科学哲学入門: 科学の方法・科学の目的 (世界思想ゼミナール)

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  • 世界思想社教学社
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  • / ISBN・EAN: 9784790705581

作品紹介・あらすじ

科学を特徴づけるものは何か。正統的科学哲学と新科学哲学の対決を見直し、科学の認識と実践、発見と確証、客観性と主観性、連続性と断絶等の問題を体系的に見わたす、本格的入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 入門書に収まりきらない一歩進んだ議論も多々見られるが,科学哲学の諸問題をよく概説している。現在だと確率論がホットな話題だろう。

  • 読み応えある教科書

  • サイエンス
    哲学

  • 【版元】
    本体2,233円(税別)
    1995年発行
    四六判/286頁
    ISBN 978-4-7907-0558-1

     正統的科学哲学と新科学哲学との対決を見直し、科学の認識と実践、発見と確証、客観性と主観性、連続性と断絶といった科学哲学の諸問題を体系的に見渡す、待望の本格的入門書。科学の歴史的展開をふまえつつ、科学の方法と目的について考える。
    http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=0558

    【目次】
    まえがき(1995年2月 内井惣七) [i-ii]
    目次 [iii-vi]

    第1章 科学と哲学 003
    1.1 「科学哲学」の二つの意味 003
    1.2 科学哲学の基本的な問い 004
    1.3 変化していく物理学 004
    1.4 科学の別の見方 005
    1.5 科学的思考と哲学的思考 007
    1.6 デカルトの方法 008
    1.7 歴史的に変化する科学に即して 010
    1.8 科学哲学の区分と主要問題 013

    第2章 自然科学の方法 016
    2.1 導入 016
    2.2 ベーコンの帰納,ニュートンの規則 017
    2.3 帰納と仮説 018
    2.4 発見の文脈と正当化の文脈 020
    2.5 ハーシェルの仮説演繹法 023
    2.6 ミルにおける帰納と仮説 027
    2.7 ヒューウェルの帰納論 032
    2.8 概念の解明 034
    2.9 概念による事実の統括 034
    2.10 検証と「帰納の統合」 036
    2.11 形式的法則と物理的法則 038
    2.12 確率論と帰納法 040
    2.13 確率論と統計的方法の展開――ラプラスまで 041
    2.14 ラプラスの古典的確率論 044
    2.15 古典的帰納法と確率論的帰納法 048
    2.16 科学的方法に関する見方の変化 050
    2.17 マクスウェルと統計的方法 054
    2.18 帰納と仮説に関するまとめ 055

    第3章 反証主義 057
    3.1 導入 057
    3.2 帰納法は正当化できるか 057
    3.3 確率論的帰納法と枚挙による帰納 061
    3.4 ライヘンバッハの「帰納の擁護」 062
    3.5 反証可能性,演繹主義,科学の境界設定 064
    3.6 仮説選択の基準 067
    3.7 帰納と「テストによる裏づけ」との違い 070
    3.8 確率・統計的仮説の「反証」 072
    3.9 補助仮説の問題 075
    3.10 理論の反証か補助仮説の反証か 079
    3.11 反証主義の難点 080
    3.12 反証主義と「研究プログラム」の方法 082

    第4章 科学的説明 085
    4.1 導入と展望 085
    4.2 因果的説明 087
    4.3 規則性のもとへの包摂による説明 091
    4.4 統合による説明 093
    4.5 説明の三つのタイプ――ミルの分類 096
    4.6 ヘンペルの説明分類 102
    4.7 メンデル遣伝学における統計的説明 105
    4.8 ヘンペルの説明理論に対する反例 107
    4.9 統計的説明の問題点 110
    4.10 「説明」の歴史的変化 112
    4.11 目的論的説明 117
    4.12 まとめ――科学的説明の何が問題か 120

    第5章 理論、観察、測定 123
    5.1 導入 123
    5.2 古代の天文学における観察 126
    5.3 定量的観測データの互換性 127
    5.4 現象 127
    5.5 現象の規則性 129
    5.6 不規則性の取り扱いと理論の展開 130
    5.7 コペルニクス天文学――現象を救う工夫か,世界の記述か 133
    5.8 道具主義的解釈は不当か 139
    5.9 「均衡」や「調和」の評価は趣味の問題か 141
    5.10 有望な理論か確立された理論か 143
    5.11 本論復帰――観測は理論に依存するか 146
    5.12 気体分子運動論 148
    5.13 測定結果と理論的概念 151
    5.14 暫憲的結論 153

    第6章 仮説の形成と確証 155
    6.1 導入 155
    6.2 数学における「発見の論理」 156
    6.3 類あるいはパターンの発見 159
    6.4 実験科学における発見と帰納 160
    6.5 帰納的な飛躍 164
    6.6 確証の論理と「カラスのパラドックス」 167
    6.7 確率の公理といくつかの定理 170
    6.8 ベイズの定理 173
    6.9 統計的仮説の確証 177
    6.10 経験的確率と帰納的確率 180
    6.11 帰納における主観的要素 183
    6.12 事前確率と類の推定 184
    6.13 統計的でない仮説の確証への拡張 187
    6.14 確率の解釈――確率の二つの側面 190
    6.15 古典的解釈 192
    6.16 確率の頻度説 195
    6.17 傾向性解釈 200
    6.18 主観説 204
    6.19 論理的解釈 209
    6.20 確率の解釈――まとめ 211
    6.21 帰納法の仮説的性格 214

