トルストイの民話

著者 :
  • 女子パウロ会
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本棚登録 : 23
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789606202

作品紹介・あらすじ

イワンは、はたらき者のお百姓。底ぬけのお人よしです。みんなに「ばかだ」といわれても、どこふく風。悪魔の手下が、あの手この手でいじわるをしますが、イワンはちっともへこたれません。とうとう、悪魔の親方があらわれました。さて、イワンは-!?「イワンのばか」ほか、心に深くきざまれる五つの民話。

感想・レビュー・書評

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  • 難しそうなトルストイの民話を児童書で読んでみた。

    トルストイは、「民話の形こそ最高の形式だ」と言っているそうだ。
    ーー民話は話の筋がはっきりとしている。文章も分かりやすく簡潔、登場人物がどの人もそこら辺にいそうな、どの地域、どの時代にも通じる人間の原型があって親しみやすい文学。そして生涯をかけて得た人生観、社会観を語るには、民話の形がふさわしいということーー(筆者あとがきから引用)

    タイトルだけでも考えさせられる。トルストイの信仰心も感じられた。

    【イワンのばか】
     出世やお金に執着する兄弟に対し、欲のないイワンの生き方。
    【ふたりの老人】
     貧しい人への施しを神様が温かく見ていたかのような宗教的な話。
    【火は小さいうちに消さないとー】
     小さな揉め事がやがて大きな火となる。今日の戦争もそうだろう。
    【人はどれだけの土地がいるか】
     広い土地を求めて欲張るが、結局最後に必要なのは、亡き後の自分を埋葬する分の小さな土地だけだった。この結末にはショックを受けた。
    【人は何によって生きているか】
     神の命により地上に遣わされた天使の話。

    • 川野隆昭さん
      文豪トルストイの民話ですか!

      かの国の大統領に読みなさいと、言ってやりたいですね。

      僕も、2~3作品のタイトルを聞いた事があるくらいで、...
      文豪トルストイの民話ですか!

      かの国の大統領に読みなさいと、言ってやりたいですね。

      僕も、2~3作品のタイトルを聞いた事があるくらいで、未読のものが多そうです。

      内容も、民話の形式をとっていて、古びてなさそうですね。

      興味深いです。
      2022/06/05
    • なおなおさん
      川野さん、おはようございます。

      最近、"有名文学を漫画で読む"なる本を読み、今度は活字で読みたいなと思いました。色々と検索して簡単に読めそ...
      川野さん、おはようございます。

      最近、"有名文学を漫画で読む"なる本を読み、今度は活字で読みたいなと思いました。色々と検索して簡単に読めそうな本書を見つけ、図書館で借りました。

      そうですね。かの国の大統領、自国の文学なのに残念です。
      古びておらず、気持ちにすっと入って来ました。読んで良かったです(^_^)
      2022/06/05
  • 子どもにも読めるもので、岩波文庫版のものより読みやすかった。

    トルストイの民話から、当時のロシアの素朴な信仰生活を想像して読んでしまう。

    一貫して素朴な話に流れているテーマは「お互いに助け合うこと」「欲望をもたないこと」の大切さなのかもしれない。

    トルストイの話に出てくる登場人物は貧しくて生活も大変なものが多く出てくるが、これはトルストイ自身が見てきた光景なのかもしれない。

    困っている人の中にこそ神がいる、
    不自由な日常の中にも神に触れる機会は多くあるということを思いました。

  • 小2&年長児と毎晩少しずつ読む。登場人物の名前が覚えられず、話がよくわからなくなってしまうと。ですよね。

  • 実は、実際に読んだのは大橋千明氏訳の偕成社文庫版なのだけど…。
    掲載作品は、以下
    ・イワンのばか
      これがトルストイだったことを、よく理解していなかった。
      イワンの妹は口が効けないが、家のテーブルで食事をする人は、手にまめがある(仕事をしている)人のみ、ということで、誘惑をしに来た悪魔は食事をさせてもらえない。手ではなく、頭で働く人もいる、と反論するが、理解されずに悪魔は退散する。
    ・三人の隠者
      高い位をもつ僧(主教)が、孤島に暮らすという隠者に、自分勝手な祈りをしてはいけないと、祈り方(主の祈り)を教えるが、海の上を走る能力を持つ隠者たちに、結局、純粋に祈りを捧げることに対し、教えることなどないと知る。
    ・人にはたくさんの土地がいるか
      土地があれば幸せになれる、と信じて、良い土地をたくさんもらおうと歩き続けたが、欲張りすぎて陽が落ちた時に命が尽きたため、結局、2メートルほどの墓を掘られるという…。象徴的な物語。
    ・ふたりの兄弟と金貨
      金貨があれば、人を助けることができる、と兄は信じるが、金貨は悪魔の誘惑で、自分の手で働く以外に人を救う(神に至る)道はない、という。
    ・洗礼の子
      自分が良かれと思ってしたことが、まわりまわって罪になる、と洗礼の父から言われ、つぐないをする、という。少し理解が難しい。
    ・ふたりの老人
      一緒にエルサレムを目指す二人のうち、一人が水をもらいに寄り道をし、その家の死にかけている家族たちを放置できず、彼らを助けて、自分は聖地にたどり着けない。もう一人は聖地へ行くが、果たして自分の行いは神の意に沿うものだったか、自問する。
    ・女の子はおとなよりもかしこい
      女の子に限定する必要はないと思うが、些細なことで争いは起こるが、子どもたちは、さっさと仲直りしてしまう。
    ・人は何によって生きているか
      堕天使が、人間を理解するまでの物語。寓意が多く、理解が難しいが、それゆえに取り上げられ、分析されることが多い。

    ウクライナ侵略があってか、今、トルストイが読み解きなおされているようだ。

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著者プロフィール

1922年東京都生まれ。短編「さぎ」で日本児童文学者協会新人賞を受賞。『鯉のいる村』(新日本出版社)で野間児童文芸賞、芸術選奨文部大臣賞、『花咲か』(偕成社、その後石風社)で日本児童文学者協会賞を受賞。
主な作品に『かさこじぞう』『ききみみずきん』(以上ポプラ社)、『十二支のはじまり』(教育画劇)、『けいたのボタン』(にっけん教育出版社)、『赤いくつ』(女子パウロ会)、『一九四一黄色い蝶』(くもん出版)、『街道茶屋百年ばなし・熊の茶屋』『街道茶屋百年ばなし・子育てまんじゅう』『街道茶屋百年ばなし・元治元年のサーカス』(以上三部作、石風社)『久留米がすりのうた』(石風社)など多数ある。

「2009年 『花咲か 江戸の植木職人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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