賀茂川コミュニケーション塾 ビブリオバトルから人工知能まで (教養みらい選書 5)

  • 世界思想社 (2019年11月26日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790717379

作品紹介・あらすじ

ビブリオバトルの考案者にして、人工知能の研究者が、
既存の学問枠組みにとらわれずに、コミュニケーション
の新しい視点を伝授する。
教授と高校生の対話によるライトノベル形式の入門書。

この夏、僕は向き合った。
高校生からの「コミュニケーション」についてのあらゆる質問に。
彼女たちと語り合った日々を忘れない。
ビブリオバトルって何?コミュニケーションするロボットは創れる?
会議で意見を出してもらうには?太陽光発電とコミュニケーション?

物語の舞台は、京都・賀茂川のほとり喫茶店エトランゼ。
喫茶店で本の執筆をする教授のところに、
近くの高校の女子高校生たちが訪れ、
学校での悩みから人工知能の未来まで
コミュニケーションについてのあらゆる質問をして、教授が答える。
喫茶店はまるで私塾のようで、
教授と高校生たちがコミュニケーションについて語り合う。

――はじめにより
コミュニケーションの概念をより明晰に理解したい、
そして、僕たちのコミュニケーションをよりよく、
より豊かなものにしたい。それはきっと、僕たち自身が
どういう存在であるのかを知ることにつながり、また、
僕たちの社会をよりよくすることにつながるのだから。

感想・レビュー・書評

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  • ラノベ風に書かれたコミュニケーションの入門書。シャノン・ウィーバーのコミュニケーションモデルでは、工学的な理論としては妥当だが、日常のコミュニケーションにはあてはまらない、として第1章が始まる。そこから、ビブリオバトル、会議の設計、AIの解釈、電力の供給と需要などについて、コミュニケーションの観点から語られる。人間のコミュニケーションは、主に「記号」「貨幣」「同期」の3つがあるという解釈はわかりやすく、「言葉」は恣意的なときがあるというのが面白かった。
    コミュニケーションは、送り手の情報を受け手がそのまま受け取るというわけではなく、受け手が自ら解釈し、意味を見出すことによって、成立していく。これからのコミュニケーションで意識したい。

  • 『もしドラ』のコミュニケーション論バージョンのような一冊。
    ビブリオバトルの発案者にしてAIの研究開発をしている教授と呼ばれる僕が、原稿を書くために通っている喫茶店エトランゼで、質問魔の女子高生に色々質問されて、ついついコミュニケーションについて色々講釈をすることになってしまうという筋で、ラノベ風のイラストも挟まれている。
    著者自身が教授役として登場するのがややキモいが、内容的には専門書だと読み進めるのが困難なところが適度に噛み砕かれているし、ラノベ風にしたことも不自然でない。
    シャノン・ウィーバー型の、データを情報源から目的地まで誤りなく届けるというモデルだけでは説明がつかない、主体的な解釈が必要になるビブリオバトルと、人間のコミュニケーションを見直すことになるAIが一つの関心から説明されて、一貫性がわかる。面白い。

  • ビブリオバトルの発案者である谷口忠大さんによる、ビブリオバトルから人工知能のお話です。ビブリオバトルは、自分で読んで面白いと思った本を紹介しあい、どの本が一番読みたくなったかを競うゲームで、極めて文系的な雰囲気を持つのですが、谷口さんは、人工知能に関する現役の理系の研究者です。
     「ビブリオバトルと人工知能って全然関係ないですよね?」などと質問され、うまく答えられずにきたので、それにこたえる本として書かれたのが、この本です。
    https://www.honzuki.jp/book/312092/review/283008/

  • タイトルに「コミュニケーション塾」とあるように、「コミュニケーションとは何か?」について書かれた本です。
    小説形式(あとがきによると「ライトノベル形式」)で書かれた本で、とても読みやすかったですが、内容的には、かなりしっかりしたものでした。

    「コミュニケーション」という言葉は、誰もがみんな正しく知っているかのように使われていますが、学術的に厳密な定義は、実はまだ存在しない、とのこと(将来的には存在するであろう、という期待を込めて、あえて「まだ」と書いておきます)。
    とはいえ、近年、AIの技術が進むにつれて、コミュニケーションの本質についての理解はずいぶんと進んでいるようです。

    何事も、理解が進む際には、分解が進む、というか、その概念についての分解能が上がりますが、この本を読むことで、「コミュニケーション」に対する理解の分解能が上がった気がします。
    きっと、多くの人が、この本を読むことで、同じ体験をできるのではないかと思っています。

  • 副題のとおり、ラノベ形式の小説を通してビブリオバトルから人工知能まで学べるスタイルは好印象。マドカや夏子の視点まで降りてきて解説してくれるし、内容もわりと深いところまで解説してくれるので、理解が進む。ただ、地の文の教授の思考のトレースに、著者の谷口さんが透けて見るような気がして(ご本人のことを知っているわけではないのですが)、物語の中に没入するのが難しかった。会議での「発話権取引」は良さそう。

  • ビブリオバトルの考案者、谷口忠大の著作です。コミュニケーションの方法としてビブリオバトルを紹介している前半(第2章)は興味深く読みましたが、後半にむかって語られる人工知能やロボットとのコミュニケーションについての解説の部分は難解で理解できませんでした。
    「ライトノベル形式の入門書」という触れ込みでしたが、登場人物同士の会話というよりも「教授」の一方的な説明が多く、登場人物同士の恋愛要素をほのめかしつつもそれについての描写がない、など、久しぶりにしんどい読書でした。

  • 良書。これからの時代に必要なことが詰まっている。

    表紙と中の挿絵は、カバーをつけて読まざるを得ない気恥ずかしさが読み手の私にはあった…

    著書「ビブリオバトル」で書かれていた本職の研究目的・内容を、分かりやすく伝える内容。分かりやすさを徹底するために、ライトノベル方式・絵を使った意図に納得する。

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著者プロフィール

京都大学大学院情報学研究科教授

「2024年 『記号創発システム論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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