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- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791757619
感想・レビュー・書評
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フィリピン女性=性産業に従事する女性、というイメージは、今はないだろう…と思うけれど、たまにそのイメージが残っていたりする(かえってびっくりするけど)。性産業→農村花嫁→ケアワーカーへと変わっても、フィリピン女性をめぐる状況は、日本にとって、常に性(生殖)やケアのための補充労働力とされている、という問題構成自体は、今日でも同型的だろう。本書では、在日フィリピン女性の連帯に精力的・中心的に関わってきたリサ・ゴウへのインタビューを軸に、彼女のライフヒストリーや具体的な日常生活が語られる。フィリピン解放運動とフェミニズムの関係など、固有の文脈があることに(知っていたつもりでも)はっとさせられる。第三世界の女性、という表象や「レイシズム」、アイデンティティ・ポリティクス…という問いかけは、幾ばくか古びてはいるものの、日本人であること、を正面から問いかけられ、胸を打たれる良書だと思う。最初、違和感を感じていた「レイシズム」という語彙の選択が、アジアの中の「レイシズム」であり、エスニック・マイノリティという問題構成とは重点に違いがある…ということが(全面的に支持する気にはなれないけれど)、示唆的な課題だなーと感じた。
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