よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門
- 星和書店 (2012年9月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791108190
作品紹介・あらすじ
メンタリストDaiGoさんも愛読、推薦!
セラピスト向けながらも、自分自身のメンタルを改善し、身近な人を助けられる一冊。
本書はわかりにくいと言われるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の臨床的概念をシンプルにわかりやすく解説する。クライエントとの対話例やメタファー、臨床に使えるワークシートが豊富で、本書を使えば明日からでもすぐにACTを臨床場面で使いこなすことができる。ACTをこれから学ぶ読者にとっての最良の入門書として、すでに実践している臨床家にとっては、自身の臨床の腕を更に上げるヒントが随所にちりばめられている。
感想・レビュー・書評
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書店でACT関連の専門書をいくつか立ち読みし、最も平易かつ要点を押さえて書かれていたため購入。結果、超良書。
ACTの理論をわかりやすく説明しているし、実際の面接場面で用いるテクニックが豊富に書かれているので、当方臨床心理士を目指す身としても繰り返し参考にしたい一冊。
「ACTの実践における望ましい結果とは、価値に導かれたマインドフルな生き方であり、症状の緩和ではない」
これは治療的側面が強い行動療法、認知行動療法の系譜の中でも画期的な、まさしく新世代の認知行動療法の考え方だろう。問題や症状を減らすそうとすると、かえってそれがその人の人生にとって重要な一部分となってしまうため、ネガティブなものとして捉えず、今ここを感じ、ただそこにあるものとする(マインドフルネス、アクセプタンス)。そして、それによるクライエントの生活への影響力を減らす。その結果、クライエントにとっての価値に沿った行動が増え、生活が豊かになっているか。その有効性を高めるための介入方法であるということが、この本によって理解できた。
面白いと思ったことは、上記のような、症状の緩和を直接的なターゲットとするのではなく、その副産物としてみなすことである。これは、精神分析などのいわゆる洞察型と呼ばれる心理療法にも通じるところがあるのではないだろうか。それでも様々な効果が実証されているが、なぜボーナスとして症状が緩和されるのか、その仕組みをクライエントおよび社会にわかりやすく説明することが今後の課題だろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『うつのためのマインドフルネス&アクセプタンスワークブック』を読み始めていたので、同じテーマの本を同時に読んでみようと借りてみた。が、こちらはセルフヘルプ本ではなく、医療専門家が患者にACTを用いるための本だったため、中止。いつか読んでみてもいいかもしれないが。
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とてもためになる本だと思います。
心理療法の中でもかなりいろんなものが取り込まれたように感じました。フォーカシング、解決志向アプローチ、セルフコンパッションとかの心理療法にも通じるものを感じ大変勉強になりました。アドラー心理学の哲学も組み込まれているようにも感じられ、セラピーをやる人は一度ならず二度以上読んでほしい。
私が一番取り入れたい考え方は有効性という考え方でした。とても自分の本心を定めるコンパスとして役立つと思います。
何回も読む本になりそうです! -
メンタリストDaiGoさんが紹介して大ヒット!
セラピスト向けながらも、自分自身のメンタルを改善し、
身近な人を助けられる一冊とのこと! -
ACTセラピスト向けだが、自身向けの実践編としても読める(その際はセラピスト向けの不要なとこはとばす)。
6つのコアプロセスを頭に入れ、適宜使いこなされば価値に基づいた行動が取れるだろう。もちろん、実践は簡単ではない、日々鍛錬していくもの。 -
ラスハリスさん、好きですが、この本はセラピスト向けで読むのに苦労してしまった。
セラピストではない人には、別のラスハリス本のほうがおすすめです。 -
心理療法の中では比較的「悟り系」に近い内容と言えます。宗教色を排除した癒しを求める人でも抵抗なく取り組める内容だと思います。
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メンタリストDaiGoさんも愛読、推薦!
セラピスト向けながらも、自分自身のメンタルを改善し、身近な人を助けられる一冊。
本書はわかりにくいと言われるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の臨床的概念をシンプルにわかりやすく解説する。クライエントとの対話例やメタファー、臨床に使えるワークシートが豊富で、本書を使えば明日からでもすぐにACTを臨床場面で使いこなすことができる。ACTをこれから学ぶ読者にとっての最良の入門書として、すでに実践している臨床家にとっては、自身の臨床の腕を更に上げるヒントが随所にちりばめられている。 -
あなたはいつも誰かの話しを聞いている。
それは誰か?
それは、自分。
よくわからない?
では、読んでみよう。
そして、実践すること。
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セラピスト向けの専門書として書かれた,認知行動療法の技術書.
自分に対して用いることは推奨されている(p.28)が,まえがきにあるように全編を読み切ってから試みるほうが良い(p.4).
マインドフルネスの本やらブログやらを色々漁ったりしたが,この本が一番ちゃんと書かれているのではないかと思う.よく耳にする「今,ここ」などの標語は多くの場合文脈から切り取られていることが分かる.本書を読んでいくと,「今,ここ」などの標語はACTの中では,「Defusion=自分の試行,想像や記憶から自分を切り離すこと」のための道具立てらしいということが分かる.
専門書なのであまり勝手なまとめ方をすると語弊があるかもしれないのでここではまとめない.
以下は全編を読んだ上での備忘録。
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悩みがあるときは自己と対話したり自分の認識を上書きしたり自己認識を把握したりしてしまいがちだが,本書は自分の認識と自己を切り離すという一段階メタな方法論を説明してくれるものである.
個人的には「クリップボードのたとえ」(pp.21, 150)や「『良い自分/悪い自分』エクササイズ」(p.307)が自分の認識と相性が良かった。
自己受容はACTにおいては自分への言い聞かせを通して形成するのではなく、自己評価(肯定的・否定的どちらも含む)からの脱フュージョンと、自分を他人と比較している思考からの脱フュージョンを繰り返す中で(副作用として)自然と促進されるもの。
まず前提として「ACTでは、問題を引き起こすのは思考の中身ではなく、思考とのフュージョンであると考えている(P.37)」ので、(問題がたしかに起きているならば)思考からの脱フュージョンを目標にする。どうやらそのための補助的ゴールないし道具立てが「アクセプタンス」「今という瞬間との遭遇」「文脈としての自己」「価値の把握」「コミットされた行為」といったものらしい。
「文脈としての自己」は心の中にある強力な資源であり、つらい思考や感情を観察できる場所であり、それを受け入れる余裕を作れる場所を提供する(p.314)。