グッドワークとフロー体験―最高の仕事で社会に貢献する方法

  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790716792

作品紹介・あらすじ

経済と倫理は共存できる!市場の圧力や技術革新によって急激に変化する職場環境、先行きの見えない将来、どう働けばよいのか?質の高い仕事と社会的責任を両立させる"グッドワーク"こそ解決策!ジャーナリズムと遺伝学の現場から得たサバイバル術を指南。

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  • 「グッドワークとフロー体験」Howard Gardner, Mihaly Csikszentmihalyi, William Damon

    グッドワークとは、単にお金や名声だけを追い求めるものではなく、または対立する状況にある時、最も抵抗の少ない道を選択するのではなく、自分の仕事の持つ意味や責任の重さについて深く考える人たちの仕事のこと。使命、天職の感覚を持ち、人類、子孫、地球、神に至るまで認識の範囲を広げる事。

    今日は、日常の衣食住という点では必ずしも困難な時代ではないが、人々が正しい行いを知り、専門職業にとどまる事ができるのかという点から見ると難しい時代。

    グッドワークを実践すると至福の時を感じる。自分の能力の全てを使って、やるべき事が何かを理解しながら難しい仕事に集中して取り組んでいる時に得られる歓喜は人生の中でそう滅多にない。これをフロー体験と言う。

    今取り組んでいる仕事にどっぷり浸かり込むと、時が経つのも忘れ、自我意識を喪失し、自分自身の存在すらも意識しなくなる。その時100%生きているという実感を得る。

    大半の人々はキャリアを歩んでいく中で、適切な行動について自分自身の理解が問われたり、人生における大きな節目について再考を迫られたりする場面に直面する。

    思慮深い実務家は、使命、規範、アイデンティティの基本原則に立ち返る。

    使命とは、根本的な社会ニーズを映し出したものであると同時に、実務家が実現にむけて努力していると感じるべきもの。

    自分は何者か?何を成し遂げたいのか?どの分野で成功できるのか?できないのか?これらの事を内なる世界で自問自答を繰り返す事が豊かな人生。

    鏡に映った自分の姿を堂々と誇らしく見る事ができる時だけが、自分のアイデンディティを認識できた時と言える。

    全ての人は、自身の置かれた状況を振り返り、自分自身の価値観や目標に照らして様々な代替案の軽重を問い、現況の元で最適で長期に渡って継続できるような意思決定を行う必要がある。

    個人に焦点を絞った心理学的視覚がなければ、我々は運命に翻弄される傍観者にすぎない事になる。

    創造的な人々は、金銭的報酬や社会的名声よりも知的発見の喜びにより大きな意味を見出している。それゆえ、同僚や一般大衆からは変わり者だと思われる。

    革新的な人たちが金銭や権力に殆ど関心を示さないのは、仕事そのものの中に直接報酬を感じているため。仕事の中で体験する発見の興奮や感動に満足しており、それはいくらお金を積んでも買えない充実感そのもの。

    実務家がある領域に影響を与える事ができる最も劇的な方法は、彼らが大切にしている価値観を体現した新しい組織を設計する事。

    既存の組織規範を変えようとするより、新しい組織を作る事の方がずっと実行しやすい。

    誰にとっても良い結果をもたらしそうな見込みのある事業を促し報酬を与える事は、コミュニティそのものの責任である。

    未来はどうあるべきかを決定するのは、社会の構成員としての我々次第。我々は全員、社会の利害関係者である。

    長期的な事にもっと価値を見出す事ができるような仕事を導入する事。

    そのドメインが基底に置く価値を明確にする事。そのタスクに関係する新しい知識をもたらす事。その専門職業の目的に役立つ、より良い手続きを制定する事。

    古い道標は、最良の発展方向を示すものとしては不適切。慣性にとって代わるものを描きたいならば、どの価値が未来の地図として役立つかを考える事。

    様々な地域の文化的伝統を超えて、人の最善なる発達とは、第一に最も基本的なニーズ(食、住、性)を満たし、次により高い水準のニーズ(仲間づきあい、能力)を満たし、最後により洗練された能力(寛容さ、寛大さ、自律)を養うように努める事。

    最も発達した人々は、自律と円熟の感覚を示しながら、より広い地域社会、伝統、まだ出逢っていない人々や機関との関係も保つ。

    発達とは、生物学的遺産の制約からどれだけ自由になるかの物差しでもある。

    能力と人格という二つの発達の流れを区別する事。強い人格を持つ人は、困難に直面した時、内的な一揃いの価値観を持っている。

    人格者はいつも適切な意思決定をするとは限らないが、振り返ってみると一連の行動がよく動機付けられていて、思慮分別する原則を持っている。

    人の最善なる発達は、個人主義に留まらず、分化と統合という二つの潜在能力を満たす事。

    分化された人は、能力があり、個性があり、十分に自律的な個を確立しており、西洋文化が目指す最高の目標。統合された人は、その人の目標、価値、思考、行動が調和されており、相互責任や共有された意味体系内での立場を受け入れており、東洋文化が目指す最高の目標。

    目指すべき将来価値は、分化と統合の双方をその人にとっての最高水準にまで発展させる事。

    善意を持った個々人が力を合わせて協働すれば、解決困難に思える問題に取り組み、解決する力を持つ。

    グッドワーカーへの道
    1.ドメインに組み込まれている規範を再考する事。
    2.同じ目的を共有する他の人々の支援を仰ぐ事。仕事の内外で仲間を探し、組織を立ち上げる事。
    3.実行への強い意志を持つ事。自分の暗黙の誓約に恥じない人生を送る決意をする事。

    「誠心誠意打ち込んでいる人たちの小集団が世界を変える事ができるという事になんら疑問はない。実際これまで起きたことは、それだけの事である。」-マーガレット・ミード

  • 先行きの見えない将来をど受けデザインするのか、グッドワークとフロー理論のシンクロ、経済と論理の共存、興味津々の書です。

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