No.1レディーズ探偵社、本日開業 ミス・ラモツエの事件簿 (1) (ヴィレッジブックス)
- ソニーマガジンズ (2003年9月20日発売)
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感想 : 14件
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784789721059
感想・レビュー・書評
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アフリカの国ボツワナの女探偵もの。
マ・ラモツエは、人呼んでサバンナのミス・マープル。
作者はスコットランド人だが、ジンバブエ生まれ。
マというのは女性への尊称。
探偵社を開いた話から、父の人生、主人公の育ちへと戻り、また事件物へと進む短編連作。
プレシャス・ラモツエは愛されて育った一人娘。
母を早くなくしたが、父の従妹に可愛がられる。
恋をした相手ノテと結婚したが、これはあまりたちが良くない相手で、じきに去られ、父の元へ戻る。
父の死後、残してくれた牛を売って、首都で探偵社を開くのだ。
女性に探偵が出来るかという疑問を持たれるが、アガサ・クリスティを知らないのかと問い返す。
機転が利き、押し出しも立派な、アフリカ女性の伝統的体型の34歳。
秘書の女性マ・マクチとも名コンビになっていく。
行方不明の夫を捜して、意外な顛末を証明したり。
夫の浮気を確認してやったら、かえって依頼人にくってかかられたり。
小型の白いバンを独りで乗り回してどこへでも行き、時には鰐やコブラとも渡り合う。
車の修理工場をやっている男性マテコニとは親友で、ついにプロポーズもされるが?
ボツワナというのはアフリカでは平和な国らしいですね。
独特なテンポ、住んでいる家や食べ物、知らない土地の雰囲気が伝わってきて、新鮮で面白いです。
呪術の話なども出てきます。一般の人は関わりにはならないようなものではあるのですが。
哀切な少年の話が解決して、ほっとしました。
作者は1948年生まれ。アフリカ、イギリスの大学で学んだ後、スコットランドで教授に。一時アフリカに戻り、ボツワナで最初のロー・スクール設立に尽力。ユネスコの議長などを務める傍ら、子供向けの本から学術書まで幅広く活動。
本書は1998年発行。口コミで火がつき、のちにブッカー賞の審査員特別賞を受賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(あらすじ)
プレシャス・ラモツエは小柄でかなり太っている陽気な女性。若い頃結婚するも夫のDVで離婚、子どもも失っている。34歳の時最愛の父親が亡くなり、父親の遺産で探偵事務所を開業した。ボツワナ初の女探偵は新聞でも取り上げられ、彼女はかなり有名になった。最初に手掛けた事件は行方不明の夫の捜索。ラモツエの捜査により事件は解決した。しかし発見された場所は想定外!アフリカならではの所だった。
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ミス・マープルのようなご近所の噂に精通している、いわばおせっかいおばさん。でもマープルのように聡明ではない、まだまだ…
なにぶん新人探偵なので、尾行しているターゲットを逃したり、女子高生に出し抜かれたりと、ずっこけた部分もある。夫の浮気の証拠が欲しい…と言ってきたクライアントへの証拠の提出の仕方はど~よ~と思う。当然報酬は貰えなかったけど -
図書館で。
ボツワナの女探偵のお話という事で面白そうだな~と借りてみました。なんというのかおとぎ話のようなミステリーというか、現実っぽくない感じがあまりジャンルとして合ってないような気が。
個人的にはラモツエ女史がすべてにおいて経験不足で彼女にあるのは根拠のない自信だけ、という何というのか非常に危なっかしい女性なので読んでいて共感もできず、爽快感も無く、うまくいったのは奇跡じゃない?と言うような気持で読み終えました。主人公が経験豊富なオバハンとかなら根拠のない自信も「そうかもな」と思えたかもしれないんだけど。学歴も社会経験も中途半端で、周囲の言う事を聞かずバカな男と結婚して痛い思いをして父親のもとに戻ってきただけなに。何を根拠にそんな自信満々なんだろう。不思議だ。 -
さらっとした短編で読みやすい。
ボツワナの文化とか、人柄、外国人に対する感情など、じわりとにじみ出ていて、面白い。
どろどろしない推理ものっていいね。 -
アフリカのほのぼのとした雰囲気と独特の事件が面白い。つい、ミス・ラモツエ頑張って!と思ってしまう。表紙の絵も素敵
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元気がない時に元気を出すために読む本
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せっかくチャンスがあったのに、A.ミンゲラ監督のTV映画を見逃してしまったので(眠ってしまったので)、原作を読みました。たぶん、ドラマは原作の雰囲気たっぷりだったと思います。マ・ラモツエと一緒にいたあの男性はミスター・J.L.B.マテコニだったんだとようやく理解しました。解説の『アンソニー・ミンゲラも絶賛し、シドニー・ポラックとテレビ・シリーズ化や映画化を進めているという。』が悲しいです。ミンゲラ監督のご冥福を祈ります。TVドラマは来年BBCで放送されるようです。原作も続けて邦訳が出ているので、しばらくはマ・ラモツエの世界にはまれそうです。
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アフリカの探偵社、まるまるラモツエ
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アフリカのボツワナ。たったひとりの女性のよろず探偵、ラモツエのお話。
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ボツワナ唯一の女性探偵、マ・ラモツエ。頭が良くて優しくて頼もしくて、アフリカ人であることに誇りをもっている女性です。家族の絆を大事にし、自然の美しさや恐ろしさを知り、ウシが草を食むのを見てゆったりと寛ぐ。忙しさが優先されて気がささくれ立つことも多い社会にいると、羨ましくもあり、反省もさせられます。そんな場所でも楽園ではありません。家族のこと、治安のこと、仕事のこと、色々な問題が出てきます。これを解決するのがマ・ラモツエの仕事。ミステリとして入り組んだ謎ではないけれど、突拍子もないアイディアが楽しく、温かくも厳しいマ・ラモツエの事後処理の仕方がなんともかっこいいのです。懐が深くて自分の道徳観をしっかり持っていて、叱るべき時は叱ってくれる。肩に頭をもたせ掛けたくなるような、母性に溢れた女性探偵ってステキですね。
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サバンナのミス・マープル、ついに日本上陸!という帯がついています。
この作品は、1998年にスコットランドの小さな出版社から出版されたが、口コミで火がつき、英米の大手出版社からも出版され、アメリカで100万部突破、と言う経歴。
お話の舞台はボツワナ。それって、どこ?どんな国?っていう方が多いんじゃないでしょうか。アフリカって言うと、紛争とか飢餓とか言う言葉が浮かびますが、ボツワナは、アフリカ中央部の内陸国。ダイヤモンドの産出国で、経済状態もよく、中所得国だそうです。
勿論、独立までは、平穏ではなかったようですが、お話の中では、この国の人々は、素朴で穏やか。
そんなボツワナに、初めてうまれた女性探偵、マ・ラモツエがヒロインです。
彼女には家族はありませんが、よく回る智恵と鋭い観察眼、そして、いつも彼女を裏切らない直感があります。そんな彼女の探偵社に事件を持ち込むのは、行方不明の夫を探す妻や、怪しげな父親に悩む娘、と言うのんびりしたお話(笑)。
鋭い洞察力を味方に、小さな白いバンで大地を駆け回るマ・ラモツエが、なかなか魅力的です。何より読んでいて、すごい悪人や恐ろしい事件が出てこないし、ゆったりのんびりしたボツワナの暮らしが、読んでいるこちらまで、ゆったりさせてくれました。
ミス・マープルと比べるのは100年早い気はしますが、ね(笑)。
小林浩子の作品
