- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791108572
作品紹介・あらすじ
私たちを悩ませ、心の平和を阻害する内なるデーモン。これを排除するのではなく、姿かたちをあたえ育むことで不安、恐怖、慢性の身体疾患、心の病が癒される。古くブディズムとして覚醒した智慧が、十一世紀チベットのマチクの伝統に連なり、現代西洋の精神との遭遇によって活力を得て、今再び東洋の私たちのもとへ届けられた。この智慧が、現代を生きる私たちの苦悩や葛藤を和らげてくれる。
感想・レビュー・書評
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No.725
デーモンって深い。そんなに種類があったなんて。
組織にもデーモンがいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すばらしい本です。
ヴィパッサナーなどの仏教瞑想が、マインドフルネス、アクセプタンスなどの新しい装いで不安、抑うつの心理療法に取り入れられて来ていますが、この本もチベット仏教の「チュー(Choed)」という行を現代人のために改訂したものと言えます。
自分の中の問題に対して、敵として戦うのではなく、助けを必要としている相手として対話する、育むように取り組むプログラムのようです。ステップは簡素ですが、ワークとしてもよく練られた枠組みと見受けられます。
問題となるものをまず身体感覚としてとらえ、それをパーソナライズして対話するという取り組みは、著者自身が指摘するように、ユング派の能動的想像のワークとの親和性があり、またミンデルらによるプロセスワークとも近しいものがあるのではないでしょうか。
チューの修行については本書内にも記載がありますが、日本語で読めるものとしては永沢哲『野生のブッダ』に詳しい記載があります。
2019年8月追記:
その後、この「ステップが決められている」方法論は、自我の力を前提にして無意識に対決していくユングの方法論よりもむしろ、ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する』に紹介されたトラウマに対するイメージワークや、『無意識を活かす メタファー/リソース/トランス』内で白川美也子が紹介したホログラフィートークなどにむしろ類縁していると考えるようになりました。
また、その後刊行された『サンガジャパンVol.24』 に、チューと般若中観についてのまとまった記載が載っています。