お前はうちの子ではない 橋の下から拾って来た子だ

  • 星和書店 (1999年11月1日発売)
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本 ・本 (292ページ) / ISBN・EAN: 9784791104079

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから受け止めるセンセーショナルな感じとはうらはらな本だった。
    あんまり面白くない(笑)
    文化人類学的な考察はなされているのだけど、筆者の本業ではないからか、エッセイの域を出ていない。話がそれがちでもある。

    戒めのために「お前はうちの子ではない」と言われたり、愛を込めて「お前はうちの子ではない」と言われたり。
    人の心は複雑だ。
    親が厄年のときに生まれた子は、形式的に一旦捨て子にする風習がある地方がある。その風習からきた言い習わしではないか?と筆者は主張していた。

    本文中にたびたび「次の機会に」とか書いてあったけれど、続編が出ている様子はない……(笑)

  • この言い習わしは、自分自身、言われた記憶がない。しかし、妹は母からよく、「お前はN橋の下から拾ってきた子だ」と言われていた。その頃は「そんなバカなことがあるか」と思っていたような気がする。

    もしかしたら、自分も母から言われたのかもしれないが、情緒不安定な落ち着かない性格だったので、大して気にしなかった(聞いていなかった)か、妹が言われた記憶にすり替わったのかもしれない。

    大抵は、妹が母の言うことを聞かなかったたり、駄々をこねた時だったように思うから、腹が立ってか、躾の一環であったのだろう。

    だから、今回この言い習わしが、家族団らんの中(親子間の親密な雰囲気)で親から冗談のように言われて、子もそれを冗談のように思ったという事例を読んで、そういう場合もあるのかと意外に思った。

    そういえば、なぜ自宅から車でも30分もかかるA川のN橋なのか、近くには(といっても、ここも車で10分くらいかかったが)K川があるのに。たぶん、A川には河川敷があり、K川には無かったから(橋の下から拾えない)だろう。それにしても、あまり川に親しみがあるとは言えない地域で育てられながら、なぜこういった言い習わしを言われたか考えてみると、母の実家(福島県伊達市)近くには阿武隈川とその支流が流れていたため、母もまた祖母から同じ言い回しを言われたことがあったのではないかと推測する。

    著者の問いについての見解。

    なぜ、橋の下なのか。
    たぶん、本書でも取り上げられた習俗としての子捨て・子拾いの場所としての「辻」と同様「橋」も異界(死者の国)との境界だからだろう。死の国の境から生還(生き返り、死と再生)と関係があるのだろう。「辻」ではなく「橋の下」なのは、捨てる、拾うことを前提として、雨風や夜露を防げる場所としてのイメージからではないだろうか。

    なぜ、母から娘に言われるケースが多いのか。
    母はよく第一子で男の自分に比べ、第二子の妹は育てやすかったと言っていた。一姫二太郎という通り、女の子は育ちやすく、育てやすいと言われる。また、同性として母親は娘に、自分と同じ、時にはそれ以上のもの(知性や能力?)を求めてしまうのではないか。そして、娘がその期待に答えられない(言うことを聞かなかったり、駄々をこねる)時も、答えている(家族団欒、親子の親密な雰囲気=母の思い通り)時も、この言い習わしが言われるのではないか。

  • タイトル以上の内容は期待できない。

  • タイトルになっているフレーズに迫る本。民俗学と臨床心理学要素のあるエッセイという感じ(研究というほどではない)

    このフレーズは自体はよくあるものだと思うのだけど、それを当然のものとスルーせず調査しアンケート結果がまとまっているのを見ると、自分のなかに眠っていたエピソードが再発見されたような興奮があります。

    アンケートやインタビューの言葉は臨場感があり、他のひとはこのフレーズをどのように体験したのかが分かって面白い。なかなか他のひとと話しあうような体験ではないのですから。

    著者が精神科医ということもあり、親子ならではの感情のぶつかり合いや、ふれあいについて、また、子どものなかの残酷さ、子どもに読ませる物語から安易に残酷なものを取り除く弊害などにも話が膨らんでいます。

    アンケート結果に統計的に有意差があったのかとかが書かれていたらもっと分かりやすくてよかったなーと思います。また、民俗学の立場からの考察があるともっと面白かっただろうなーと思います。ケチをつけらならこの2点ですね。

    自分の子ども時代、あるいは子育てを、このフレーズで振り返るのも面白いかもしれません。

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