モンスーンの贈りもの (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)

  • 鈴木出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790233176

作品紹介・あらすじ

カリフォルニア州バークレーの高校1年生、ジャズことジャスミン・ガードナー。勉強もスポーツもできる15歳です。背が高くがっちりしていることに強いコンプレックスを持っています。高校生活初めての夏は、まるまる3か月間、お母さんが幼い頃を過ごしたインドの孤児院に、家族4人で滞在することになりました。インドで生まれ4歳でアメリカの夫婦に養子にもらわれたお母さんが、初めて帰国するのです。アメリカ人のお父さんも、もちろんジャズと弟も、みんな初めてのインドです。お母さんは恩返しとして、孤児院に妊婦のためのクリニックを立ち上げる計画です。
 ジャズは、3か月もインドで過ごすことに気乗りしていません。幼なじみのスティーブと立ち上げたビジネスが軌道に乗ったところだし、ひそかに恋しているスティーブとそんなに長く離れているなんて耐えられないからです。
 初めて踏んだインドの地では、カルチャーショックの連続です。孤児院に到着するまでにみんなくたくたになりました。インド滞在中のガードナー家のお手伝いさんとして、ダニタという少女が毎日来てくれます。ダニタはジャズと同じ15歳。妹ふたりといっしょに孤児院で育ちました。
ダニタのことを少しずつ知るうちに、ジャズは境遇の違いを実感し、思いを巡らします。
 お母さんがクリニックの立ち上げに奔走する間、お父さんは孤児院の中古のコンピューターをセッティングして、シスターたちに操作を教えます。内気なお父さんの心境の変化と行動に、ジャズは驚きます。弟は孤児院のサッカーチームのリーダーになって指導しています。ジャズだけは孤児院を避けて地元の学校に通うことを選びましたが、家族の姿を見ているうちに、しだいに関わりを持ちはじめるのでした。
 カリフォルニアとは気候も文化も生活習慣もまったく異なるインドでの3か月。ジャズは、自分自身の生き方、家族それぞれの生き方、自分が人にできることは何か、そんなことを真剣に考えはじめ、行動に移します。

感想・レビュー・書評

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  • バークレーで幼なじみで親友かつ想い人のスティーブとビジネスをしているジャズは、夏休みを両親と弟とともにインドで過ごすことになった。慈善活動家の母が、故郷の孤児院に妊婦用クリニックを設立することになったのだ。彼女は、インドの学校では、お金持ちの娘たちと、家では、孤児院からお手伝いに来ている同い年のダニタと出会う。ダニタは、2人の妹とともに生活をしていくために、持参金をためて結婚するか、自分でビジネスを始めて生計を立てていくかしないといけない状態だった。ジャズは彼女を助けたいと思うが、過去の失敗がそれを躊躇させる。

    思春期の恋と友情と家族とビジネスと、いろんな想いを「モンスーンの狂気」が変えていく。自信のない少女たちが、それでもがんばって自分の道を切り開こうと奮闘する姿を描く。




    *******ここからはネタバレ*******

    うまくいき過ぎ感はあるが(特にビジネスの話、孤児院の運営の話)、大人の読みものではないので、それはそれで良いのではないか。
    貧困や、乳幼児遺棄、女性の持参金や社会的自立等重い話題も含まれているが、物語全体は明るいし、楽しく読める。
    全体的にバランスの良い作品。

  • もっとゆっくり進みたい。目に見えるもの、におい、音、味、すべて確かめるために。(本文より)

  • 変わることは怖いことじゃない。

    アメリカに住むジャスミンは、モンスーンの季節の間母親の故郷のインドに家族で行くことになった。一緒にビジネスをしているスティーブとの関係や、「安全第一」を信条としているパパ、「モンスーンの魔法」はジャズに家族にどんな変化をおこすのでしょうか。
    自分に自信がないジャズ。でも、環境が変われば今まで「当たり前」であったものが「そうじゃない」とわかる事が多いです。家族一緒にいるために結婚をしようとしているダニタ、アメリカに憧れているインドの上流階級の同級生たち。そのままであれば会うことのなかった人たちと出会い、ジャズや家族は「新しい自分」になっていきます。そして、ダニタの夢や今から仕事をすることで生きていける道ができるかもしれない「リボルビング・ローン」が設立されます。
    恋愛、家族、大人になること、異文化との触れあい。たくさんの要素が詰まった本。

  •  ビジネスパートナーのスティーブと忙しい夏休みを過ごすはずだったジャスミンは、母親のボランティア活動のために家族そろってインドに行くことになってしまった。 
     スティーブに対する恋心に悩み始めたジャスミンは、カッコいいスティーブが自分がバークレーに居ない間に、誰かに誘惑されないか心配でならない。
     何も言えないままインドに着いてしまったジャスミン。ボランティアには苦い経験があり、素直に母親の活動を手伝うことはできなかった。

     インドでの学校生活や、お手伝いさんのダニタとの関わりの中で、ジャスミンは自分に自信を持てるようになっていく。

  • 高校1年生のジャズは幼なじみのスティーブと小さなビジネスをはじめていた。なかなかの売り上げでうまくいっているビジネスとはうらはらに、急にかっこよくなってしまったスティーブへの恋心のために、自分をみっともないと思い込んでいるジャズは素直になれないでいた。そんなとき、夏休み中家族でインドにいくことになって…。文化も社会状況も違うインドでの生活が、ジャズを少しずつ解放し始める。遠く離れたスティーブとの関係にも変化が…。切ない恋心とビジネスと社会奉仕と。ジャズの成長にキュンとする物語。

  • #中高生

  • 親のボランティアのため、モンスーンの季節をインドで過ごすことになる主人公。インドでの生活はまさにカルチャーショックだらけ。少女の成長譚の物語でもある。

  • 社会活動という言葉も「あたえるよろこび」という言葉もピンとこなかったのんきな日本のおばさんな私。多感な少女時代にこんな素晴らしい本に出会いたかった。。。インドの孤児院で主人公のジャズとマヤが出会うシーンは、なんだか泣けて泣けて。いい本です。

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著者プロフィール

Mitali Perkins ミタリ・パーキンス / アメリカ合衆国の児童文学作家。インド、コルカタに生まれ、アメリカ合衆国に、両親、姉妹と共に移住。幼いころから、バングラデシュ、カメルーン、ガーナ、インド、メキシコ、タイ、イギリス、オーストリアなど世界のあちこちに住んだ経験から、異文化への架け橋となる児童書の執筆をつづけている。邦訳されている作品に、『リキシャ★ガール』、『モンスーンの贈りもの』(共に鈴木出版)がある。
ホームページ(英語):http://www.mitaliperkins.com

「2017年 『タイガー・ボーイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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