動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ

著者 :
  • 青土社
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791763511

感想・レビュー・書評

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  • 2268円購入2009-12-21

  • 文章はどこか物語調で、学術書にしてはとても読みやすい。ただ、概念的で理解が容易ではない言葉もよく出て来るので、完全に内容を理解することは難しい。
    前半では、物理や生命について書かれているが、後半ではコミュニケーション、アート、脳科学などテーマが多岐に渡っている。
    本書通して、中間層という言葉が頻発していた。物理的法則だけではないなんらかの法則性、というようなニュアンスだが、これが複雑系を象徴する認識なのだろうと感じた。
    生命、意識などについて興味関心はあるが、あまり専門知識はない自分にとっては、読みやすく楽しめる本だった。

  • はっきり言って難しいです。逆にこの内容が簡単に理解できるとしたら、人は生命や意識の問題について深く悩むことはないのでしょうね。

  • マイケル・レディーの思考実験(1993)
    異なる世界が相互に「道具の設計図」を転送できるパイプで繋がっている。各世界の住人は、直接あって話をすることも、異なる世界に行く事もできない。ただパイプを介して設計図を転送するだけ。設計図をみても世界が異なっているために、その意味するものが異なっている。
    住民は苦心して設計図から道具を組み立てる。しかしその結果、同じ設計図から全然違うものを組み立ててしまう。こうした試行錯誤の相互作用の末、住人たちはお互いの世界に関する理解が進んでいくーという話。"tool maker's paradigm"
    <悪魔のいたずら>
    設計図から自分で組み立てた記憶そのものを住人たちの頭の中から消す。
    →変な道具を見つけた住人は意味が分からず、相互コミュニケーションはどんどん悪くなってしまう。あるいはお互いを理解しようとする意図がどんどんなくなってしまう。"conduit metaphor"

    異なる世界とは、異なる脳内風景、認知の形である。言葉はパイプによる設計図の転送に対応している。設計図に書かれたものが言語表現。

    "tool maker's paradigm":意味とは言葉の解釈過程があってのものであり、それがコミュニケーションの本質であると捉える。(言葉によるコミュニケーションはほとんどが誤解、そのまま通じる事は例外とする。しかしそれゆえにコミュニケーションというものが発展する)
    "conduit metaphor":パイプで道具そのものを送るということは解釈過程が存在しない。コミュニケーションは通じ合う事が通常であり、誤解される事はまれである、という仮定。しかしそれゆえコミュニケーションは失われてしまう。

    レディーはこの実験により言語を意味の担い手とする考え方に反対し、言語とは意味を作り出す手続きだという考え方に賛同している。
    コミュニケーションとは取りかわされる意味ではなく、その意味を作り出す住人の心にあり、パイプで送られる設計図はあくまで住人がものを考える契機にすぎない。

    言葉に貼付けられる意味そのものではなく、貼付けられるプロセスそのものを意味と見なす事を可能とし、【言語を意味からの単なるマッピングとみなす議論から解き放っている】

    悪魔の後の世界・・・
    「異なる世界の住人は、あまりの退屈さに徐々に遊びの道具を作るようになっていた。とても複雑な形をした、スイッチのいっぱいついた色とりどりの装置が相互に送られてくるようになった。スイッチをいれるとその装置はさまざまな色に光りながら形を自在に変え、あるときは美しい女神に、あるときは長い階段にその姿を変える。住民はその変幻に心を奪われ、幸福な気分になっていった。」

    ここで住民がかわすのは道具の設計図ではなく、むしろ美しい詩。(情報の質的なちがい)

    問題はわれわれが取り交わす目的が伝達したい何かがあるというよりむしろ、何を意図しないでいるのにそれがコミュニケーションの構造自体によって伝達されてしまう場合が圧倒的に多いからなのだろう。※

    コミュニーケションの目的は「仲良くなること」にあると究極的にはいうことができる。

    ■神尾昭雄「情報論的ななわばり理論」
    間接形(相手との距離が遠い)
    ■グライス
    言語の「含み」
    規則がなければ規則を守っていないというメタ的な意味を構成できない。
    ・・・エスノメソドロジー:特定の状況をひとつひとつドキュメンタリー的に記述していく事を重視
    サッチマン『プラトンと状況的行為』
    「あらゆる固有の文脈がオープンエンド(おわりなくひらかれている)であること、そして文脈の精緻化は本質的なアドホックな(その場に応じた)ものだということ」

    ジョイントアテンション JA
    ゴールJA、ツールJA
    JAを目的とすることができない症状・・・自閉的シンドローム、誤信念課題の失敗(Premack)…自分が信じている事と違う事を他人が信じている※
    心の理論モジュールの欠損として自閉症を捉える(Leslie),
    バロンコーエン、Mudy-Hobson

    自他の分離の理解が必要条件

    ん、ゴール(共感)のためのツールになってないか?

    チョムスキー『21世紀の言語学』
    言語進化

    リベット Mind Time 自由意志の存在を証明しようとして、逆にそれを否定するような結果を出してしまった脳生理学者。
    行為をはじめる事には自由意志が認められないが、行為をやめることには認められた?

    難しかったけど面白かった。6章以降が特に面白い。そして知識が広い!
    言語進化(チョムスキー、トマセル、ピンカー)やリベット(Mind Time)に興味がでた!
    ゴダールをアンナカリーナのかわいさ以外のとこを見直してみようと思った!

  • 生物ってなんだろう.食って出す代謝をするもの?膜で自分とその他を区別しているもの?遺伝子を使って子孫を残す(自己複製)もの?生物学の教科書には一言で表すには難しいと断りを入れつつ,小難しい定義が並んでますよね.だけど,僕らはそんな定義を知らなくても日常の中で「生物っぽい!」って思う事がたくさんあります.そして,その感情は生物だけでなく,明らかに非生物的なものにまで向けられる.生物っぽいって何だろう?その感情は「生物とは何だろう」という問いとは無関係なんだろうか?この本はモノの「動き」に注目し,そこから生物とは何であるかについて考察しています.生物の本ですが物理学や情報学,科学哲学など広く学際的な視点から書かれており示唆に富む内容.日本のフォン・ノイマンとも陰で言われる池上高志先生の本です.必読!!

  • きっとすごいことが書いてあるのだろうが、僕にはあまり理解できなかった。揺らぎ、中間層、カオス… 力学系とは実に難解である。が、なぜか惹かれるコトバで満ち満ちている。「生命とは何か」という問いは簡単には解けないようである。

  • NHKの 爆問 を見て読みましたテレビ番組の方がよりわかりやすかった

  • 難解だが,構成論的に「生きている」システムを作るにはどうすればよいか?のヒントがいっぱい載っている本.一度だけではなく,二度,三度読むべき本だと思う.

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著者プロフィール

池上高志(いけがみ たかし)
1961年、長野県生まれ。複雑系・人工生命研究。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士(物理学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。人工生命(ALIFE)に新たな境地を切り拓き、研究を世界的に牽引。アート作品でも注目される。著書に『動きが生命をつくる』『生命のサンドイッチ理論』など。

「2016年 『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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