ユリイカ2009年6月号 特集=レム・コールハース 行動のアーキテクト

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791701940

感想・レビュー・書評

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  • 「錯乱のニューヨーク」を読みながら、これまでの建築家とは全く違った感覚と切り口で、建築と都市を語る。これは、注目に値する人物である。外国の建築家と言っても、ロイド・ライト、ルコルビュジェ、そしてザハハディットしかしらないが、それに新たにレムコールハースが加わった。
    都市は、過密であり、錯乱していると1978年に、「錯乱のニューヨーク」を発表した。それは、ニューヨークのゴーストライターだという。
    このユリイカで、磯崎新X浅田彰が、レムコールハースについて論じている。
    これは、レムコールハースをどうみるかで、大きな示唆となる。
    また、様々な角度から レムコールハースを解体している作業は面白い。
    レムコールハースは、インドネシア育ちで、さまよえるオランダ人。
    シニシズム;「無所有と精神の独立をめざし世俗的習慣を否定する」冷笑主義。徳こそ唯一の善であり、幸福とは欲望から自由になることのみ達せられる。
    スノビズム;俗物根性と言われる。紳士気取りの俗物。
    レムコールハースが、シニシズムであり、磯崎新が スノビズム。

    レムコールハースが、建築の場面において、華々しく登場するのが、CCTVのコンペであり、それを強く推したのが審査委員だった磯崎新。その前年に香港のコンペで、ザハハディットを推したのも磯崎新だった。確かに、ケッタイな建築物である。
    2009年2月9日 CCTV新社屋に付属する北配楼が花火で消失した。
    それが話題ともなった。2008年8月8日には、北京オリンピックが開かれた。

    「最初にロゴありき」
    建築としての機能や意味、組織構造や背景にあるものをどれだけうまくリプリゼント(表象)したものになっているかという従来の考え方から、CCTVは、「建築をアイコン」としてみる。
    破天荒なデザインだからこそ、逆にグローバルな情報網を流れるアイコンとなる。
    ザハハディットが、アイコニックビルディングを作る。
    硬直化した モダニズム建築や 都市計画をひっくり返そうとした。

    ジェネリックシティ(無印都市)都市論を量から質へ。
    OMAに、メトロポリタンを使った。シティからメトロポリタンへ。
    レムコールハースは、暴力的でありながら、インパクトがある。
    ザハハディットは、フェミニン。レムコールハースは、マスキュリン。
    レムコールハースは、どこまでもグローバル資本主義の波に乗って、サーフィンしてやれという。
    レムコールハースが、プラダに関わることで、ブランディング戦略が大きく変わった。
    悪ガキとしてのレムコールハースは、ヨーロッパ的な良き趣味ー古典主義からモダニズムまでひっくるめたものをひっくり返そうとした。
    レムコールハースは、ニューヨークはどうしようもない、いい加減さ、あまりにも雑なところが面白い。→量によって質を圧倒する。
    ルコルビュジェは、ヒューマニズムの伝統の中にある。

    冷戦集結で歴史が、終わり、世界がアメリカ型グローバル資本主義のもとで均質化すると思ったら、重心がアジア、中国に移った。
    今は、巨大なマネーというのがこの世の中を動かしている。

  • これまでのレム本の解説として

  • 最初は意味不明なレムを理解するためのガイドブック??
    五十嵐さんの解説がほとんどだから実質五十嵐さんの本。

  • 柳々堂

  • 編集中。
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    磯崎新×浅田彰の討議があれば、難波和彦、松田達、南泰裕、五十嵐太郎、藤村龍至らの論考があり、
    OMAを語る上で欠かせない用語の解説辞典や著作・年表まで収録されている。
    現代建築の巨人レム・コールハースを多角的に知ることができる。
    そして再びレム・コールハースの著書を読みなおしたくなるような本に仕上がっている。
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    普通は建築としての機能や意味、組織構造や背景にある様々なものをどれだけうまくレプリゼント(表象)したものになっているかということが基準になる。
    あの時の審査会の議論もそれだった。・・・・だけどそれを言ったら負ける。・・・・
    背後にある組織を表象するなんて考えずに、逆転させて、建築はまずアイコンだというふうにすればいいじゃないか。(磯崎新)

    全世界的な規模で開発をやるならアイコニックビルディングがかならずいる。(磯崎新)

    機能や象徴性を無視したアイコンという磯崎さんのトリッキーな理論が、磯崎さんさえこだわっていた構造の部分にまで貫徹されてしまったと言うべきかもしれません。(浅田彰)

    (WTC跡地コンペについて)コンペ自体よくなかったし、リベスキンドの案もシンボリックに過ぎた、しかしそれがまた資本主義の荒波の中でもみくちゃにされて、最終的にほとんど見る影もなくなってしまった。
    これは21世紀の初めにおける近代建築の末路と言うべき事件かもしれません。(浅田彰)

    レムに言わせれば、ウォレス・ハリソンはそういうコピーと量産の理論に居直った所が逆に面白いんだと。(浅田彰)

    バナールなものが量によって質を圧倒する。

    中国からアフリカまで含めて、いわばエクサーバン・ネットワークみたいになったハイパーシティ=ハイパーヴィレッジをどう考えるのか、というのは、確かに現在の最大の問題です。(浅田彰)

    レムはブランディングという戦略に注目する。磯崎さんの言われた「ロゴス」ならぬ「ロゴ」、あるいはアイコンにつながるものです。プラダでも何でもいい。とにかくブランドを作り、ロゴなりアイコンなり決めてしまえば、それがグローバル資本主義の波に乗って拡がり、事実上の価値となる。(浅田彰)

    フランシス・フクヤマの言ったように冷戦終結で歴史が終わり世界がアメリカ型グローバル資本主義の下で均質化するかと思いきや、そうはならなかった。重心がアジアに移っていくということもあり、むしろ訳のわからないものがいろいろな場所で突出してくるということもあって、流動的かつ予測困難な状況になっている。(浅田彰)

    シニシズムからスノビズムへ(磯崎新)

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著者プロフィール

磯崎新(いそざき あらた) 
1931年、大分県生まれの建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。他にも大分県立大分図書館、群馬県立近代美術館、北九州市立美術館、ロサンゼルス現代美術館などが知られている。
1988年に朝日賞、1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞、そして2019年建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー賞」をそれぞれ受賞している。
著作も多く、代表作に『磯崎新著作集』、『磯崎新建築論集』、『空間へ 根源へと遡行する思考』などがある。

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