拡大する世界の再生可能エネルギー 脱原発時代の到来

  • 世界思想社 (2011年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784790715436

感想・レビュー・書評

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  • 開発目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB99343115

  •  職場の図書館の新着図書の棚でみつけて借りてきた。

     自分は、本を読むときは、著者の論理に身を任せて、一応素直に説得されてみる。それから違う意見も勉強してみて、自分のアタマに湧いてくる疑問や意見を大事にするという姿勢で臨んでいる。

     そのため、池田信夫さんでも、内田樹さんでも、藤井聡さんでも、マルクスやマックスウェーバーでも素直に読んでいる。

     読んだ直後にくそ本とおもうことはほとんどないのだが、この本はくそ本。

    (1)再生エネルギーの説明の際に、再生エネルギーが海外でどう伸びているかのグラフがたくさんでてくるが、本来、エネルギー全体の中でどういうシェアを占めてきているかが重要。例えば、再生エネルギーだけをみて右肩あがりだからといって、シェアがすごく低ければ重要性が極めて低いということ。著者が推薦しているドイツは、確かに再生エネルギーが伸びているが、今でも45,6%は石炭火力で発電しているはず。そういう事実を隠していると、かえって、説得力がない。

    (2)風力とかヨーロッパで伸びているが、風力は安定性がなく、ドイツでは風力が予想以上に発電し、それが送電網に送り込まれて、大規模な停電が発生した。また、一時的に電気をためる蓄電池の仕組みも極めて非効率、効果なもので、この不安定性がおおきな課題のはず。これを一切コメントしない神経が理解できない。

    (3)再生エネルギーを税制、補助で支援したり、電力会社に高額で買い取らせることによって再生エネルギーが進んでいるのは、著者も認めている。アメリカでは保守政権になったとたんに再生エネルギーの採用がダウンしている。(p119)この問題も、そういう政策が結局国民の税金や電力料金の負担になるのに対して、再生エネルギーが具体的に国民生活にどう貢献しているのかについての言及がまったくない。

     要は、再生エネルギーはすばらしいという前提で、都合よくデータを加工し、都合の悪い情報は無視している。

     しかし、エネルギー問題は、国家の経済社会、国民生活に直結する問題なので、アプリオリにそういう前提を置くのではなく、国家の経済社会、国民生活の改善に役立つためのエネルギー政策とは何か、その中で再生エネルギーはどういう位置を占めるべきかという論理を展開すべき。

     ひさしぶりにくそ本にであった。図書館はなんで買ったのかな。献本かな。

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著者プロフィール

公益財団法人自然エネルギー財団上級研究員。1979年広島県生まれ。立命館大学大学院国際関係研究科博士後期課程修了。博士(国際関係学)。有限会社ひのでやエコライフ研究所、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構を経て現職。専門は環境経済学、再生可能エネルギー政策論。主な著作に『拡大する世界の再生可能エネルギー』(共同執筆、世界思想社、2011年)『国民のためのエネルギー原論』(分担執筆、日本経済新聞出版社、2011年)など。

「2015年 『エネルギーの世界を変える。22人の仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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