- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791760824
作品紹介・あらすじ
たゆまぬ改革がもたらす多様な信仰の姿。ルター、カルヴァンらによる宗教改革をはじめ、その複雑な歴史、信条、慣習を手際よく解説。プロテスタンティズムの精神と背景、そしてたゆまぬ改革によって分裂を重ね多様化した諸教派の見取り図、現代の諸問題も紹介。
感想・レビュー・書評
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・心の貧しい人々は幸いである、
天の国はその人たちのものである。
悲しむ人々は幸いである、
その人たちは慰められる。
柔和な人々は幸いである、
その人たちは地を受け継ぐ。
義に飢え渇く人々は幸いである、
その人たちは満たされる。
憐れみ深い人々は幸いである、
その人たちは憐れみを受ける。
心の清い人々は幸いである、
その人たちは神を見る。
平和を実現する人々は幸いである、
その人たちは神の子と呼ばれる。
義のために迫害される人々は幸いである、
天の国はその人たちのものである。
・個人は─少なくとも大抵の個人は─自己を導くことができない。彼らは地上の生活を維持するのに忙しく、自らの人生に与えるべき指針を作り出すことができない。だからこそ神は自らを啓示した、とキリスト教徒は考える。啓示は人間をより高次の生へと導く案内であり、現世の生はこの高次の生へ向けて試行錯誤する期間、準備期間にあたる。しかし、神の啓示は誰の目にも明らかだというわけではない。それゆえ、人類に対する神の意志と計画を読み解く賢明な解釈者が必要なのだ。教皇と教会は、この案内を提供することにかけて、世俗世界のどんな王や皇帝よりも勝っている。後者の関心はこの世に限定されているからだ。
・宗教改革に至る歴史を顧みると、この改革がいかに複雑で定義し難いものであるかが分かる。「プロテスタント」という呼称を吟味するだけでも、その複雑性に気づかざるをえない。それは実に具体的且つ歴史的な呼称であり、この改革が広がることを阻止しようとした皇帝カール五世に対するルター派の「プロテスト(抗議)」を示している。しかし、動機を異にする数多くの集団がルターの改革と結びついた。「プロテスタント」という呼称は、実際には統一された論争ではなかったにもかかわらず、そうした多種多様な抗議の一切合切を吸収したのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示