- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791763306
作品紹介・あらすじ
言葉は穴だらけだ。日本語でも他の言葉でも、外から眺めてみると欠けている単語がたくさんあって、どうしてこんな穴あきチーズを使ってものを書くことができるのだろうと不思議になる。越境者の言葉。
感想・レビュー・書評
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多和田葉子は頭脳派だと思っていた。明晰な知性でドイツ語と日本語を流暢に繰り出し、双方の言葉の「いいとこ取り」をして洗練されたチャーミングな作品を書く、と。だが、このエッセイ集を読むと彼女が言葉がはらむ矛盾やゆらぎなど「穴」としか言いようのないものに素早く反応し、その「穴」が生み出すカオスを引き受けて生きようと全身で試みているのではないかと思う(どうしても大袈裟な言い方になるが)。いわば肉体派、と書いてみて私自身この言葉が下品なエロスを備えているのではないかと脅え、彼女に倣って造語を書きたくなる。身体派、と
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エッセイもあり小説もあり、いろいろであった。ドイツのことも少しは書かれていた。
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昨年W大学で開かれたイベントで多和田さんの朗読を聴いたので、自分の読む声と多和田さんの声が頭の中で同時に聞こえる気がして面白かった。
初版を読んだら誤植が多くて残念。言葉について書いている本で誤植はまずかろう。 -
ものは分断のしようで、いろいろな顔を見せる。今、ワープロで「ぶんだん」を漢字変換しようとしたら、まず「文壇」が出た。でも、わたしは全くそのようなものについて書く気持ちはなく、「分断」を出そうと思ってキーを押したのだけれど。