ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復

  • 星和書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (717ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791106332

感想・レビュー・書評

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  • とてつもなく長い過程と回復を、少しずつ少しずつ読んで、癒されてはげまされました。
    私の文章力言語力では言い表せれないぐらいの、希望のかたまり。

  • とても読み応えのある本。BPDだった著者が自身の治療の過程について書いた本。こんな文章が書けるなんてすごい、と著者の才能に驚きながら読みました。BPDの人の心の中、考え方を知るのによいし、BPDでない人でも、自分の心と向き合う方法を知るために得るものがある本だと思う。

  • 境界性人格障害の治療過程が細かく描かれたノンフィクション。
    治療を受ける前、途中、終結、それぞれの段階でのレイチェルの感情や行動が詳細に描かれている。
    精神分析の考え方や、カウンセラーの態度、治療上の制限など、概論書だけではぼんやりとした知識でしかなかったものが、鮮明にイメージできるようになった。

  • 境界性パーソナリティ障害(BOD)を抱えた著者の体験記。当該疾患では、この手の体験記がほとんどないので、非常に貴重。
    BPDの関連本は、専門家向けには「いかに治療するか」、専門家でなく患者ではない人向けには「いかにBPD者からの被害を最小限に抑えるか」の2つに分類できる。逆にいえば、当該疾患の当事者が読んで有益な本はほとんど出版されていないといえる。そのため、当該疾患を抱える本人の苦しみ、つらさについて述べたこのような書籍は大変貴重である。

  • BPDを治療し乗り越える大きな要素は、愛なんだと感じた。

  • 境界性人格障害の患者の30代の女性が精神分析によって治癒する過程をつづった手記。

    うーん、すごく良かったです。色々と小説は読んできたけど、こういう実話には及ばないなーと思う今日この頃。

    境界例の人の苦しみ、医師の愛などをあますところなく描いています。

    特にこのお医者さんがよい。患者に対して防衛的になることなく、「行動に表さずにはいられない衝動にかられたら、その後あなたはその結末に向き合わなくてはいけません」などきちっと境界をひきながらも、患者の「あるがまま」を受容していく姿はまさに精神科医の理想ですね。

    「虐待されればされるほどぴったりとより接近して母親のあとを追うようになる」といわれたように親を過度に理想化して、自分が受けた虐待の傷を否認して苦しんでいた著者が少しずつ回復していくようすは本当に勉強になりました。医師との関係を通じて、少しずつ全か無か思考から抜け出していくのです。「過去を変えることはできない。しかし医師は無条件に愛して欲しい、受け容れてほしいという私の欲求を満たしてくれたのです」・・印象的な言葉。

    治療というのは本当に子育てなんだなーと実感。「どの子にも親に無条件に愛されるだけの価値があります」という言葉を胸に刻みたいと思います。「愛は憎しみよりも無限に力を持つ」とこの医師は言っていますが、本当にそうなんだろうか?

    どんなに罵倒されても著者の「愛を求め続けてきた能力」を信じて治療を忍耐強く続けた医師の姿は本当に頭が下がります。・・・周囲にはこんな人はいないけどなあ・・・。

    そして著者の一見無謀と思われる色々な強迫行為も「様々な方法で自分の心をふるいたたさなくてはいけなかった」のだと受け容れていくプロセスとわかる・・自分を許すとはこういうことなんだなあと思います。「完全に信頼しとことん弱い自分になる」という段階をふむことが子どもの正常な発達段階と書いてありますが、私自身にそういう段階があったかなーとちょっと不安になりました。

    優れたノンフィクション。

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