臨床家がなぜ研究をするのか -精神科医が20年の研究の足跡を振り返るとき-

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  • 星和書店
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791108350

作品紹介・あらすじ

あすへの希望を信じて統合失調症の解明にいどむ精神科臨床医が研究をすることの内実を具体的に語る。

感想・レビュー・書評

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  • 統合失調症の研究においては、大規模調査ではあまり意味のある成果が得られず、むしろ、臨床の中で臨床的特徴が異なる群をとらえ、それらの中で調査・研究を行うことのほうに意味がある。

    その理由は、まず第一に、統合失調症に単一の原因がないことにある。すべての症例に共通の病変はあると考えうるが、そこから派生する病態は個別的で、「これこそが統合失調症の原因遺伝子である」というようなものはないのである。そのため、対象の均一化が難しい。

    第ニに、症状判定に価値判断が含まれることにある。『統計学が最強の学問である』という本がベストセラーになった。しかし、統計は常に「現実」をある形で概念化したものを扱う。精神疾患ではとくに、その点が問題になる。

    しかし、著者はあくまでも科学者である。統合失調症について、身近な内科の病気などと同じように原因をはっきりさせ、偏見を取り除き、病気に苦しむ人を救いたいという情熱をもっている。このような人に日本の医療や科学は支えられている。とはいえ、こんな人は他にいないのかもしれないが。

    最後に、星を一つ減らした理由。はっきり言って編集がひどい、というか手がかかっていない。時間がなかったのかもしれないが、草稿をそのまま本にしたような内容。次回作があるならその点の改善を期待する。

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著者プロフィール

東京都医学総合研究所副所長

「2020年 『脳と心の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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