嗜好品文化を学ぶ人のために

著者 :
制作 : 高田 公理  嗜好品文化研究会 
  • 世界思想社
3.57
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本棚登録 : 67
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790713296

作品紹介・あらすじ

コーヒー・酒・たばこ・お茶はもちろん、コーラ(西アフリカ)やカート(イエメン)、さらには香水・ハチミツ・音楽・ケータイまで!人をひきつけるモノを解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 【書誌情報】
    編者:高田公理
       嗜好品文化研究会
    http://www.cdij.org/shikohin/publication.html
    ジャンル 社会
    シリーズ 学ぶ人のために
    出版年月日 2008/04/30
    ISBN 9784790713296
    判型 4-6
    頁数 258
    定価 本体2,000円+税
    NDC:383.8

    コーヒー・酒・たばこ・茶・チョコレートはもちろん、コーラ(西アフリカ)やカート(イエメン)、さらには香水・ハチミツ・音楽・ケータイまで、人を惹きつけるモノを解き明かす。遊びと楽しみを学問するための決定版入門書。文献リストつき。
    https://sekaishisosha.jp/book/b354060.html


    【私的メモ】
    ・一読後のメモ。
     本書には「高価なミネラルウォーター」は嗜好品だ」という主張が載っている。嗜好品文化研究会の過去の発表でも同様の主張がなされている。ついでに言えば、アディクション研究の文献でも言及されているのも見かけたことがある。
     わたしはこの主張に懐疑的だ。かりにミネラルウォーター市場を価格設定や購買意欲の点から分析するならマーケティングの世界の話だが、本書での「水道水より高価→でも売れてる→よって嗜好品」という理屈は、短絡しているように思えた(少なくとも本書では。別の書籍・論文ならもっと詳しい説明があるかもしれない)。
     この理屈はやや雑というか包摂しすぎるので、なんなら不動産も恋人選びも学校選びも「嗜好品」の範疇に入ってしまう。ここまで広い定義だと、いわゆる普通の嗜好品について考察したい場合には、かえって使いにくいだろうと思う。
     敢えて普通のことばで括るなら、ミネラルウォーターもアクセサリーも「奢侈」「贅沢」でいいと思う。奢侈品なら経済学の分析になる。
     なお、高田公理による「序章」には、本書での簡単な嗜好品の定義が載っていたので抜粋した。


    【目次】
    目次 [i-vi]

    序章 嗜好品文化研究への招待[高田公理] 001

      1 多様なる嗜好品の世界 
    コーヒー [臼井隆一郎] 016
    茶・紅茶 [井野瀬久美惠] 023
    酒・アルコール飲料 [高田公理] 031
    たばこ [高田公理] 038
    清涼飲料水 [赤岡仁之] 046
    カカオ・チョコレート [北條ゆかり] 053
    菓子 [加藤ゆうこ] 062
    香辛料 [疋田正博] 068
    ビンロウ [野林厚志] 071
    コーラ [江口一久] 076
    カヴァ [山本真鳥] 080
    カート [佐藤寛] 085

      2 広がりゆく嗜好品の世界 
    ハチミツ [澤田昌人] 094
    砂糖 [井野瀬久美惠] 098
    香水 [上野吉一] 102
    お香 [畑正高] 106
    油脂 [伏木亨] 112
    水 [疋田正博] 115
    塩 [澤田昌人] 118
    音楽 [小川博司] 122
    ケータイ [藤本憲一] 126

      3 嗜好品文化へのアプローチ 
    歴史学 [井野瀬久美惠] 132
    文化人類学 [栗田靖之] 137
    経済学・経営学 [日置弘一郎] 142
    法学・政治学 [佐藤憲一] 147
    社会学 [藤本憲一] 153
    宗教学 [中牧弘允] 158
    文学 [臼井隆一郎] 163
    心理学 [上野吉一] 169
    生理学 [山本隆] 175
    植物学 [白幡洋三郎] 181

      4 嗜好品文化研究の古典 
    臼井隆一郎『コーヒーが廻り世界史が廻る』  [井野瀬久美惠] 188
    小林章夫『コーヒー・ハウス』 [井野瀬久美惠] 190
    広瀬幸雄・星田宏司『増補・コーヒー学講義』 [栗田靖之] 192
    岡倉天心『茶の本』 [藤本憲一]  194
    谷晃『わかりやすい茶の湯の文化』 [栗田靖之] 196
    角山榮『茶の世界史』 [井野瀬久美惠] 198
    麻井宇介『比較ワイン文化考』 [疋田正博] 200
    石毛直道編『論集 酒と飲酒の文化』 [高田公理] 202
    坂口謹一郎『日本の酒』 [白幡洋三郎] 204
    米山俊直・吉田集而ほか編『アベセデス・マトリクス』 [藤本憲一] 206
    上野賢實『タバコの歴史』 [高田公理] 208
    グッドマン『タバコの世界史』 [白幡洋三郎] 210
    ペンダグラスト『コカ・コーラ帝国の興亡』 [疋田正博] 212
    ウォーバートン&シャーウッド編『ストレスと快楽』 [白幡洋三郎] 214
    コルバン『においの歴史』 [藤本憲一] 216
    シヴェルブシュ『楽園・味覚・理性』 [高田公理] 218
    ドッジ『世界を変えた植物』 [白幡節子] 220
    松浦いね・たばこ総合研究センター編『世界嗜好品百科』 [疋田正博] 222
    ワインバーグ&ビーラー『カフェイン大全』 [栗田靖之] 224

    終章 嗜好品文化研究の発展のために[高田公理] 227

    嗜好品文化を学ぶための文献リスト [249-239]
    執筆者紹介 [252-250]
    編者紹介 [253]