    第7章 科学理論の変遷 218
    7.1 導入――連続性と断絶 218
    7.2 パラダイム概念の多義性 220
    7.3 クーンの急進的主張 223
    7.4 クーン説の一般的難点 228
    7.5 クーンの理論評価の基準 233
    7.6 理論評価における主観性の諸相 235
    7.7 ベイズ主義から見たパラダイム論 241
    7.8 ベイズ主義はクーンから何を学べるか 243

    第8章 科学の目的 246
    8.1 科学を特徴づけるものは何か 246
    8.2 科学の「実態」 250
    8.3 科学理論の目的 252
    8.4 科学の成功を説明する? 256
    8.5 ファン・フラッセンの構成的経験論 258
    8.6 観察可能性と科学の目的 262
    8.7 理論受容の認識的側面と実用的側面 264
    8.8 むすび 265

    文献表 [267-274]
    索引 [275-278]

  • Sun, 01 Jul 2007 wrote

    前回の学術創成のKick Off MTGでどの先生だったかが,ちょっと内井先生の名前に言及しておられた(文脈は忘れたけど).

    ふと「あ,西垣通先生の研究会でも名前が出てたなぁ」とおもって,なんか読んでみたくなって一冊買ってよんでみました.

    いままで,科学哲学のお薦めの本といえば,
    戸田山和久先生の
    「科学哲学の冒険」
    だったんですが,

    内井先生のこれは,また違ったわかりやすさで素晴らしかった.

    ここ最近,ずっと,科学と限定はしないが,学問の方法論でモヤモヤしていたので,
    あくまで科学哲学の視点ではあるが,その歴史を教えてくれたところで非常に有益だった.

    現在の科学者は統計的データの基づいて真実性を検証していく確率論的な帰納法を用いてやっている.わけだが,それとて,
    必ず真実にたどり着けるというものでもない.

    それで,ありながら,科学・非科学の議論になると,急にポパーの反証可能性に基づく反証主義に転んだりする.

    K研究室でK教授の話を聞くことも多いせいか(まあ,システム論者には結構多い言い方なんだけど),
    「反デカルト!反要素還元!」
    っていうアジテーションが多く起こる.

    まあ,もちろん,システムという言葉が既に,要素の相互作用から生まれる「系」の事を指し,要素自体の解明で解明できな部分を扱うんだから,要素還元を攻撃するのは当たり前.

    1次関数君
     「世の中のことは全て,1次関数でカタがつく」
    2次関数君ともっと高次の人たち
     「そ,そんなわけないじゃないかっ!もしそうなら俺たち,どーなんだよ!!」


    でも,この本読んで,最近自分が苦悩している問題は
    「デカルト,そんなに関係ないんだなー」
    と思うようになりました.


    最近,苦悩していることっていうのは,所謂ソフトサイエンス的な分野(認知科学,認知脳神経科学,社会科学,組織論,経営学,などなど)で,系が元来,物理的対象のようには,固定的でもなければ計測できるわけでもないうえ,それらもシッカリできず,システムの恒常性(みたいなもん:システムの時不変性)も存在するかわからんもんに,無理に科学的手法をとる結果として,
    いつまで経っても議論に幕引きのない戦いが続くという,徒労みたいな状況はなんとかならんのか.


    みたいな話,なんですが(長い).

    どうも科学的方法っていうのは
    「言語なり数式なりで記述された形式を実験を通して統計的に確度を高めていく」
    というのが,主な営みのようです,
    科学哲学な話でいうと,後半の実験を通して統計的に確度を高めていくの方に,
    ウェイトが置かれる事が多いようですが,現在,隆盛な科学非科学ギリギリラインな学問達で言えば,

    前半の言語なり数式なりで記述された形式
    が,well definedかって問題の方が激しく疑問.

    シンボルが研究コミュや社会でシェアされてるかって話なんですけどね.

    普通,心理学とかで苦慮されるのは,統計的に確度を高めようにも被験者が足りないとかいって苦悩されてはるんですけど.
    前者の仮説の方もこまった感じになっているのじゃ無いでしょうか?

