- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791756681
作品紹介・あらすじ
猿の集団が大きくなって「毛づくろい」ができなくなったとき、それに代わるコミュニケーション手段として生まれたのが人間の「ゴシップ=言語」だった-生物学、脳生理学、人類学、心理学などの最新成果を踏まえ500万年を鳥瞰し、ことばの進化の歴史を根底から覆す。
感想・レビュー・書評
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA38587019
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進化の過程で言葉(つまり言語)がどのようにして獲得されていったかを考察したもの。類人猿やサルの大脳皮質の割合をデータを元に議論している。著者のダンバーは著名な人類学者・進化生物学者でダンバー数(ヒトの集団には互いに認知しあい安定した人間関係を維持できために人数の上限があって150であるというもの)でとくに知られている。
本著でも言葉の起源に関して人同士の関係性の重要さを指摘する。群れの形成には個体同士の物理的な触れ合い(毛づくろい)が必要であったが、群れのサイズが大きくなると物理的な触れ合いに十分な時間が取れなくなる。そのため物理的な触れ合いの代替として音声による交流が生まれたという。さらには集団の維持には他人に対する評価(うわさ・ゴシップ)も重要だともいっている。
元々1つの言語が方言を経て別々の言語になってしまう速度は想像以上に早い。自分が属している集団だけで通じる言い回しが使われるようになる傾向がある。これは部外者(集団を喰い物にしてしまうかもしれないフリーライダー)の侵入を妨げるからだという。 -
群れの規模と新皮質の大きさには因果関係がある。
言語は猿の毛繕いと一緒。群れの結束のための仕組み。
→集団が大きくなるにつれ一対多でコミュニケーションをとるために音声を使用。
ただし、音声、つまり通常の会話には毛繕いのようなアヘンを放出させる作用はない(限界がある)
方言は群れの争いの際のアイデンティティの維持のため?→人口密度が大きいほど方言の変化が早い
全員が会話に参加出来るのは三人程度が限度?
ネットの会話は肉体作用が切り離されているため感情的になりやすい?
→フィジカルなネットワークの重要性が増す
メンバ内で相互に個人を把握できるのは150人程度が限度
言語は小規模ネットワークに適合するようデザインされている→何が次の進化を促す?もしくは適合するようどう社会をデザインする? -
1 むだ話をする人々
2 めまぐるしい社会生活へ
3 誠実になることの重要性
4 脳、群れ、進化
5 機械の中の幽霊
6 はるか彼方へ時をさかのぼる
7 最初の言葉
8 バベルの遺物
9 生活のちょっとした儀式
10 進化の傷跡 -
ことばの起源ばかりではなく、組織のデザインや規模について、ヒントをくれる本です。