サラーム・パックス―バグダッドからの日記

制作 : Salam Pax  谷崎 ケイ 
  • ソニーマガジンズ
3.67
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本棚登録 : 43
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789721646

作品紹介・あらすじ

ぼくの名前はサラーム・パックス。ブログ中毒者だ-。アメリカ軍の攻撃にさらされ、破壊されていくバグダッドに暮らすあるイラク人青年。彼がサラーム・パックスという名でインターネット上に綴る日記に世界中からアクセスが殺到した。ブッシュ、フセイン、国連、アル=カーイダ、空爆、連合軍、奪略、占領下での生活…29歳のイラク人青年の日記には、すべてがリアルな素顔をさらけだす。ときに辛辣に、ときに感傷的に、ときにユーモアを交えて綴られる日記は、現在もバグダッドから配信されている。

感想・レビュー・書評

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  • イラクのバグダッドで暮らす29歳のイラク人が、2002年のイラク戦争が始まる直前からの日々を記録したブログ。

    イスラムについて、イラクについて、遠く悪いニュースばかりで理解しにくく、とっかかりもなかった。

    何だかわからない国、から、自分たちと同じ人たちが住んでいる国、に変わった。私にとってすごくいい本でした。

    この本を読んで、自分の国で人が争い、他国から制裁措置を受け、他国から自分の愛する街を攻撃され、偶然乗ったタクシーの運ちゃんの自爆テロに巻き込まれたり、ふとしたことで米兵に射殺されてしまう、それが日常に入り込むということがどういうことかを教わりました。
    それが昔のことではなく、現代の現実なんだということも。

  • 2015/3/7読了。
    中東情勢に疎い私には前半理解が出来なくてつらかったけど、後半からは臨場感あふれる文章に釘付けに。
    テレビや新聞からは伝わってくることのない、現地に住む人の思い。
    そうだよね、人間だもの。
    こんなブログをつけ続けた彼は前駆者だと思う。

  • バグダッドのブロガー、サラーム・パックスによるブログ記事をまとめた本。2002年9月から2003年6月までの、アメリカのブッシュが「平和と民主主義のために」サダム・フセインを排除しようとした時期のイラクが描かれています。

    サラーム・パックスは、自分たちに「自由」を与えてくれるというお題目のもとで母国に攻め込んでくるアメリカを礼賛せず、むしろ反発し余計なことはするなと明確に伝えています。「アメリカはイラクのためを思ってミサイルを撃ち込んでいる」と本気で信じてメールを送り付けてくる欧米人に対し、「イラクのことは自分たちで解決する。偽善的なお節介は止めてくれ」と辛辣に批判しています。
    一方で、サダムの支配下にある母国がいい状態であるとも言っていません。当時のイラクに多くの問題があるということを、自由な意見を表明するリスクのある状態でよくぞここまで言えたものだと思います。

    細かく書評を書くより、彼のブログ内での文章をいくつか抜き書きしたほうが、この本の意図はきちんと伝わる気がします。
    「アメリカのイラク侵入は、最悪の映画をもっと悪趣味にリメイクしただけ」
    (アメリカに黙認されているイスラエルの核兵器に対して)「イスラエルの備蓄核兵器の名前は、大量”愛と平和”兵器とでも言うのだろうか」
    (人間の盾としてイラクに入り込んでくる偽善的な欧米人に対して)「ここに来てくれなんて誰も頼んでいない。助けてくれなんて言った覚えもない」「人間の盾なんて意味がない。小型発電機と浄水機を用意して国境で待っていてくれ。それこそ本当の支援だ」
    「偉大なる解放者が他者を自由にするというくだりを一切受け入れる気はない。政治の世界に利他主義なんてものがあるとは思っていない」
    「もしアメリカ政府がイラクと戦争をするなら、それは愛と平和のために戦ってくれるからだなんて思うほど、イラク人はお人よしじゃない。戦争の副産物としてでさえ、平和と自由がもたらされるとは思わないし」
    「僕だって、ブッシュが魔笛を携え、その後ろに世界中の国がずらりと並んでいるのを、黙ってみていたいわけじゃない」
    「「イラクの民主化を支援する」というのが、なぜ「イラクを爆撃する」ことになるんだ」
    (バグダッドが爆撃を受けた後)「何週間か前、イラク人たちがただ普通に暮らし、パニックにも陥っていないという事実に、ジャーナリストたちは憤慨していた」
    「イラク人は皆、アメリカ軍を歓迎すべきじゃないと感じている。アメリカ政府は、イラク政府と同じぐらい数々の罵声を浴びることだろう」

