起源のインターネット

著者 :
  • 青土社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791761913

感想・レビュー・書評

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  • 着眼点はとても良いと思います。もっと踏み込めば面白い論文になるだろうと思います。頑張ってくださいね!先はもっと深められる題材ですしね。
     電算機技術のなかでもネットワーク開発は、技術史におけるおおきなエポックメイキングだと思います。
    この技術開発により社会および経済史に多大な影響を与えた訳ですが。80年代に於いてビルクリントン大統領もあからさまに国策のひとつとして大々的に発表しておりました。あれ以降というものの、<新自由主義>と並んで技術と自信の裏付けとして<情報技術の集積>は機能し、大きなイノベーションを後押しをする土台であったかと思います。
     そして、IT(情報技術)の成長と金融商品あるいは金融工学の開発洗練、これらが相互に補い絡み合い時代の風潮を造り上げて、産業構造を大きく変えてしまいました。勿論社会的にも相当のインパクトを残しつつ、住まう人間の時間感覚をも変えざるを得なかったような気が致します。
     とりわけ経済観念の意味内容に対して、ヒトの受けた衝撃は大きかったのではないかと思います。自分にとっての労働の意味とか、稼ぎ方や働き方を大きく変えた。そんな気がします。
     そして、その運動の本質は『社会』を大きく毀損する方向へヒトを誘導するものであったのだ。ある意味それは「内爆発(佐伯啓思氏)」というものでした。フロンティアを探すのが資本主義の宿命なのでしょう。そのフロンティアを世界に対してではなく自分たちに向けていったらこう成りましたと。それにとどまらず、さらに先を見据えて、遺伝子工学やら生物的部分はおそらく全部対象にして、いわば映画「ガタカ」のような世界観なんでしょうね。
    歌の歌詞を思い出しました。♪もうこの世界は誰もが知っている・・みんな知っている・・どれもこれも・・誰も彼もがみんな知っている・・・

  • ARPAネットの技術的枠組みが標準として育つにあたっては、国防総省が軍事用通信NWをARPAネットから分離する際に、のちにネットワーク関連機器を民間調達できるようにするために、TCP/IPを軍のネットワーキングの標準としたことが大きな役割を果たした。

  • よくもまあそこまで調べました、と感心させられる本である。判っていたように思っていたインターネットの始まりのところで起きていたことを厳密に調べ、当事者に確かめ書き上げた本当の話である。
    著者を個人的に知っているので、より一層の驚きでもある。理詰めの話が得意かと思えばミーハーな話題にもきっちり付いてくる不思議な人である。興味を持てばそのテーマについては誰よりも詳しくなることが彼女にとっては特別な努力ではなく、当然のことなのだ。
    ダイナブックという名前の生まれたところ(東芝は関係ない)、イーサーネットという言葉の意味、パケットの誕生、TCP/IPの位置づけ。様々な話題がきちんと位置づけられ、今日に至る道筋が描かれて行く。世界的な約束事=プロトコルが作り上げられていく過程が描かれて行く。感動ものなのだ。
    時々ちょっとどこかで不調を来しているけれど、全般的にはけっこう安定。インターネットについて感じるそんな気持ちがまさに、その全体の設計思想の中にあると知って驚いた。ちょっとした不具合の可能性を認めることで全体を強靭なものにする、という戦略ってDNAの持つ戦略によく似ている。うまく動くシステムというのはどこかに冗長性があったり、重複があったり、そして時に不調を来したりする。DNAの戦略に実によく似ている。パケット通信なんてまさにm-RNAのやってる作業じゃないかと思う。なんとも見事な戦略を人はインターネットとコンピューターを使って作り上げたものだと感心する。

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著者プロフィール

関西大学総合情報学部教授。博士(文学・京都大学文学研究科現代文化学系二十世紀学専修)。専門は技術史。

「2014年 『ヨガ・ボディ ポーズ練習の起源』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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