民俗学を学ぶ人のために

制作 : 鳥越 皓之 
  • 世界思想社
2.86
  • (0)
  • (2)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 22
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790703617

作品紹介・あらすじ

日々の暮らしの中で、人びとが出くわす切実な問題を解くために生まれた民俗学は、脱工業化社会といわれる現代において、どのような解答を用意しているのか。その方法論と世界観を提示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 時代が変わっても庶民の生活は変わるわけではない、徐々に変化していく。そして親子孫と伝承されていく生活習慣。民俗学の魅力を分り易く語ってくれる。親しみのない言葉「民俗学」。歴史学・地理学とは異なる新しい学問だが、フィールドワークに基づく調査から帰納的に歴史・地理を検証していくという典型的な社会科学なのだ!と痛感した。柳田の「世相解説史学」という考え方はよく分る。庶民(農民・漁民など)の考え、生活を探っていくということでは、マルクス史観とも相通じる日本の独創的な学問のように思う。海の世界の俗信(漂流遺体、女性についてなど)は人間の本質論に繋がる興味があった。

  • 民俗学入門。
    「学ぶ人のために」とあるように、民俗学の意義や民俗学を成立させた柳田国男の民族学にかける意気込み、民族学の学問における長所と短所、民俗学への批判などが方法論として半分を割いている。
    残り半分は世界観として、山の世界、海の境など具体的な研究論文を載せる。
    民俗学は近代に成立し(柳田国男が明治以降の急激な西洋か、近代化により人々の生活に根付いた民俗が消えていくことに危機を感じ、消えてしまう前に聞き取り調査をして少しでも多く各地の伝承を収集すべくはじめたことが民俗学の始まりだった)、それから長らく文献史学の立場から批判され続けていたこともあって、その意義を認めさせるのに必死であったんだということがわかる。
    もちろん伝承からすべてがわかるわけではないように、文献からすべてがわかるわけではない。
    お互い得意分野があり、それを補完しあえるようにしていければいいのだが、学問の垣根はまだ高いという。
    それにしても、近代化というのは避けては通れない壁なんだな。

    民俗学云々はさておいておくとしても、近代化による変化は想像以上に大きかったのだろう。
    脱近代という言葉もあったように、新しく前に進むために近代を捉えなおす必要はあると思う。

    民俗学の理念なんてそんな小難しいことなんて読みたくないやー民俗学の研究成果だけを手軽に読みたいよーという人には後半から読むのがお勧め。

全2件中 1 - 2件を表示
ツイートする