ホロコースト後のユダヤ人―約束の土地は何処か (金沢大学人間社会研究叢書)

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  • 世界思想社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790715757

作品紹介・あらすじ

ホロコーストの嵐が吹き荒れるなか、ユダヤ人に逃走する理由がありすぎるほどあったとすれば、戦後、彼らはなぜ、もとの居住地に帰還して生活を再建せず、ヨーロッパを去ったのか。彼らは、どこに行きたかったのか。日本におけるユダヤ人DP(Displaced Persons)問題研究序説。

感想・レビュー・書評

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  • 2011年、真理先生サバティカル取得!実にメデタイ。
    ホロコースト研究者は多いが、ドイツ側からの人が多い。一方で、中東の専門家がユダヤ人問題を包括的に取り組むのは手に余る。っつーことで、こういう文献はとっても貴重なんである。欲を言えば、研究成果の結実である性質上避けられないのかもしれないけど、正確さを期する為のデータ(数字)の羅列が素人にはダレる〜(≧∇≦)

  • 「欧州を去った真の理由」評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家)YOMIURI ONLINE
    http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20130121-OYT8T00432.htm

    早稲田大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ
    http://booklog.kinokuniya.co.jp/hayase/archives/2013/04/post_290.html

    世界思想社のPR
    「ホロコーストからイスラエル建国に至る事情は、現在日本において正確に知られているとは言い難い。本書ではホロコーストとイスラエルのはざまにある問題、国際社会の責任を明らかにし、現在の中東問題の歴史的理解に寄与することをめざす。」

  • 神を畏れぬシオニズムの行為こそホロコーストの原因だったのであり、ホロコーストはシオニズムに対する神の懲罰。
    1945年6月時点でポーランドにいたユダヤ人は7万4000人。そのうち5500人はドイツの収容所からの生還者で3万人はリトアニア、ベラルーシ、ウクライナからの帰還。
    戦後ポーランドではポグロムで多くのユダヤ人が犠牲になった。
    ユダヤ人とポーランド人が乏しい生計手段を奪い合っていた。
    戦後欧州でのユダヤ人DPの状態はアメリカに、絶滅ということを別にすればナチス時代と同様に扱われている、とレポートされた。
    ゲットーの地獄やナチスの強制収容所、ソ連の労働キャンプを生き抜いた者たちが切望しているのは平凡な日常の回復であり、再び戦火に行くことではなかった。

  • ナチ後のユダヤ人の移動とイスラエルのこと。
    第一部はユダヤ人DP(displaced persons / 難民)発生の経緯と世界の反応。
    第二部はユダヤ人DPとシオニスト・イスラエル建国の関係について。

    戦争による難民は戦争が終われば減っていくはずなのに、戦後のドイツやオーストリア(の難民キャンプ)にはユダヤ人難民が押し寄せた。
    ナチがいなくなっても故郷の反ユダヤ主義はなくならない。
    ナチに奪われた財産の返還を求めるだけで殺されたりする。
    だから故郷を脱出し、難民キャンプを経てアメリカ大陸やイスラエルへ移住する。
    イスラエルを目指すのは必ずしも「約束された場所」を求めるからではなく、「居ていい場所」が他にないから。

    ナチの悪(→己の正義)を主張したい連合国はユダヤ人を痛めつけるなんてわけにはいかない。
    けれど大切にしたいわけじゃないから、ゴミ処理場みたいに、「必要だけどうちには来ないで」とみんなが思い、断る力のないアラブに押し付ける。
    「もてあます」って言葉がしっくりくる扱いだ。
    イスラエル建国は「マダガスカル計画」を上手に、もうちょっと人道的にやったようなものだったか。

    ホロコーストそれ自体について知ろうとするときは、ナチが絶対的に悪だから、ひどいことはひどいんだけどまだ気が楽だ。
    その後の話はつらい。世界中に無視されてヨーロッパ中で殺されて、ホロコーストが終わってもポグロムは続いて、世界中でないがしろにされる。
    そんな風に扱われたユダヤ人が自分の場所を求めるのは当然の流れだけど、アラブにとばっちりがいっていい理由にはならない。
    虐待の連鎖を見ているみたいでつらくなる。

    それはナチ後もポグロムまでおこすポーランドや、その他の「去る者追わず」な国や、そもそものドイツも同じだ。
    強いものに叩かれる人たちが、叩きやすいものを叩く側になる。


    表紙に薄くどんとある「DP」の文字は難民のこと。
    難民という訳でほぼあっているけれど、特定の意味でつかわれることもある。
    この本では特定の意味。すなわち第二次世界大戦後に使われた用語で、戦争に起因して移動を強いられた(強制労働・強制収容を含む)「連合国側の」もしくは「枢軸に敵視された」難民。らしい。
    序章からDPの文字があって、これなんだろう説明してくれないとわからないようと思ったけれど、きちんと読んだらこの順番じゃなきゃいけないんだとわかる。
    丁寧に考えられている。薄いわりに読み応えがある。

  •  第二次世界大戦時、ドイツはユダヤ人に対して組織的大量虐殺(ホロコースト)を行った。しかし、ドイツが破れ戦争が終結すると彼らはもとの居住地に戻ることなくヨーロッパを去っていった。なぜ土地を捨て去ったのか、またどこへ行ったのかを詳しく知ることができる。
    (匿名希望 外国語学部 外国語)

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プロフィール

1953年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、金沢大学経済学部系教授。社会学博士。専攻は社会思想史・社会史。著書に『西欧とユダヤのはざま------近代ドイツ・ユダヤ人問題』(南窓社、1992)、『ガリツィアのユダヤ人----ポーランド人とウクライナ人のはざまで』(人文書院、2008)、『ホロコースト後のユダヤ人---約束の土地は何処か』(世界思想社、2012)、など。

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