- Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791753338
作品紹介・あらすじ
オウィディウスからフロイトまで、「芸術家」たちの《失われた夢》が、肉体をそなえ、息づき始めた。この夢は、誰がみた夢なのか-。現代イタリア文学の鬼才タブッキが、夢を愛するすべての人に贈る、小さな夢の標本箱。
感想・レビュー・書評
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タブッキの愛した芸術家達がみた、ある夜の夢の物語。
沢山の人格を持つペソアは自身について「生きた舞台背景」だと言い、そこを通過する彼の人格を「俳優」だと言う。僕はそれが夢なのだと思う。日常の上にいつつも非日常の出来事が起こり、当事者のようで傍観者で居続ける夢。
それとこれは読書にも当て嵌まると思う。他者の夢を覗いてみたいのと同じ感覚で本を開き、視点は様々だろうが結局は傍観者でいなければならない演劇のような読書。
だからこういう本は僕の欲求をストレートに満たしてくれる。
美しい20の夢を見た。
美しい20の演劇を観た。
美しい20のお話を読んだ。
「詩人」オウィディウス、チェッコ・アンジョリエーリ、ヴィヨン、コウルリッジ、レオパルディ、ランボー、ペソア、マヤコフスキー、ロルカ
「作家」アプレイウス、ラブレー、コッローディ、スティヴンスン、チェーホフ
「画家」カラヴァッジョ、ゴヤ、ロートレック
「音楽家」ドビュッシー
「精神病理学者」フロイト
「架空の建築家」ダイダロス詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芸術家たちが見たのかもしれない夢が20編おさめられている。
分量は各々5ページ前後で非常に読みやすい。彼らの夢はすべて彼らの代表作を体現するようなものになっていてなかなか面白い。
こんな夢にインスピレーションを得て作品が生まれるということが往々にしてある、ということをタブッキ自身が実感しているんだろうなあ。
サクっと読めて、タブッキらしい夢幻的な雰囲気も味わえて満足。