    特に,メディアを通した一般人への啓蒙という点では,
    19世紀の科学には無かったような問題を孕んでいます.
    特に,認知科学,心理学,脳科学~
    !?(まあ,自分もコミットしてるだけに反省も込めて)

    例えば「サルは相手の心を予測できる」とか言う話とか「人間がキレる仕組みが徐々に解ってきた(by NHKスペシャル)」とか・・・

    ・ディフィニションがナンボでもあるような話がドンドン出てくる.科学的命題の中に,科学の範囲で定義しきれないものが既に入っている.
    ので,それを論証するということもそれに引っ張られて純粋な科学の枠からは知らない間に落ちている.
    しかし,そんなロジックを分からない
    (普通分からん)

    視聴者は,あらぬ期待をするわけで・・・.
    実際の実験室では,その言葉自体とやってる実験とには一般人から見るとハテナマークが30個くらいでる開きがあったりするわけで.
    さらに,業界の中でもシェアされきれてない場合が多い.

    「ビー玉が30cm飛んだ」というあからさまに計測出来る物理科学事象とは大きく違うのを分かっていただけるでしょうか?
    で,ここで言いたいのは,「おまいら非科学じゃー!」って
    言いたいのではありません

    じゃあ,そんな制約条件の中で,その事実を直視した上で,僕ら学の人間は,「人間を扱う学問」の世界で何が出来るか考えなあかのです.
    名誉あるし権威もある
    科学者
    の称号を返上してでも,やらなあかんのです.
    多分.


    と,再度,思うのでした.何とかせんと,この前もネタになった大学研究から教育現場への学知の還元みたいなことが厳しいのです.
    あと,ポパーの反証可能性とかクーンのパラダイムシフトとか,世の人が喜んで使いがちなトレンディワードに対して,
    「納得いかんもんは納得イカン」的にシッカリハッキリ,駄目な点を指摘してはったのが魅力的でした.
    京大に居られる間に授業を受けてみたかったもんです.


    ちなみに,科哲入門本でありながら,社会構成主義ネタはパスでした.
    僕的には「わしは社会構成をよく分かってないんじゃないか?」と,最近おもっているので,
    内井先生のわかりやすい論調で教えていただきたかったのですが~.他の本にはかいてはるのかな?

    ちなみに,
    内井先生はもともと工学部の精密系
    (僕の卒業した専攻)の出だそうで,その後,文学部に行かれたようです.
    をを,親近感!

  • [ 内容 ]
    科学を特徴づけるものは何か。
    正統的科学哲学と新科学哲学の対決を見直し、科学の認識と実践、発見と確証、客観性と主観性、連続性と断絶等の問題を体系的に見わたす、本格的入門書。

    [ 目次 ]
    第1章 科学と哲学
    第2章 自然科学の方法
    第3章 反証主義
    第4章 科学的説明
    第5章 理論、観察、測定
    第6章 仮説の形成と確証
    第7章 科学理論の変遷
    第8章 科学の目的

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「科学」という言葉の使い方について考えさせられる本。

    日ごろ、仕事においては、
    マネジメントとかモチベーションとか変革とか、
    いわゆる人や組織の行動、心理について考えることが多い。

    にもかかわらず、「科学的検証」や「科学的手法」など、
    そういう言葉が使われることがよくあり、
    そのときの「科学的」は「合理的」「正しい」が含意されている。

    自分にはどうしてもこれが納得できなかった。
    「科学的」という言葉にかこつけて、正しさを押し付けているような、
    そういう感覚がつきまとっていた。

    科学哲学という学問は、そういう絶対的科学信仰に対して、
    そもそも「科学」とは何か、今のところ完全な定義はない、
    ということを教えてくれる。

    極端な学説だと、道具主義とか相対主義とか、
    ちゃんと科学を職業にしている人への冒涜かと思えるものもあるが、
    この本は比較的ニュートラルに書いており、結論は留保している。

    ちゃんと自分で考えて最後まで読めば、
    「科学的」に検証されたと自称する本質的に非科学の理論に対して、
    冷静な目で見ることができるようになるだろう。

  •  著者のまえがきによると、本書は京都大学文学部で行われた「科学哲学入門」という講義を基にして書かれたものらしい。元々が講義ノートであるからか、導入のため読者に親しみやすく書かれている入門書というよりは、科学哲学で使われる用語や概念を正しく把握しながらその全体を概観できるような本になっている。厳密さを重視しているようで、初めて知る人にあまり分かりやすいとは言えないかもしれない(私自身、読んだ内容を消化できていない気がする)。

     「科学哲学」とは科学についての哲学である。つまり科学で用いられる方法、科学理論、科学的説明などについて、哲学的視点から「正しいといえること」を探すものである。メタ科学(科学の科学)と言ってもいい。

     科学は正しい事実を明らかにしているのだろうか? そもそもどうなれば「明らかになった」といえるのか? 科学的な方法とは何を指しているのか? 科学に対して懐疑的な人は本書を面白く読めるだろう。あるいは、科学に対して盲信的な人は。

    ****************************************
    目次

    第1章 科学と哲学
    第2章 自然科学の方法
    第3章 反証主義
    第4章 科学的説明
    第5章 理論,観察,測定
    第6章 仮説の形成と確証
    第7章 科学理論の変遷
    第8章 科学の目的
    ****************************************

  • 戸田山『科学哲学の冒険』読書案内より。

  • すばらしかったです。読んでください。

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