ウラニウム戦争 核開発を競った科学者たち

  • 青土社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791765263

作品紹介・あらすじ

ウラン新発見は、神からの贈り物なのか、それとも悪魔の邪悪な誘惑なのか-。第二次世界大戦終結を目指し、壮大な情熱と戦略とで最先端知性が総動員されたウラン研究。その成果の応用をめぐり、政治権力者と激しく交錯する、アインシュタイン、ハイゼンベルク、ボーア、オッペンハイマーらの科学者たち。新たな歴史が作られる瞬間の、緊迫のドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 請求記号 559.7/A 15

  • 題名とはかなり違う地味な内容でスタートする
    科学者の好奇心に社会的地位の獲得競争と
    開発に対する自己責任との内的格闘が前半にあって
    戦争と武器に絡んだ後半で為政者と軍人に巻き込まれた
    科学書の精神性と現実の恐怖のせめぎ合いとなる

    時間が経ったせいもあって
    開示された極秘の資料や個人的な情報まで網羅されているので
    今まで知り得なかった部分によって新たな判断を導き出せる

    ウランは神からの贈り物なのか悪魔の誘惑なのかと
    相変わらず自分抜きの一神教で責任逃れをしようとしているのか
    平和を理由にしながら核開発を競って矛盾する科学者達と
    勝ち負けがもたらす恐怖によって核に頼ろうとする為政者たちの
    愚かな姿が浮き彫りになっている

    この本で読みとれるのは建前と本音が交差する心と頭の中で
    近視眼的物欲である本音の部分が先行して
    屁理屈をこねた正当化による開発の優先と責任逃避の記録である
    と同時に本の作者の解釈によって偏った評価が先導している

    残念ながらドキュメントに徹することができずに
    社会性に媚びた情が語ってしまった若干色付けされた
    内容となっている

  • 地球上で最も重い元素であるウランの秘密を解き明かそうと懸命に努力した科学者たちと、ウランを使った核分裂とその連鎖反応のプロセスが、「マンハッタン計画」による原子爆弾の開発につながる様子を克明に描いている。「マンハッタン計画」の裏側を丹念に調べ上げ、総仕上げである広島・長崎の原子爆弾の投下はまったく必要がなかったと著者は断言している。大半のアメリカ人にとって、「原爆の使用が多くのアメリカ人、日本人の命を救った」という解釈が一般的ときくが、同じアメリカ人である著者は、この説に真っ向から反対の立場をとっている。
    著者は、ドイツにとどまってナチスドイツの原爆開発に協力されたとされる科学者ハイゼンベルグの行動にも焦点を当てている。著者は1970年代UCバークレー校でハイゼンベルグ本人にめぐり合うことがある。若い学生にとって、ハイゼンベルグの創造的な才能と量子論の解釈に魅了されたと言うが、しかし、この天才の人生に暗い影があったことを浮かび上がらせた。本著の中で、(人類が原子爆弾製造の競争を回避する可能性が)「失われてしまったのはハイゼンベルグの頑固さのせいだった。」と断じている。

  • 題名の通り,第二次世界大戦中に研究開発された原子爆弾についてのお話.

    FermiやHeisenbergなど世界的に有名な物理学者がたくさんでてくる.
    それほど,当時は核物理学がホットな分野だったのであろう.

    核物理学(ウランの発見から)の発展と原子核の軍事的な利用までのいきさつを史実に基づき書かれている.

    教養として知っておく必要のある話題であると思う.

  • 2010.02.28 日本経済新聞で紹介されました。
    2010.03.14 朝日新聞で紹介されました。

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