嫉妬と羨望の社会学 (世界思想ゼミナール) (SEKAISHISO SEMINAR)

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  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790714002

作品紹介・あらすじ

他者への関心から芽生える複雑な情動-。嫉妬・妬み・羨望の情動の生成から表面化までのメカニズムを社会学的・社会心理学的な視角から体系的に探る試みを展開。"嫉妬"の正体の社会学的解剖。

感想・レビュー・書評

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  • 妬みと嫉妬の生成過程を網羅的に記述しようとする希少な書。人類史とは妬みと嫉妬の歴史であるのかもしれない。著者は妬みと嫉妬の根本的解決は不可能であるという結論を導出している。そして, 平等社会が実現すればするほど, 結局, 個体間の微細な差に心的志向性が生じ, それがまた妬みと嫉妬を助長するのだという。

    著者は, 妬み(自分が所持していないとみなす価値を羨望することから生じる情動)について, 認知の再編成が唯一のリスクのない解決方法であるとする。一方, 直接的に働きかける手法は, それ自体が妬みの行為であるとみなされやすく, 自己の現況を悪化させることが多いとする。また, これについて, 有能な"心理的セラピスト"による認知改革を支援する役割がますます求められるかもしれないと予言している。著者はその役割を心理的セラピストと呼称する職名に固定しているが, 詩性 • 美性を司るすべての職務にその要素は見受けられてしかるように私は思う。それは各者の権威を利用することによってもしくは隠秘的術式によって価値を再編成するもしくは価値表の自己最適化を解発する錬金術であるといえよう。

    嫉妬(自己に帰属していると自分がみなしている価値が第三者に回収される懸念から生じる情動)については, それが文化コードにあらかじめ強く拘束されているがゆえに, 解決方法はないとする。
    これについては, 文化コード自体の脱構築によって, 解決される場合もありうると思われるが, ある文化コードの設定された領域に留まり続ける土着的個体については, その文化コード自体の自己批判機能が形成されない限りは困難であるのかもしれない。たとえば, 現行の一般的な一夫一妻の結婚制度においては, 不倫は配偶者の相互的"所有権"を侵犯する悪徳であるとされ, ゆえに嫉妬の温床となることが常であるが, 相互の文化コードが配偶者の所有権を正当であるとみなさない文化コードに再生成されるのであれば, 各者の自由な性的活動, 自由な社会的活動が認められることもありうる。このように既存の文化コード自体の実質的合理性を参与者が相互的に検証することも漸近的解決手段としては有用であると私は思う。ただし, 先にも述べたように, 認識構造の粘着性が高い個体については, その検証作業自体が非常に困難であることに変わりはない。なぜならば, 文化コードは自分が所持しているとみなす価値を自己正当化とともに設定されていることが多いために, 文化コードを再検証することは, その価値保有(感)の正当性が失われる懸念を生み出し, よって自己価値(感)も損なわれると認識してしまうからである。

    「事実また私は女性を怖れているが、男でも私がもっとも怖れるのは馬鹿な男である。まことに馬鹿ほど怖いものはない。」—三島由紀夫

  • 嫉妬ってなんだろ?という疑問からこの本を読んでみました。
    これを読むと、自分って周囲からマイペースとはよく言われますが、普通に育ててくれた両親に感謝しました。

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プロフィール

1955年京都大学修士課程修了。大阪大学名誉教授。

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