広告のクロノロジー―マスメディアの世紀を超えて―

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  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790714477

作品紹介・あらすじ

デジタル化、ネットワーク化、モバイル化-激変するメディア環境のなか、テレビを中心とするマス広告は朽ちつつあるのか。過去と現在を同時に見据え、未来への胎動を探る、世紀を超えた年代記。

感想・レビュー・書評

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  • 2010年の発刊の日本広告年代記ですが、2007年のスマホ登場直前で時制が止まっているのはそれぞれ別に発表された小論の再構成だからでしょう。この本以降の広告というビジネスの変容は劇的ですが、それでも結語で触れている「1→n」「1→1」「n→1」「n→n」そして「1→n→n」という広告の変化についての分類はGAFAが猛威を振るう現状でも問題を認識するための有効なフレームだと思います。しかし、この本で魅力的なのは第一部の「広告史の諸相」です。著者のデビュー作「撃ちてし止まむ」以来の詳細な文献研究による当時の広告界の炙り出しにより日本の広告ビジネスがどのように変化してきたか、という物語には、広告というものが過去を参照しながら、常に過去を流し去り続けるものであることが改めて確認出来ます。第一部、第二部通しての読後感として、今までは社会が変わるから広告も変わると思っていましたが、資本主義である限り企業活動としての広告は未来永劫残り、広告が変化することが実は社会を変化させることに繋がる、というような思いに至りました。「出版」「放送」時代の広告がつくる社会が「通信」による広告がつくる出す社会は?これからもっともっと変化しそう。

  • 戦中、日本の宣伝研究者たちにとって最大のお手本はナチスドイツだった。ナチスの宣伝組織の充実ぶりは常に日本の実情と対比において語られていた。ナチスドイツは文化政策においても範たる存在だった。

    西武セゾンは相対としては、企業ー店舗&商品ー広告の三社会んの齟齬が顕著となり、90年代以降、広告上手な座はそれらの強固な三位一体によってアイデンティティを築きあげ、そこに広く人々をインヴォルブし得た広告主へと明け渡されていった。

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著者プロフィール

【編者】難波功士(なんば・こうじ)
1961年大阪府生。関西学院大学社会学部教授。博士(社会学)。『広告で社会学』(弘文堂)、『社会学ウシジマくん』(人文書院)、『メディア論(ブックガイドシリーズ基本の30冊)』(人文書院)など。

「2023年 『吉見俊哉論 社会学とメディア論の可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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