クローゼットの認識論 セクシュアリティの20世紀

  • 青土社
3.63
  • (4)
  • (4)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 128
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791757220

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古典、なんだけど難しい本で、なかなか読み進めない。いや、難しいだけでなくて、扱われている事柄の解決だって恐ろしく困難だ。ホモセクシュアルに対する見方に「分離派」と「統合派」がある、という説明はなるほどと思う。実際にはその両者をときどきの都合に応じて多くのひとが採用しているような気もするが、でもまぁホモフォビックな人たちは必ずや「分離派」だなぁ。実際にはコンテクストがさまざまの「現れる事柄」を左右するんだが。S大EH院ゼミ2010年度テクストの一つ。

  • はっきりいって、最近の読書のなかでは一番苦労した。もともと気になっていた本だし、まだまだホモセクシュアリティの研究書で日本語で読めるものは少ない。かといって、本書が全般的に難解な文章から成っているわけではない。序文の問題設定は非常に明白で、ホモ・セクシュアリティに関する単純化された議論を複雑化しようとする意図は納得。
    しかし、1章から始まる具体的な作品を通しての分析・議論は私にはとてもとっつきにくい。前半はそもそも著者名も作品名も聞いたことのないものばかりでしょうがないが、後半ではプルーストの『失われた時を求めて』が取り上げられる。『失われた時を求めて』は数冊呼んだことがあるが、それでもやっぱりついていけない。それはやはりこの日本社会におけるホモ・セクシュアリティの状況、まあそれほど大きくなくても私自身の周囲における状況があまりにも違いすぎるからだろうか。
    しかし、本文を読んでいて理解できなかった、ホモセクシュアリティの普遍化の傾向とマイノリティの傾向というテーゼが、役者のあとがきを読んで理解できたってのは、やはり私自身の読解力の問題か。ともかく、これ以上書けないちょっと悔しい読書でした。
    セジウィックの前作『男同士の絆』を読むべきか否か。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1950年米国オハイオ州に生まれ、2009年ニューヨーク州に没する。
ボストン大学、アマースト大学、デューク大学、ニューヨーク市立大学大学院センターなどで教鞭をとり、
クィア・スタディーズを牽引する多くの著書を発表しながら、晩年はテキスタイル・アーティストとしても活躍した。
翻訳されている著作としては
『男同士の絆——イギリス文学とホモソーシャルな欲望』(上原早苗・亀沢美由紀訳、名古屋大学出版会、2001年)
『クローゼットの認識論——セクシュアリティの二〇世紀』(外岡尚美訳、青土社、1999年/新装版、2018年)がある。

「2022年 『タッチング・フィーリング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

イヴ・コゾフスキー・セジウィックの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×