    これだけの明晰かつ冷静な頭脳と判断力がある「サラーム・パックス」を、「抑圧されて遅れているはずのイラク人たち」の中には存在し得ない架空の人物と考え、見下していたのが当時の欧米諸国の反応だったようです。その「欧米諸国」に盲従し、偏った報道しか見ずに事実を掘り下げようとしなかった日本人も、同じ穴の狢と言えるでしょう。
    偽善的、独善的な正義に毒されないよう、こういった本は読んでおくべきです。

  • イラク南部のクルナというまち
    ティグリスとユーフラテス川が合流する地点
    アダムの樹があったけど電話線があったからアメリカに爆撃された


    *・*・*

    戦時下でも人は生きている。でも戦争を経験していないわたしは真にその環境を理解することはできないし、現実味のないものとして受け止めてしまう。
    イラク人のブログ。知的で皮肉な文章が面白い。
    国連のある意味ってなんなんだろう。
    戦争で解決できることなんてないって、どうしてまだわからないんだろう
    戦争で宗教色が強くなるのは驚きだったけど確かにそうだよね…反動。鋼とかもそうだったし。
    爆撃されるとバグダッドの人はほとんど死んじゃったんだろうな、とか思ってたけどそうでもないようで。でもだからこそ怖い。そして、戦時下でも人は生活している。
    うまくことばではあらわせないんだけど、みんなに読んでほしい本。
    日本の戦争記とかを昔怖いものみたさで読んだりしていたのだけど、このブログを書籍化したものが今までで1番生々しい戦争記だと思う。

  • アメリカ人は、「罪と罰」のラスコーリニコフ、「ぼく地球」の玉蘭みたいだと思った。世の中は善と悪でできていて、自分の信じる正義を貫けば問題は全て解決できると思ってる。

  • とあるイラク青年が書いた
    ブログをまとめた本。

  • 「13歳のハローワーク」読んでて初めて知った。イラク人の生の声なんて聞いたことなかったから、とても興味深く読んだ。面白かった。そしていろいろ考えさせられる。人間はみな同じなんだなあ、とか、国際的な国同士やらボランティアやらの関わり合いの仕方(援助、介入、無関心など)の難しさとか。日本は平和と安全が比較的保たれている国だと思うけど、それをつくって維持するのって大変なのだなあ、とか。ブログも読もう。英語だけど・・・

  • バグダッドに住む一人のイスラム青年によるブログを書籍化した。もっとも読み応えあるのは、03年のイラク戦争開戦から。市内や米軍の様子が活き活き書かれた。そこからさかのぼって本書を読むのがいい。前半はバグダッド市民の視点による貴重な日常の記録だが、あまりに淡々と進むため。書籍化の段階で、著者のコメントや世情分析なども加え、大胆に時系列構成を変更したら、違った面白さが出たのでは。
    著者はかなりの教育を受けたようで、相当にリベラルな発想を持ったムスリムなキャラクター。乾いたユーモアも持ち合わせるが、肝心の翻訳が妙に馬鹿丁寧で読みづらい。

  • 文化圏が違うので、作者が言いたいことを全て理解することはできないけど、イラクの人の生の声を知ることができる面白い本である。戦時状態の緊迫感が伝わってくる。音楽を聞いたり、プロレスをTV観戦して楽しんだり、私とやってることは全然変わらないのになぁ。普通に暮らせることは、本当に幸せなのことなのだと実感させられる。

  • バグダッドに住む29歳のイラク人男性がつづったブログを本にしたもの。
    まだフセイン政権下あったときの抑圧された生活、そこからアメリカ軍の攻撃を受けるまでのめまぐるしく変わっていく生活、攻撃を受けているときの生活など。
    実際にそこに住んでいる人が与える情報って、一般に報道されている内容と違うことが多いんだな。溢れる情報の中でどれがほんとのことを伝えているのかを選ぶのは難しいけど、逆に言えばそれだけ誤った情報も氾濫してるんだなぁ。生きるか死ぬか、抑圧されたままでいるか自由をとるか、宗教が関係あるのかないのか、真実なのか嘘なのか。逮捕される危険がありながら書き続けたブログでした。051102

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