広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡

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  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790717034

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  • 勉強になりました。

  • 広辞苑の生みの親・新村出の孫にあたる恭氏が、あまり世に出ていない出の伝記について書き下ろした本。彼の生涯にスポットを当てた1部、広辞苑にまつわる物語を書いた2部、新村出の交友録を記した3部から成る。

  • 本書は『広辞苑』の著者新村出の孫に当たる恭(やすし)氏による新村出伝である。『広辞苑』についての章もあるが、それについては新村猛氏が書いていて、ここでは「真説」を被して論じられている。本書は本来なら『新村出伝』でよかったと思うのだが、今新村出のことを知っている人がどれだけいるかという編集者の危惧からか、より人々に知られている『広辞苑』をタイトルに持ってきたのではないか。『広辞苑』は多くの電子辞書にも入っているが、それを使う人がその著者まで知っているとは限らないからである。しかし、ぼくにはこのタイトル「なぜ生まれたか」は不可解だ。なぜならそこが本書の中心ではないからだ。それより、『広辞苑の著者新村出の生涯』でもよかったのではないか。それはともかく、新村出の師は上田萬年、これも知る人ぞ知るだろう。そして弟子の一人は泉井久之助。泉井さんはぼくの友人の先生で、本も何冊か持っている。上田萬年は国語の確立に貢献した東大の高名な言語学者。新村出は東大で言語学を修め、のちに京大に移っている。この京都の自由な学風がかれの後の言語学者としての方向を決定した。また、ぼくが出の学問で一番世話になった南蛮研究は出が早くして欧州留学に行ったことと関わる。出はよき家柄に生まれ、幸せな人生を送ったが、妻の荒川豊子とは当時珍しい恋愛だったそうで、相手の家の反対にもめげず意志を通して結婚し、この妻を一生愛し続ける。本書では、出の初恋の人の話や、出が高峰秀子の熱烈なファンであったとか逸話も満載である。さらに、本書を貫いているのは歌人佐佐木信綱の大きな影響を受けた出の多くの和歌である。この部分は和歌が苦手な人には少々つらいかもしれない。

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