    【抜き書き】
    □簡単な定義(pp. 2-3、高田公理「序章」)。

    ――――――――――――
    では「嗜好品」とは、いったい何なのか。ここで、その特質を仮に、つぎの七項目に整理しておく。

    (1)「通常の飲食物」ではない =栄養・エネルギー源としては期待しない。
    (2)「通常の薬」でもない=病気への効果は期待しない。
    (3) 生命維持に「積極的な効果」はない。
    (4)しかし「ないと寂しい感じ」がする。
    (5) 摂取すると「精神(=心)に良い効果」がもたらされる。
    (6) しばしば人と人との出会いや意思疎通を円滑にする効果を発揮する。
    (7)「植物素材」が使われる場合が多い。

     してみれば「嗜好品」は、「遊びと楽しみの要素をはらむ飲食物」だともいえよう。
    ――――――――――――

  • 図書館本 383.8-Ta28 (10008007990)

  • 【人類文明史は、すべてを「遊び」に変えてきた】p1
    衣食住〔自然→農耕→工業→情報〕
    +遊
    人類の営みは、遊びと楽しみに変えるプロセスだった?

    【嗜好品とは?】p3
    栄養摂取を目的とせず、香味や刺激を得るための飲食物 『広辞苑』
    ①「通常の飲食物」ではない=栄養・エネルギー源としては期待しない。
    ②「通常の薬」でもない=病気への期待はしない。
    ③生命維持に「積極的な効果」はない。
    ④しかし「ないと寂しい感じ」がする。
    ⑤摂取すると「精神(=心)に良い効果」がもたらされる。
    ⑥しばしば人と人との出会いや意思疎通を円滑にする効果を発揮する。
    ⑦「植物素材」が使われる場合が多い。
    ⇨してみれば「嗜好品」は、「遊びと楽しみの要素をはらむ飲食物だともいえよう。

    →現代で言えば、携帯や音楽、テレビ、アクセサリー、アロマグッズなども当てはまる?

    【緊張を緩め、出会いと意思疎通を円滑にする】p4

    嗜好品のイメージ、図1 p9
    図2, 3 p10-11

    ところで、たばこ、酒、コーヒー、茶・紅茶などは本来、複数の人間が集まって楽しむものだった。儀礼的に用いられる場合が多かったともいえる。しかし、現代の都市社会では、それらが「個人的に使用される」場合が多い。p13
    くわえて現代の都市生活者は、多忙やストレスや孤独にさいなまれている。ならば嗜好品に、リラックスや癒し、他者との交わりの楽しみを求めそうなものである。ところが、実際には「気つけ=覚醒」の効果を求める。しかも、その摂取法は「ひたすら個人的」ーここにもまた、不思議な矛盾撞着が見え隠れする。

    飲酒は適度な酔い、すなわち酩酊にともなう気分の高揚、理性の減退をもたらす。こうした心身の反応の本体は、中枢神経系の抑制にある。p34

    タバコの利用法:
    葉や茎を加工して、噛んだり、水に溶かして飲んだり、粉にして鼻から吸ったり、燃やして煙を吸ったりする。p38
    摂取法
    乾燥した葉に石灰を混ぜて噛むチュウイング(噛みたばこ)、細かく砕いた粉を鼻から吸引するスナッフィング(嗅ぎたばこ)、葉を浸してニコチンを溶かした水を飲むドリンキングなどである。p40

    都市パレンケの「十字架の神殿」に、パイプを口にくわえて煙をふかす、浮き彫りの神像がある。建造時期は7世紀末、1300年あまり昔の話だ。p39

    覚醒効果や鎮静効果などの効用から、古代マヤ文明やアメリカ先住民社会では、たばこが「超自然的な力を持つもの」と考えられた。そして、自然災害の排除や戦争の勝利を神に祈願するさいの捧げ物、休戦協定のさいに敵味方がともに摂取する社交財、病気治療のための医薬品など、さまざまな目的に用いられた。

    1853年にクリミア半島で起きた戦争以来紙巻きタバコ(シガレット)が急速に普及。兵士の間でいつでもどこでも吸えるたばこは、極度の緊張にさらされる戦場でそれを緩めてくれる常用品として広まった。p44

    消費者は清涼飲料水を「実体としての製品」ではなく、「ブランドという情報」「パッケージという視覚情報」を重視し、消費を楽しんでいる。p51

    レヴィストロースによる南アメリカのたばこ起源説話の分析例を紹介し、たばこが天と地、地と水の媒介をなしていて、神と人とのコミュニケーションを確立すると結んでいる。p159

    『ストレスと快楽』ウォーバートン
    人びとにとって、生きることは単に生き残ることではないのである。生活の質は、個人の欲求、要求、願望を満たすのに必要な手段を持つか否かによって決まる」

    森鴎外「嗜好品は薬に似ている。それは必要なものであると同時に、毒になることもある」p230

    <メモ>
    嗜好品のない世界、どこか味気ない。
    世界をちょっと良くするもの?
    QOLに寄与する。
    嗜好品は人々の生活時間を変える?
    Ex. タバコ休憩、ティータイム

  • 酒・たばこ・コーヒー・茶の四大嗜好品はもちろん、香辛料や香り、調味料、携帯電話まで。
    現代文化をわかりやすく読み取れた。

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著者プロフィール

高田公理(たかだ・まさとし)
1944年京都市に生まれる。
武庫川女子大学教授。
観光学・都市文化論・比較文明学専攻。
主な編・著書に『酒場の社会学』(PHP文庫)『自動車と人間の百年史』(新潮社)『「新しい旅」のはじまり』(PHP研究所)『料理屋のコスモロジー』(ドメス出版)『嗜好品の文化人類学』(講談社メチエ選書)ほか

「2005年 『文明としてのツーリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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