- Amazon.co.jp ・本 (603ページ)
- / ISBN・EAN: 9784789723619
作品紹介・あらすじ
わたしはサーズデイ・ネクスト。一介の"文学刑事"だったが、古典文学破壊犯ヘイディーズから『ジェイン・エア』を救ったことでいまはインタビューに忙殺される日々。そんなわたしのもとに、また悪い知らせが舞い込んだ。最愛の夫ランデンがこの世界から忽然と消えてしまったのだ。ご丁寧にも彼は二歳で死んだことになっている。軍事産業と遺伝子ビジネスを牛耳るゴライアス社のしわざだった。ランデンを助けたくば、ポーの『大鴉』のなかに閉じこめられた幹部ジャック・シットを連れ出してこいという。いっぽう、時空を飛び回る父からは、もうすぐ地球上の生命がピンクのべたべたになって絶滅するという恐ろしい警告が…。「本世界」の強者たちわ巻き込みながら、必死の捜査がスタートした。英文学へのオマージュを搭載し、ブリティッシュ魂が炸裂する"文学刑事シリーズ"第二弾。
感想・レビュー・書評
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日本語版タイトルは「さらば大鴉」だけど、ポーの大鴉はちょっぴりしか出てこないのね。原題は Lost in Good Books (本にうずもれて?)だけど、それだと漠然としすぎるからかな。
つねに奇想爆発のジャスパー・フォードだけど、この2巻はさすがに爆発しすぎなのかなあ。ちょっとフォローするのが大変だった。でもまあ、すべてを理解する必要はなくて、そのページページで楽しんでいれば、いつのまにか最後に到達していて、あーおもしろかった、となるからいいんだけど。それがフォード的世界なのかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●前作の展開をさっぱりまるきり忘却しながら読み始め。記憶してたのはサーズデイが『ジ×××・エ×』を××したことくらい。むむ。
●そんなモウロクした私が、前作と今作を比較することなぞできようはずもないのですが、今回のサーズデイもすごいらしいぞう。(棒読み)
なんたって彼女は、「本を朗読することで本の中に入る」能力=驚異のブックジャンプ・パワーを身につけたのだ!
そんでもって、本の登場人物たちと一緒に、本の世界の秩序を守るため&“根絶”された夫を取り戻すため、七転八倒しながら悪を倒し世界を救うべく奮闘するのです。
途中では、すぐれた叡智を持つ老婆にきっちりみっちり修行してもらうしな。
家賃を払うためのバイトで他部署の刑事と組んで悪霊退治もするしな。
ああもうジャンプまんが?
いっそ、画・荒木飛呂彦でまんが化すればよいのだ! ナイスアイディア!
●それにしたって、本の世界に入れると言うのはすばらしいよなあ。3作目は2作目よりも面白いですよ。 -
本が最大の娯楽の世界で巻き起こる事件に、颯爽と挑む「文学刑事」サーズデイ・ネクスト!!とりあえずファンタジーにいれておいたんですが、実際どういう分類をしたらいいかわからないです。
私たちのものとはまったく違う経過を辿った1985年のイギリスを舞台に、いろんな文学作品などのパロディが炸裂してます。とりあえず、笑える作品なのは間違いなし。 -
ランデン・パークレインとかジャックシットとか笑える
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大大好き
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第一作に続き、最高のエンターテイメント。
あらゆる時空を超えてみたい人にお薦めです。
登場人物のキャラの立ち方も最高です。 -
おーもーしーろーいー。ジェットコースター荒唐無稽。なんらモンダイが解決されてないってのがイカす(笑)でも次も読みたいので許す!
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1年間待ってました第2巻!
ネタの多さと面白さにメロメロになった前作。
たいてい2巻はパワーダウンするものだけど、それどころか益々悪ふざけ度アップ!
ランデンと結婚して、穏やかな新婚生活……と思ったものの、
『ジェイン・エア』事件で一躍時の人となったサーズデイは連日のインタビュー攻め。
さらに、失われたシェークスピアの幻の作品『カーデニオ』は突然見つかるし、
元時間取締官の父から、数日後に地球上の全生命体がピンク色のねばねばになってしまうと告げられるし、
何者かが偶然を操ってサーズデイの命を狙ってくるし、
真の文学取締官として修行が始まるし、
何よりゴライアス社が、過去に戻ってランデンの存在を消してしまったのだ!
元に戻して欲しかったら、サーズデイが『大鴉』の中に閉じこめた社の重役、ジャック=シットを連れ戻せと言う。
果たして、サーズデイはもろもろの問題を解決できるのか!?
話に全く関係のないネタとエピソード満載なのがこのシリーズの魅力。
だけど、前作はアシュロン・ヘイディーズを捕まえ、
『ジェイン・エア』を救うと太い軸が(いちおう)あったけど、
今回はメインエピソードが幾つもあって、ちょっと散漫な感じ。
また、それぞれの出来事がちゃんと解決しないで、次に続く感じで終わるから欲求不満。
その分、前回よりも、各キャラクターの魅力が書き込まれ、話を引っ張っている。
中でもネクストおばあちゃんとミス・ハヴィシャムの二人のお年寄りが際立って面白い。
いくつもの修羅場をくぐり抜けてきたらしいネクストおばあちゃんは魅力的。
今回、明らかにされたのが、本の中にも世界があって、
本の世界の人々は、まるで舞台のように読者の前で演じているのだ。
その世界の中のもめ事を処理する組織があると言うこと。
また、作者の勘違いなどによって書かれたバグを処理するのも彼らの仕事。
この設定は陳腐になりそうだけど、非常に面白い。
この作品、作者はどう意図しているかわからないけど、非常に漫画っぽい。
そう言っても、別にライトノベルのような挿絵があるわけではなく、
表現が漫画っぽいのだ。
漫画だと、駒の外に出たり、頁の向こう側と会話したりはよくあるけど、
それを小説でやられるとめまいがしそう。
気になったのは、サーズデイ自身は、現実の人間なのか、
それとも、自分もまたこの小説内の人物だと知っているのか、それがわからない。
なんか、その辺もネタにしそうだけど。
この濃密な小説空間を是非味わって欲しい。
オススメ。