リフレーミング 心理的枠組の変換をもたらすもの
- ヒューマン・グロウス・センター (1988年1月1日発売)
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感想 : 11件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784791101696
感想・レビュー・書評
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【感想】
リフレーミングは精神療法の技法のひとつで、個人の自我を、相異なるさまざまな部分(parts)から成る一種の生態系(ecology)とみなす。そして、その人がもっている自分自身や世界についての見方(frame)を変えることによって、部分と部分の調和を図る(ecological check)。
以上のような大枠こそ異論はないが、その詳細はかなり怪しく、似非科学で彩った心理ビジネスのように感じた。CBT(認知行動療法)やマインドフルネス療法など、研究の蓄積とエビデンスに支えられた技法を学ぶほうが健全だと思った。
【備忘】
- 本書は著者2人のそれぞれが行ったワークショップやセミナーでの講演をまとめたもの。各章において、2人のうちのどちらの講演なのかは明記されておらず、毎回同じ講師が話しているように編まれている。
- 書名にNLP (Neuro-Linguistic Programming) とあるが、本書が謳う神経言語プログラミングは、失語症の研究を通じて人間の言語能力の基盤となる脳神経のしくみを明らかにする、という医学的・言語学的な研究としての神経言語学とはまったくの別物である点に注意。
- 序文で、本書は「リフレーミングの基本的構造の明確な説明」をしていると謳っているものの、最後まで読んでみて、明確な説明なんてどこにあった?と騙された気持ちがぬぐえない。
- 本書のキー概念のひとつに「部分」があるが(というのもこの語には必ず「部分(パート)」とルビがふられているので)、この part(s) という語が具体的に何を指すのかが明示されておらず、最初は戸惑った。しばらく読み進めて私なりに理解したところでは、おおむね個人の欲求(need)ないし願望(desire)、信念(belief)、役割(role)、自己および世界についての認識(the way you think about yourself and the world)のような意味で用いられていると読み取った。そして、個人の内部で2つ以上の部分がコンフリクトを起こすとき、その人の内的状態が、快適な調和から不快な矛盾・混沌に陥る。それを改善するための技法が本書の説くリフレーミングである、というのが本書の大枠だと受け取った。
- リフレーミングについてのワークショップの参加者たちにむけて、講師が臨床的なエピソードを紹介しつつ解説や質疑応答をくり広げるものの、説明がいまいち要領を得ない。個々の話には興味深いものもあるものの、ではそこで試された方法がエビデンスベイストかというと、妥当性や汎用性に乏しくかなり似非科学臭が漂う。たとえば、講師が会話をつうじたリフレーミングがうまくいかないときに、わりと安易に催眠暗示をクライエントにかけることでコンフリクトの解消を図ろうとするけど、ちょっと乱暴では?
- くわえて講師の話しぶりも皮肉まじりでちょっと傲慢な感じで、参加者の発言をすぐ否定するなど、正直セラピストやカウンセラーとして失格なのではとさえ思った。講師自身はクライエントとのラポールが大切だとうそぶくけれど、この講師とのラポールを私は築けないなと思った。
【目次】
序
I 意識内容のリフレーミング(意味または状況を変えること)
II 部分(パート)と部分(パート)間の取り引き
III 新しい部分(パート)づくり
IV 上級六段階リフレーミング
V システムのリフレーミング(夫婦、家族、組織のリフレーミング)
VI 分裂状態へのリフレーミング(アルコール中毒、麻薬常習、その他)
訳者あとがき
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なかなか面白い内容である。専門的かつ上級者用で素人が実践するには向かないため星二つとした。人間の心が一つではなく、多種多様な「パート」に分かれており、それぞれに目的をはっきりさせる、という方法は理にかなっていると思う。
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アマゾン紙
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結構、広まっている気がしましたが、意味のリフレーミングに即効性を感じている方をある場所で多く見受けました。
意味のリフレーミングは、ネガティブな言葉(主に形容詞)をポジティブな言葉に変換することです。例えば、
『あきっぽい』→つぎつぎと新しいことを発見して提案できる人です。チャレンジ精神旺盛で、人を巻き込みながら多くのことを開発して行くことができます。
『あきらめが早い』→いつまでもくよくよとすることがありません。新しいことにチャレンジすることができる人
です。
これは、上司の部下の査定や教師の生徒への視点変換で活用されます。
この本は、専門家向けですが、きちんと文脈や状況に即したリフレーミングをしたい方には必読です。
他に似た概念のコーピングの本もかなりビジネス書として出版されています。 -
NLPは「人生の選択肢が増やす」ということが納得できる1冊。
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正直、すごく読みにくい本だった。これはNLPの本質を伝えるために、原著をできる限り忠実に訳すという作業が必要だったからだと思われるが、会話形式なのに、言い回しが絶対日本語ではそう言わないだろうというリアリティのない文になっているため、なかなかイメージが伝わってこなかった。
ただし、考えながら読むと、理論上避けられない表現なのかな?とも思うし、なんとも言い難い。
大切なことは沢山学べるが、読むのには苦労する。
原著にあたれる能力が欲しいと心底思った。 -
これは読むのに時間がかかった.
彼らの実際のワークの様子とエクササイズ,参加者との質疑などを
ほぼそのまま再現しようとしているため.
そして,エクササイズそのものが言葉では再現しにくいため.
しかし,先駆的なものとしての価値は高い(原書は1982).
専門用語の訳を変えた方がいいと思われるものが一部ある.
・内部作戦→たぶん内的方略
・代表システム→たぶん表象システム
正確には原書にあたる必要あり.
最後の解題は,NLPの立場を簡潔にまとめてあり,有用. -
●未読
●未読
◎「起きていることはすべて正しい」(勝間 和代/ダイヤモンド社(2008-11-29)p.107・331で紹介
【NLP(神経言語プログラミング)の概念を完成させたリチャード・バンドラー著。
★◎「起きていることはすべて正しい」に近い事を説明。《起きたことを覆すことは出来ない。しかし、、物事の捉え方を変える、すなわち、リフレーミングすることは出来る」と言う考え方。》】
リチャード・バンドラーの作品
