アンティゴネーの主張: 問い直される親族関係

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791760138

作品紹介・あらすじ

規範的な親族関係の言説が私たちの生から奪うものは何か。西洋古典劇『アンティゴネー』に、ポスト産業社会の家族形態の火急の課題を見出し、親密な生の領域の倫理を根源的に問う、現代思想/セクシュアリティ研究の到達点。

感想・レビュー・書評

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  • 男性性/女性性という最近関心のテーマとの関係で、読んでみる。

    バトラーは、ポストモダーンなフェミニズムの論者?

    フーコーとか、デリダを踏まえながら、ジェンダーとか、暴力とか、を論じている人?

    バトラーは、なにが前提になっているのかよく分からない理論的な本が多いのだけど、これはギリシア悲劇の「アンティゴネー」を素材に論じているので、比較的、取っ付き易いというレビューもあった。あと、「アンティゴネー」は、最近、「オイディプス」「コローノスのオイディプス」とあわせて、読んだばかりなので、きっと面白いに違いないと思った。

    が、やっぱり難しかったな〜。ある意味、わたしがこれまで読んだ「ジェンダートラブル」「自分自身を説明すること」「生のあやうさ」より、分かりにくい気がした。

    分からないないなりに、無理矢理、1章、2章と読んで、3章になったところで、急速に視界が開けだして、そういうことだったわけ、となり、最後の訳者の解説を読んで、全体像がやっと分かった。

    ここで語られていることは、通常の文学論や哲学論ではなくて、まさに現在の社会でおきているジェンダーというか、LGBTというか、そういう問題に向けて、どう「アンティゴネー」を読むことが可能であるか、という方向性があらためて設定されての議論だったわけですね。バトラーの解釈は無理矢理感はなくて、なるほど感が高いものだけどね。

    LGBTを含んで複雑化、多様化する「家族」、「親族関係」というか、「親密な関係」をこれからどう作って行くのか?というのがテーマか?

    そして、それには正解はない。

    というより、「これからは、これがいい」ということ自体が、これまでの思考、制度のなかにある。

    むしろ、そういったものを攪乱するための、言語的なパフォーマンスの実践といういつものバトラーの主張、ということをまさに実践したという本なんですね。きっと。。。

    とここまで、分かった気にはなったが、なんだか、すっきりしない読後感でした。

  • 読書会で取り上げられ、再読。
    バトラーはヘーゲル、ラカンのアンティゴネーの読みを批判し、彼らがアンティゴネーを位置付けかねていることを露呈させる。
    「精神分析がオイディプスではなくアンティゴネーを出発点としていたらどうなっていたか」という疑問から書き起こされる第三章、乱交的服従は秀逸。
    オルタナティヴな親族関係を提示しつつ、安易に法や国家の「外部」を措定しないバトラーの姿勢をうかがい知ることができる。

  • 竹村さんのあとがきに震えた。あと、これアマゾンで書評してくれてる人にも感謝。血縁関係をこえる人間関係はあります。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学バークレー校教授。主な著書に『ジェンダー・トラブル――フェミニズムとアイデンティティの撹乱』『アンティゴネーの主張――問い直される親族関係』(以上、竹村和子訳、青土社)、『アセンブリ――行為遂行性・複数性・政治』(佐藤嘉幸・清水知子訳、青土社)、『分かれ道――ユダヤ性とシオニズム批判』(大橋洋一・岸まどか訳、青土社)、『権力の心的な生――主体化=服従化に関する諸理論』『自分自身を説明すること――倫理的暴力の批判』(以上、佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社)、『生のあやうさ――哀悼と暴力の政治学』(本橋哲也訳、以文社)、『戦争の枠組――生はいつ嘆きうるものであるのか』(清水晶子訳、筑摩書房)、『触発する言葉――言葉・権力・行為体』(竹村和子訳、岩波書店)、『欲望の主体――ヘーゲルと二〇世紀フランスにおけるポスト・ヘーゲル主義』(大河内泰樹・岡崎佑香・岡崎龍・野尻英一訳、堀之内出版)、『偶発性・ヘゲモニー・普遍性――新しい対抗政治への対話』(エルネスト・ラクラウ、スラヴォイ・ジジェクとの共著、竹村和子・村山敏勝訳、青土社)、『国家を歌うのは誰か?――グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』(ガヤトリ・スピヴァクとの共著、竹村和子訳、岩波書店)などがある。

「2021年 『問題=物質となる身体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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