国語辞典を食べ歩く

  • 女子栄養大学出版部
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789554602

作品紹介・あらすじ

国語辞典って、こんなにも個性豊か!読み比べて初めてわかる味わい深い「行間」を大いに楽しんで、あなたも「国語辞典グルメ」に。

学者芸人のサンキュータツオさんが代表的な国語辞典の中から食べ物に関する言葉をとり上げ、その語釈の違いを比較・吟味する内容のエッセイです。

感想・レビュー・書評

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  • 電子図書で初めて読了した本になった。どこからでもいつでも読めるので、隙間時間に少しずつ読んだ。その時々に発見があって、隙間時間が隙間時間でなくなっていく楽しさをたっぷりと味わった。
    作中でも触れられている「新解さんの謎」をかつて同様に楽しく読んだ。この度、なぜ新明解辞典が楽しいのか、しかもなぜ第4版なのかが自分の中ではっきりした。本作では最新版となる8版が扱われているが、どちらも楽しい辞書である。言葉の捉え方が人を成長させていく。とするならば辞書との付き合い方は成長していくうえで大切なことだと思う。ならば、付き合う相手の性格とか素性とか知っておいた方が良いに違いない。この本のおかげでどの辞書とも楽しく付き合えそうだ。
    食に目を付けて比較するということが実に楽しい。比較こそが性格を知っていく上で近道なのだ。そこに食。目玉焼きは秀逸。それこそ目から鱗が落ちる。辞書にはそこまで書いてあったか。
    一応最後のページまで読み終えた。しかし、今後も何度も開くことになるだろう。そして、どのページを開いても「うふふふ」「ほうほう」「なるほど」と笑むに違いない。タブレットを覗きつつ一人で笑んでいる姿は、他者からどう見えるのか、いささか心配ではある。

  • 言葉の意味を知りたいだけであれば、スマホがあれば事足りる。
    だから辞書を引くという行為は、簡単に意味を知るという以上に、その言葉を意味を掘り下げて知りたいという趣味の世界、ある意味時間的に贅沢な行為だと思う。
    本書は、食べ物に関する言葉を主に4種類の辞書を引き比べ、語釈のスタンスの違いなどを楽しんでいる。

  • 『国語辞典の遊び方』は国語辞典の楽しみ方を初心者にも分かりやすく書いた良書だったが、こちらは食を題材に国語辞典を読み比べてみるというもので、これもとても面白かった。
    女子栄養大学出版部、と見て「なにゆえ」と思ったが、国語辞典を出している出版社とは違うので忖度する必要がなく、食べ物がテーマだからピッタリなのだ。(とちゃんと書いてあった。)

    私も国語辞典やその読み比べは大好きだが、サンキュータツオさんは取り上げ方が本当に上手くて、ますます国語辞典が好きになった。
    「すし」の語釈で最初に書くのはなれずしからなのか握りずしからなのか、あるいはちらしずしなのか。碩学の編纂者が悩んだり議論したりしながら書いたのかと思うと楽しい。
    冷奴がなぜ「奴」なのかなど知るのも面白いが、一番感動したのは「美味は編者の主観ではない」というところ。
    私も『新解さんの謎』を楽しんだクチなので、新解さんは何が美味しいかにこだわる国語辞典だと思い込んでいたが、山田先生はその言葉が使われたときの意味合いを伝えるためにいれたのであって、自分の好みを伝えたいわけではないと。「わー鯛だ!」と小説の登場人物が言った時に、鯛を知らなくてもありがたいもの、めでたいもの、美味しいものといったニュアンスが伝わるように書いていると。さすが山田先生。
    三国の飯間さんは香川県出身なのに、新明解の方が先に「さぬきうどん」を入れたとか、国語辞典好きにはたまらないネタもあり。
    著者が言うように国語辞典もアプリ化すれば、文字数の制限無しに語釈を載せられるし、写真が見られたり、関連する言葉にサッと飛んだりできるから便利だ。が、限られた文字数、ページ数のなかで(三国はイラストがあるけど)文字だけで表現し、知恵を絞って書くからこそ素晴らしいというところもある。書かれなかった部分を読み取ることもできる。辞書ならではの装丁や紙質、印刷技術などもとても貴重で、やっぱり紙の辞書はなくしちゃいけない!と強く思った。

  • 辞書によってこんなにも表現の仕方が違うのか!という驚きがあると同時に、同じ辞書でも言葉(食材)によって素っ気なかったり細かく説明していたりと「やはり辞書は人が作っているんだな」と感じ入る部分も多々ありました。
    何よりタツオさんの軽妙な筆致もあって最後までとても楽しく読めました。
    個人的には『目玉焼き』と『花巻(と、しっぽく)』の項目が勉強になりました。

    「辞書は奇跡の工芸品」、言われてみれば確かに。

  • 食べ物に関する言葉の探求。
    食べた満足感の方が強くて、あえて言葉の意味なんて考えなかったけど、なかなか深い。

    卵と玉子、そういえばなんでだろうって、何回もふと思ってた。そして目玉焼き・・・なるほど。

    ここで得た雑学を披露したいけど、直ぐに抜け落ちていく記憶。なので、やっぱり国語辞典はなくてはならないもの。
    とはいえ、スマホにも入れてるけどほとんど見ないな。
    検索より国語辞典!でオモシロ発見を。

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  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000107487

  • <目次>
    第1章  人気メニューを引いてみよっ
    第2章  付き合いの長い和のおかず言葉
    第3章  おやつ時間、なごみ時間
    第4章  食具いまむかし
    第5章  めん類大好きニッポン人
    第6章  食材からたどる日本文化
    第7章  食べる言葉、作る言葉

    <内容>
    国語好き大学院卒芸人、サンキュータツオさんの「辞書引き」芸?の本。国語辞典の面白さを伝えてくれるのだが、今回は女子栄養大学の機関誌「栄養と料理」連載の記事をまとめたもの。各国語辞典の個性が際立つお話でした。

  • 面白い!
    国語辞典の読み比べなんて、今まで考えたことがありませんでした。
    こんな方が先生だったら、授業が楽しくなりそうですね。

  • 紙の辞書を買わなくなって久しく、語の意味を確認したいときは主にネット検索。
    『舟を編む』で辞書編纂の様子を垣間見てはいたものの、言葉の意味を一意に定めることが辞書の役目だと思っていたので、どの辞書を引いても大差ないと思っていた。
    それだけに、一語を複数の、しかも比較的小型の辞書で読み比べ、その表現の違い、編集理念の違いを味わうこの本は衝撃だった。
    一つの語を簡潔に表すのに、来歴を示すこともあれば、用法、類例を充実させるアプローチもあれば、端的に記述するスタイルもあり、これほどユニークとは思わなかった。
    「そば」を辞書として表すことの難しさ、改めて考えると奥深い・・・
    オンライン辞書の方がアップデートも早く記述も詳細化されるのかもしれないが、容量の制約がある紙の辞書を久しぶりに手に取りたくなった。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。漫才師「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学・早稲田大学・成城大学で非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。日本初の学者芸人。ラジオのレギュラー出演のほか、雑誌連載も多数。主な著書に『これやこの サンキュータツオ随筆集』『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』『ヘンな論文』『もっとヘンな論文』(以上、KADOKAWA)など。

「2021年 『まちカドかがく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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