綺想の饗宴―アリス狩り

著者 :
  • 青土社
3.56
  • (2)
  • (2)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 26
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791757206

作品紹介・あらすじ

陶酔と恐怖、珍奇と邪悪、倒錯と歪曲、狂気と幻想など、綺想の美を遍歴し、異形の思考を極めるマニエリスム-。その逸脱や偏倚の美と、過剰と混淆のエネルギーが交錯する世紀末現代の文化諸相を、大胆鋭利に分析する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 1999年刊。ファンと言いつつ未読のものがあり、これもその一冊。エピローグの言によれば「マニエリスムを前面に押しだして丸々一巻」とのこと。
    本文中にある極めて分かりやすい記述から引用すれば、「言語やイメージにおける沈滞を、かつての材料をバラバラにして再編成する結合の妙をもって突破しようとする技術とその理論をマニエリスムと呼ぶ。」その術は「結合術(アルス・コンビナトリア)」「驚異の術(アルテ・デラ・メラビリア)」などとも呼ばれた。そのマニエリスムの位相においてバッハの音楽を語り、「何でもない材料を意表をつく結びつきで別次元のものに」変える料理、「異なったさまざまな起源(オリジン)のものをテーブルの上にひとつのものとしてまとめる」術としての食文化を語る。
    「マニエリスム、今日は」と題した一文は、一際筆致に熱が籠っているように感じる。
    エピローグを読んで、成程これまでの氏の著作は幻想文学、普遍言語、絵画、風景論、庭園、建築、博物学、世紀末論等々、悉くマニエリスティックな関心から辿られていたのだなあと納得。そして海外の最新鋭の学知を抜群のアンテナで摂取、吸収した上で、ジャンルも洋の東西も問わず、自在に横断し越境し繋いでいく氏の諸作が、何よりもマニエリスティックな身振りであると感ずる。
    「テクストの勝利」という『吸血鬼ドラキュラ』を論じた文章なんかが特に好きな自分からすると、もっと文学テクストを扱って欲しいという未練はあれど、相変わらず歯切れのよい「高山節」を愉しく読んだ。
    西欧近代の眼差しの両義性――蒙きを啓き、空白を埋め、不分明なものを明晰にする一方、暴きたて、解剖し、腑分けし、テーブル/タブローに並べ立て、囲いこみ、分類化し、秩序化し、馴致し、支配していく構造を諸相――料理、花卉、絵画、写真、映画、庭園、建築、博物学、そして女性――に見ていく氏の文化史観には多くを学んだと実感している。

  • 442夜

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

HIROSHI TAKAYAMA.
たかやま・ひろし
大妻女子大学学務担当副学長(文化表象論、現代批評理論)。
1947年、岩手県生れ。
東京大学文学部英文科卒、
同大学院人文科学研究科修士課程修了。東大英文科助手、
東京都立大学助教授、教授、
首都大学東京都市教養学部教授を経て、
明治大学国際日本学部教授、
2014年より大妻女子大学比較文化学部教授。
2017年より退職。
●『アリス狩り』『アレハンドリア  アリス狩りⅤ』
(青土社)等著書多数、
『アルチンボルド』(ジャンカルロ・マイオリーノ、
ありな書房)、キャロル『鏡の国のアリス』
佐々木マキ・絵、高山宏・訳(亜紀書房)、
マガイアー『ボーリンゲン』(白水社)等訳書多数。
当面、視覚文化論の重要テクスト(英文)70篇の
編集・出版に没頭(ライフワーク)
VIsual Culture(4巻,SAGE,London,2017).

「2018年 『マニエリスム談義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綺想の饗宴―アリス狩りのその他の作品

綺想の饗宴 オンデマンド (ペーパーバック) 綺想の饗宴 高山宏

高山宏の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ミシェル・フーコ...
高山 宏
ガストン バシュ...
ウィトゲンシュタ...
サン=テグジュペ...
ハラルト シュテ...
ウンベルト エー...
サイモン・シャー...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする