コリン・ウィルソンの犯罪コレクション (上)

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791753284

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  •  人類史の傍には常に犯罪あり。犯罪の傍らには常に欲望あり。
     主に近現代に発生した事件を基に、人間の欲望の数だけ存在する様々な犯罪の深層に、博覧強記の著者が豊富な知見を通して肉迫しカテゴリ分けする、犯罪と犯罪学の大百科。

     上巻は恐喝に詐欺、強盗から殺人まで37のカテゴリごとに数多の事件を紹介している。
     通して読むことで見えてくるのは、全ての犯罪加害者には共通する"パターン"があることだ。そしてそれは"動機"ではない。同じ動機を持っていても犯行に至らない者もいる。そしてその至らない者の方が多数である。
     では、犯行に至る者と至らない者の違いとは。それが"パターン"の有無だ。"パターン"の項目は複数あり、項目が多く埋まる時期が早ければ未成年でも、子供でも殺人を含む犯罪行為をためらわない。死刑を含む刑罰は犯罪抑止に一定の効果をあげてはいるが、それはあくまで「対症療法」でしかない。犯罪そのものやその原因を根絶する「原因療法」となり得るのが、犯罪加害者を育む要因である"パターン"の社会認知向上である。そして「予防」となり得るのが、潜在的犯罪者に犯罪行為の成功体験を与えない社会ルール作りなのだが、過度に徹底すると自由権の侵害に繋がる恐れがある点が難しい。
     また、本書では犠牲者/被害者の"パターン"にも言及している。つまり、その"パターン"の項目が多く埋まる人は犯罪もしくは「いじめ」の犠牲者/被害者になりやすい人ということだ。
     私たち自身が犯罪を穢(ケガレ)として目を背け続け、「私たちは常に犯罪とは無関係」という認識でいる限り、そこから脱却して犯罪を真正面から見据えない限り、"パターン"を理解すること、犯罪被害者と犯罪加害者を減らすことはできないだろう。本書はその"パターン"を理解するための一助になるかもしれない。

  • はじめに
    1.悪の三角関係 2.アリバイ 3.暗黒街 4.暗殺 5.田舎の人殺し 6.裏切り 7.大金持ちの人殺し 8.大泥棒 9.オカルトによる犯罪捜査 10.夫殺し 11.オフィス犯罪 12.親殺し 13.女たらし 14.犠牲者 15.ギャング 16.恐喝 17.狂気の救世主 18.首吊り台の怪異 19.首なし死体 20.軍隊による殺人 21.警官殺し 22.警察の腐敗 23.刑事専門弁護士 24.芸術家の犯罪 25.経歴詐称 26.激情の犯罪 27.航空機犯罪 28.絞殺 29.強欲 30.子供による人殺し 31.裁判の遅延 32.詐欺師 33.サボタージュ 34.山賊 35.ジェントルマンもどき 36.自殺 37.死の家

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著者プロフィール

"コリン・ウィルソン
1931-2013
英国、レスター生まれ。
16歳で経済的事情により学校を離れ、
様々な仕事に就きながら執筆を続ける。
1956年、評論『アウトサイダー』を発表。
これが大きな反響を呼び、作家としての地位を確立。
主な著書に『殺人百科』(61)、『オカルト』(71)など。




"

「2019年 『必須の疑念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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