精神科における予診・初診・初期治療

著者 :
  • 星和書店
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791106219

感想・レビュー・書評

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  • 診断をするとき、まず考えるのは心因ではなく外因、その次に内因で、心因はあくまでも最後に検討するものというのは忘れがちなことではないかと思う。津川先生の『精神科臨床における心理アセスメント入門』にも「いかにも心因性に見えるものこそ外因・内因を疑え」と記載があったが、まずは心因性以外を疑う視点は忘れないようにしたい。 どんなふうに患者さんに会い、何を目的としてどんなことを聞くのか、重要なエッセンスがぎゅっとつまった本だと思う。青木先生の『こころの病を診るということ』ともあわせて、何度も読み返したい。

  • 精神科医として働き始めるにあたっての入門書として大変参考になった。もう一度読みたい。

  • 2階書架 : WM100/KAS : 3410160194

  • ・遺伝をめぐって「先生、どうなのでしょうか」と家族は予診医に尋ねることがあるだろう。不用意な発言はしない方がよいのは当然だが、といっても、何もいわないわけにはいかぬ。どのような応対をするか。
    …私なら、多分こういうであろう。人間誰一人遺伝から自由なものはいない。私だって(今顕在していないとしても)将来、遺伝病発病の可能性なしとしない。その点で違いはそんなにはない。しかし、医療は人間の中の健康な部分に向かってなされる。病的な部分に過度に注目しすぎるのは半医療的である、と。

    ・まず第一に体因的な可能性、いいかえれば「身体的基盤」をもつ精神障碍者の可能性を考える。それが否定できるか、ほとんど排除できるとき、はじめて二番目の内因性の精神疾患(統合失調症圏のものとうつ病圏のもの、ともに軽症者を含めて)の可能性について検討をはじめる。そして内因性疾患の可能性もまた否定できるか、あるいはほとんど排除できると考えたとき、はじめて三番目の心因性、環境因生の場合を考慮する。決して逆をやらない。

    ・神経症については、心因もさることながら「パーソナリティのかたより」にも注目する。パーソナリティの問題を分母とすることにおいてはじめて、ある出来事、ある体験が心因的力価を獲得する。パーソナリティの問題である以上、生活史と不可分のところがある。

    ・軽症うつ病は薬物療法下によくなるとき、どうも一定の傾向があるように思える。心理的水準でいうと、不安感・憂鬱気分のレベルから意欲低下(おっくう感)のレベル、ついで喜びの欠如(pleasureless)のレベルを超えて、治療していく。
    とくに、「おっくう感」の時期は長く、本人も家族も医者も病気か病気に入らないのかとまどう。主観的にも客観的にも、苦しくはないが、ゴロゴロしている。この時期を経て、快方へ向かう。もう少し長いスパンでみると、このようになる。
    焦燥→不安→うつ気分→手がつかない→根気がない→おもしろくない

    うつ病の治療は「社会参加の成功」「快感の回復」がないと完治とはいえない。「うつ気分の消失」だけではまだ中途段階である。

    ・最近は質問紙法によるチェックリストを、診断に際して重視する傾向が世界的にみられる。それは、心という無形のものを診断するに際して不可避におこる、診断者の個人的恣意的な部分をできるだけ減らし、結果を世界的に比較を可能にするという大きな長所をもつのだが、2つ良いことはない。自分でチェックリストをやってみて思うには、これだけに頼ると、面接に際しての了解的な態度はどうしても弱くなる。

  • 「予診」の持つ意味合いから始まって詳細に説明されている。
    何年かに一度、折に触れ読み返したい本である。

    しかし、ずいぶん高くなった。以前の新書版が良かったのだけれど。。。

  • 総合病院の精神科での予診のために読んだ本。

    予診,初診,初期治療の3部構成。分かりやすく書かれている。

    予診についてはいつかブログでまとめたいけど,臨床心理をするものとして,とくに病院臨床をする人は読んでおいた方がいいと思った。

  • ポリクリ実習で精神科をまわり、頭も心もガツンとやられて、4年間本棚で眠っていたこの本をようやく繙いた。実際に患者さんの予診を取らせていただく前に第一章(「予診」)を読めて本当に良かったと思っている。

    ポリクリで先生が、予診の際の心得として配ってくださったまとめ、あるいは実習の中で教えていただいたことと、この本に書かれている内容とは、多くの部分で重なっている。初版が1980年というから、DSMが生まれたばかりの頃である。それから精神医学も、特に客観的な評価基準という面で多くの進歩を遂げてきたはずだが、専門家でも何でもない身からすると、古くさささえ感じない。この本が「使えな」くなることは決してないのではないかとさえ思える。
    精神医学は非常に経験的だと感じる。科学によるEBMと違うのは、まだ明らかになっていないことが多いということ。機序の初めから追っていくことができないから、経験知を重視せざるを得ない局面が多々ある。
    その局面とはつまり、患者さんを目の前にしてどうするか。そのときにこの本は、ごく基本のところを丁寧になぞるように言い含めてくれる。そしてそれを叩き台にして自ら考えよ、経験の中から生み出してゆけ、と言ってくれる。

    淡々と、必要な優しさと慎みをもった文章。こうなりたい、と思わせるような。実習でお世話になった中にもそういう先生がいる。
    もっと考えたい。独りよがりではなく。そうして身につけていきたいものが、たくさんある。

  • たぶん、この一冊が僕の人生の岐路を決めるのだろう。

  • 若い精神科医や臨床心理士、PSWに向けて書かれた書物。実質的な技術を身につけていくにあたり、その背景には何があるのか、何が必要なのかが丁寧に書かれていて非常に分かりやすい。
    変なカタカタ用語を無視すれば。ドクターならみんなわかるんだろうね。

    やはり精神科医と臨床心理士では、初回面接で得る情報への力点の置き方が少し違うように感じる。
    やはり医学なのだ。
    そして病院で働くとはそういうことなのだろう。

    これから何度も取ることになるのだろうが、やはりそのつど立ち返りつつ進めてくしかない。
    さてさて明日はうまくいくだろうか・・。


    あぁあと「小精神療法」って考え方が面白かったがこれを専門に述べた本はあんまりないのね。
    もうちょっと調べてみるか。

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