人は自分の食べたカロリーを過小評価している。たくさん食べるひとほど過小評価の度合いが大きい。

    アルコール
    - 死亡率のJカーブ: 1日のエタノール量5-10gが最適、40gを超えると飲まないより悪い(経済状態などとの交絡が激しく、アルコール自体の害はもっと大きいと別のところで見たことがある)。
    - 週160gを超えるくらいから、高頻度でちょっとずつ飲むより小頻度で多量飲酒するほうが若干死亡率が高いぽいが傾向ははっきりしない。
    - ワインがいいとか言われるがなにを一緒に食べるかが問題で酒の種類は問題ではない。

    地中海食: 南イタリアは貧しいが北イタリアより健康
    - 豆類、全粒穀物、果物、ナッツ、野菜、魚、一価飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比が高い(=肉の脂が少なくオリーブオイルが多い)、飲酒が適度、赤身肉と加工肉が少ない

    糖尿病
    - 食物繊維の摂取は大事。特に穀物からの食物繊維が大事(つまり玄米や麦めし、全粒粉)。
    - 窒素はたんぱく質にだけ入っている。すでに腎機能が少し低下していると、高たんぱく食で腎機能低下が進む可能性が高まる。
    - 糖尿を極端な食生活で改善しようとするのはよくない。低血糖の危険もある

  • 目次:第1章 あぶらと脂質異常症の関係、第2章 食塩と高血圧、第3章 肥満問題、第4章 お酒,なにをどれくらい,どのように飲むか、第5章 地中海食から糖尿病管理まで、第6章 「栄養健康リテラシー」の時代

  • 2016/07/27

    漏斗型プロット

    専門家とは著作が多い人ではない

  • 標準的なエビデンスの紹介と解説、現状の健康に効果のある食事法に関する記載。
    栄養疫学ちゃんとやっている人の議論。

  • 怖い怖い本。特に日本人の食塩摂取量に関する部分は、もう…
    本気で国が医療費を減らしたければ、きちんと栄養学疫学に取り組むべきなのでしょう。何かが起こってそれが大問題にならないと腰をあげず、何だかよく分からないけど何となく収まったらそれで良しとする、そういう姿勢を改めなければ。
    工学部→医学部の経歴を持つ著者ならではの視点は、とてもスッキリしていて読みやすい。徹頭徹尾ウエメセでないところもすごい。

  • 「揚げ物の油はコレステロールをあげるのか」>本当に”油”が原因なのか。
    「心筋梗塞の原因は肥満なのか」>”脂肪”そのものが問題なのか。
    「朝食をとらないと太るのか」>朝食を抜いた人の1日のカロリー摂取傾向は?
    「血中コレステロールが高い方が長生きできるのか」>血中コレステロールが高い人って具体的にどういう人?
     ・・・などなど、「よく言われる説」について、データや考え方の転換によって、実際の意味を解き明かしていく、うまい手法の一冊。
    血糖値やコレステロール、飽和脂肪酸など、いまキーワードとなっている言葉についてもあらためて読めるので、ついつい最後まで読み通してしまった。文章は平易で読みやすい。話しているのを聞いているような感じ。自分の健康に照らし合わせて「重要だな!」と思ったことはメモしながら読むといいかも。読みやすすぎて、あとで戻ろうと思うと混乱しそう。
    2015年12月新着。

  • バイブル

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著者プロフィール

1949年10月20日生 東京多摩市
1969年 都立駒場高校保健体育科卒業
1973年 東京学芸大学教育学部体育卒業
1975年 同大学院 修士課程修了
1977年 札幌 北星学園女子短期大学に勤務
2002年 北星学園大学に転属 現在に至る

「2014年 『詩とエッセー 煌めきの瞬間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐々木敏の作品

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