- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784789731874
感想・レビュー・書評
-
生と死を見つめるふたつの瞳。フリオリャマサレスの物語は冷たく温かい。この静謐にいつまでも浸っていたくなる。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まるでECMのレコードを聞いているようだった。
読み終えたときは読んだ満足感しか無かったけど
3ヶ月たった今でもふとこの作品について考えることがある。 -
【所持有無】×
【読了日】090301
【キーワード】スペイン内戦 反乱軍 生き残り
【所感】スペイン内戦について、とのことで興味を持ち借りる。山に籠もる男たち。戦闘と略奪、厳しい冬の山、ときに村へ降りて家族や友人に援助を受ける。オオカミのように。
【備考】 -
雪の夜、毛布に包まってよみたい。2
-
ヒースの茂み。
川の瀬音が止む瞬間。
家畜小屋の干し草。
洞窟。
闇。
焚き火の黒い煙。
みみずくの鳴く声。
軽機関銃。
夜の草原。
牝牛。
深い穴ぐら。あるいは谷底。
重い沈黙。
差し込む光が突き刺す潰れた五感。
吹雪。
雨。雨音。
ブナ林。
教会の鐘の音。
窒息感。
土地への執着。
絶望。
息遣い。
そして、孤独。
9年間の生死を賭けた凄惨な逃亡生活が、血なまぐさいスペイン内戦の現実が、まるで何か静謐で透明な情景を描くかのように語られています。冬の朝の、あの凛と張り詰めた空気のように。
読んでいる間、ずっと頭から離れないのは、月の浮かぶ静かな夜の森を孤独にさまよう狼たちの姿。
作品全体を漂うこうした雰囲気は、著者と翻訳者の言葉の表現力に大きく依るのでしょうね。
「狼たち」の行く末に引き込まれ、その描かれる情景に「浸る」作品。
-
冷たい、なにかに突き動かされて、一気に読んだ。月は死人の太陽。どこまでも冷えた文章だった。
-
読書の醍醐味を味わえる一冊です。
スペインでの悲惨な内戦によってお尋ね者となった四人の若者が山に隠れ住み、一人また一人と姿を消していく。狼も月も死を象徴するものであり、待ち受けているものは悲劇のみです。一人になり、害獣のように生にしがみつき、最後には故郷を出て行ったアンヘルがどのように生きていくのか、気になります。
本作は間違いない悲劇であるはずなのに、美しいまでの透明感を保っています。巧みで多彩な表現が原著と翻訳によってなされており、小説内の全てのものが強靭な存在感をもって読者の前に現れます。例えば雨が降るという描写だけでも、「最初は熟れた果実のようにポツリポツリと降っていたが、その後雨脚が強くなり、ついには膨れ上がった腹が裂けたように地上に黒く苦い液体がどっと降り注いできた」、とあり、読み手の想像力をかきたててくれます。代表作である『黄色い雨』は未読ですので、近いうちにそちらも読んでみたいと考えています。 -
悲惨。閉塞感。やるせなさ。足が腐るほどの寒さ。
・・・こうゆうの大好物。読むのはね。
真冬,お風呂の中でゆっくり読むのにぴったり。
癒される〜 -
同じスペイン内戦を描いても、ヘミングウェイはエンターテイメント。
本書は、リアル。
-
フリオは傑作!伝説のデビュー長編。