「かわいい」の帝国

著者 :
  • 青土社
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本棚登録 : 129
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791764860

作品紹介・あらすじ

いまや日本が世界に誇る「かわいい」カルチャーをモードからひもとき、世界中を席巻するその魅力の正体にせまる。

感想・レビュー・書評

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  • 「かわいい」カルチャーを紐解く、とは言っているけど、概観した本、と言うことになると思う。
    大正時代から2000年代までの女性ファッション・文化の流れを軽く紹介した上で、今日的なトピックを紹介している感じ。
    60年代はこんな雑誌がこんなモデルを使っていたんですよ。
    ロリータファッションっていうのがあって、ヴィジュアル系と関係があって、こんな種類があるんですよ。
    かわいい男子っていうのもいて、こういう雑誌に載っているんですよ。
    というイメージ。

    最後に、「かわいい」という言葉が陳腐化している、なんてもっと不可視の部分も触れられてはいるけど、内容的につながりが読み取れないのがいたい。

    個人的には、凄く面白いと思えた視点がある。
    6章「雑誌の作り出す『かわいい』イメージ」というところで、
     CamCamの「かわいい」は男性の視点を意識したものだが、
     CUTiEの「かわいい」は男性や周囲を意識しない自分だけのもの
    という要旨の指摘があって、これには凄いと思わされた。

    こういう視点を知れただけで、うれしく思う。
    でも、「なぜ?」「どういうこと?」という疑問も浮かんでくる。
    だから、例えば、
    「CamCamとCUTiEの『かわいい』を受け入れる女の子たちは対抗しあっているのだろうか」
    なんて、内部の、容易には見えない内容を読ませてほしい、なんて切に思う。

    読みやすい本で事実を知るのは楽しいけど、それだけじゃ好奇心は満たされないのよ。

  • ファッションや流行とは対極にいるアラフィフ男がこんな本を読んでみた。かわいいは英語にすれぱ「Cute」だが、英語圏のセレブ達からも「かわいいはCuteとはまた別の深い物」として「kawaii」が日本発の文化として支持されている。

    日本のかわいいのルーツは、遠く昔の枕草子にまで遡るという説もあるらしい。本書では主に戦前からのファッション、文化、流行、芸能などを追いかけている。ファッションに興味の無い私でも知っている数多くの名前が出てきて、日本のファッション史がわかりやすい文章でまとめられている。

    かわいいもその方向性は多様化している。私の好きなゆるキャラやLINEスタンプもその派生品だろう。意外と、関係無いようでかわいいと深く関わっていることに気づかされる。

  • 参照説明が豊富で、資料集としても秀悦の書。第一章では「かわいい」の定義について他研究者の見解を紹介している。

  • 社会

  • 女の子だけじゃなくて男の子にも使える「かわいい♡」この本で「かわいい」を研究しよう!!【中央館2F-東3 361.5/KO】

  • 懐かしい固有名詞の羅列。以上。

  • 『COOL!AKJ48~アメリカ・韓国・日本を知る48冊~』
    <閲覧係より>
    「かわいい」は女の子のための特別な価値観だと思う・・・。
    しかしながら日本の「かわいい」は世界に通用するポップカルチャーになりつつもある。
    そもそも女の子が「かわいい」というものは、何を基準にして「かわいい」と言うのか??
    雑誌では「かわいい」「カワイイ」「可愛い」を多用しているが、雑誌によって「かわいい」の定義がちがう!?
    今や「かわいい」は極めて有効なマーケティング戦略となるため、ファッションやサブカルチャーで活躍したい方はしっかりその定義をおさえておいたほうがよさそう!?・・・
    -------------------------------------
    所在番号:383.15||KOR
    資料番号:20094478
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  • オンナの『可愛い』は分からん!という男性の声を、たまに耳にする。
    何が違うのか、『可愛い』って何だ?とぼんやりと考えていた時に(注:私はどうでもいい事を考えるのが好き)、読書サークルでこの本を紹介された。

    「かわいい」とは何か、「かわいい」がどう文化に影響を与えていったかを、この作品はファッションを中心に説明している。

    日本の戦後からのファッション史、特にサブカルファッションをかなり細かく列挙しているので、サブカルファッション好きにはたまらないだろう。
    私はファッションは大好きだけれども、思想としてのファッションまでもは持ち合わせていないので、実は途中で少し退屈になった。

    それでもオススメレビューを書こうと思ったのは、別の本で読んだ面白いエピソードを思い出したからだ。


    オヤジ転がしと呼ばれるOLなんだけれども、社会常識に欠ける失敗をして上司に呼び出しをされる。
    カンカンに怒った上司の表情を見た彼女は、上司の先手を売って、「やだ〜!課長の今日のネクタイかわいい!!!オシャレですぅ」と言い放つのだ。
    そんな事を言われた上司はひとたまりも無い。怒りも消え失せ、「今後、気を付けなさい」と軽い注意でコトは終わった…

    まぁ、このテクニックは男性には使えないし、女性でも年齢制限がありそうだけれども、
    物凄い裏技というか、無敵のテクニックだと思う。
    ここで、『オシャレ』だけじゃなくて『かわいい』を使うところがポイントだろう。
    このエピソードを読んだ時、『かわいい』が何でそんなに効くのか、感覚的には分かるけど、理屈が理解出来なかった。


    でも、この作品の一文を読んで、理解出来た。
    「かわいい」はリスペクトのないフラットな価値観である。

    『かわいい』と言われると、そこに上下関係は無くなる。無条件に、「愛すべきいい感じのモノ」というイメージが付く。
    で、そんな事をおじさんが若い女の子から言われたら、何となく仲間として認められて、褒められたのような感じになるのだろう。
    また、おじさんだけではなく、ほとんどの男性が「かわいい」と言われる事は余り無い。そのレアさも、「かわいい」が効く理由の一つだろう。

    だから、「かわいい」が無敵なのだ。

    このテクニックを20代のうちに知っておきたかったな…と、作品とは全然関係無い感想を持ってしまった。

  • “かわいい”をテーマとした研究本の中で一番共感できました。

  • 「かわいい」について初めて借りたのがこの本だった。「かわいい」の歴史について、(竹久夢二知らなかったから…)学べたのでよかった。まぁまぁ読みやすかった。

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著者プロフィール

文化女子大学教授。専門分野は現代ファッション史、ファッション・メディア論。共著書に『ファッション・ブランド・ベスト101』(新書館)、『世界服飾史』(美術出版社)ほか。

「2004年 『コルセットの文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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