ユリイカ 2016年11月号 特集=こうの史代 ―『夕凪の街 桜の国』『この世界の片隅に』『ぼおるぺん古事記』から『日の鳥』へ

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791703173

感想・レビュー・書評

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  • こうの史代 単行本未収録短篇「ナルカワの日々」こうの史代
    こうの史代 鳥エッセイ四コマコレクション「ぷらづま記」「たまのを草紙」「へるめすの書」こうの史代

  • ・戦争犠牲者の神聖化から逃れる。戦争の面白さ。
    ・登場人物がこうのさん本人とだぶる。
    ・他人は分かり合えないという前提。
    ・外側の視線。
    ・漫画アクションにおいて、平成の年月日と昭和の年月日を対応させた。雑誌で追うということ。雑誌のエピローグとしても。
    ・現在が大文字であるかどうか裁定し解釈するのは未来の人。
    ・悪い記憶も引き受けることで、晴美の笑顔の入れ物になる。
    ・こうの漫画には真正面の顔が少ない、地面が描かれる。
    ・漫画の白地。生きていることが後ろめたい。
    ・何か身振りをしたとき、自分でない誰かがそれをしたと感じること。記憶。
    ・キャラクターと空間をつなぐ小道具。
    ・誰かが死んでも日常は続く。
    ・性の不在。
    ・方言と標準語の揺れ。
    ・戦争体験の特権化への抵抗はすでに60年代に。
    ・「長い道」は昭和夫婦の裏側、「さんさん禄」は表側。
    ・古事記は早い文体、描写しない文体だからこそ、漫画に適している。

  • ちゃんと批評を読むと勉強になるなあマジで。素人とはレベルが違う。日頃見かけるTwitter名人程度で満足してるべきではないかも。たまにはね。
    中田健太郎さんと吉村和真さんの批評がかなり重要だと思う。
    細馬宏通さんとさやわかさんと田中里尚さんは目の付け所がシャープ。

    以下、参考になった部分を書き出し。
    ----------------------------------------
    ◆対談 こうの史代×西島大介…映画や漫画について争点になってる「どういうつもりで描かれたのか」といういくつかの疑問に作者が直接答えているのでとりあえず読むとよい。
    ・原爆の話ばかりに食いつくひとにすごく抵抗がある。
    ・原爆ものだけで戦争を語るのは不十分。
    ・戦争のわくわく感も描いている。(あっという間にメタメタにされてしまう)
    ・お涙頂戴は嫌い。
    ◆細馬宏通…漫画雑誌でマンガを読むこと。「この世界の片隅に」が連載漫画という形式を大いに活用していたという話。全く同じコマ割りや構図が反復して登場し、前回との対比になっているというような驚きの技法の数々。
    ◆雑賀恵子…難易度が高めの伏線を拾ってくれる解説。当時の公的記録をもとに庶民をとりまく社会環境も丁寧に説明している。
    ◆紙屋高雪…映画公開後に一部で議論になった「この物語は反戦ものか、反戦ものではないのか」についてのまっとうな論考。正直ネット上でこれが「議論」として取り上げられたのは低次元な話だなあとも思ってるけど。
    ◆インタビュー 片渕須直…他媒体でも語られている内容は多い。
    ・戦争体験者のオーラルヒストリーだけに依存するべきではない。
    ・リンさんの話をカットした理由。
    ◆土居伸彰…他の作品との比較。人間のさみしさについて。
    ・「風立ちぬ」や「君の名は」、「かぐや姫の物語」との違い。
    ・ノーマン・マクラレンについての言及。映画版の白眉ともいえる場面の説明。
    ・ノルシュテインについての言及。彼の発したかなり重い問いかけについて。
    ◆インタビュー のん…インタビュアーがちょっと喋りすぎる。
    ・「キャラメルの味が広がった」について言及。当時の結婚観への拒否反応が出てる人が見落としている点。のんさんボーっとしてるように見えて大抵の一般人より洞察力鋭いよ。
    ◆中田健太郎…敵と味方という安易な二元論に対する批判。こうの史代作品の政治性。
    ・被害者/加害者という関係性を安易に固定させまいとする態度。
    ・戦争責任の問題が描かれないことについてのこうの史代の回答。
    ◆吉村和真…「夕凪の街 桜の国」および「この世界の片隅に」の危うさ。
    ・井伏鱒二「黒い雨」との類似性。特に大衆の受け入れ方について。
    ・政治性が忌避され、日常性が称揚される現象。
    ・これらの作品を読むとき、共感の手前で踏みとどまる必要があるのではないか。
    ◆さやわか…こうの史代作品と「萌え」の関連性
    ・「この世界の片隅に」について「日常系」と言われることがある所以とその距離感が上手に説明されている。
    ◆田中里尚…こうの史代作品の記録性について。膝を打つ視点。細かな考証は「リアリティ」だけではなく、「記録」という側面が強い。

  • 「夕凪の街 桜の国」から入り込んだ口で、「この世界の片隅に」も「夕凪」を知っていたので見に行きました。
    こうのさんのスタンスがおもしろい。いろんな技法を駆使して漫画を描いてる。芸術、とか堅苦しく考えずに、自身の世界観を広げている感じです。
    この本から、片隅が雑誌の最後にひっそり連載されていた様子などもわかって面白い。他の作品も読みたくなったので、こうの作品を網羅しつつ、読み込んでいきたい内容でした。

  • いや~映画が楽しみだし、そしてこれに特集されるまでになるなんて、と大変うれしいのでした。(何様っ!)

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