飢えたピラニアと泳いでみた へんであぶない生きもの紀行

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791765577

作品紹介・あらすじ

「人食いピラニア」の伝説は本当か?チーターを飼うことはできるのか?毒アリの「一生忘れられないような痛み」とはどんなものか?珍獣にも負けない強烈な個性の持ち主たちが、体を張って挑戦してみた!死をも恐れぬ好奇心で、驚きの事実を明らかにする大冒険。

感想・レビュー・書評

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  • 動物ジャーナリストの体当たり体験記。
    題名と行動は砕けているけれど文体は割と真面目というか硬い感じで、読みながら「笑っていいのか…?」と感じることが。
    これは案外著者が真面目なのか、翻訳者の文体が硬いのか?

    冒頭で著者は自分を「旅する物書き」と称し、仕事内容…というか人生を綴る。
    「地球上で最も遠く、最もワイルドで、最奇妙で、時に美しい場所を訪れ、ほとんど何でも一回は試す覚悟が必要とされる。
    食事付きだが、キリンのジャーキー、イボイノシシのソーセージ、そして時々付け合せに甲虫の幼虫が出ることもある。
    ウガンダの西部の泥壁のホテル、善宿泊者に対して一か所の共同トイレ付、たしかにそれはトイレではなく、床にあけた穴に過ぎないかもしれませんが、たしかに宿泊中に腸管寄生虫という胃腸疾患に一週間やられて完全な液状化に近い状態を体験することになるかもしれませんが。
    この仕事はほとんどの人が夢見るしかない荘厳な美しさの瞬間を提供する。五〇年物のパイパー・カブでリオグランデを低空飛行で飛ぶと翼の先端には、ベニヘラサギが午後の日差しの中で翼のある花のように流線型で美しい姿を見せる。ベネズエラのリャノスでは沼地の道路沿いの木々にシラサギが明るく白いクリスマスの飾りのように群がり、近づくと雲のように飛び立ち通り過ぎると背後に舞い降りる。ある朝ヒマラヤで目を覚ますと、雲が広大で神秘的な川になって高山の間の谷を流れ、滝になって落ちる天使のように断崖を越えて深淵に落ちてゆく。
    そのような瞬間には地球上でもっとも幸運な人間だと思うことだろう。
    あなたが追い求めているのはこのような生き方だろうか」(P9より抜粋)

    本文は動物取材記録。
    印象的だった記述内容はこんな感じ。

    ❐野犬(ワイルドドッグ)
    ボツワナのリカオンは、群れで暮らして、仲間思いで、地表をかすめて飛ぶように狩りをする。
    「アフリカンワイルドドッグ」という名前のせいで、道に迷ったイヌのような印象になってしまっているのは残念だ。
    人間の家畜を襲うため、駆逐の対象となり、今では数が減ってしまった。

    ❐網の上の生活
    蜘蛛がどのように巣を張り、巣を移動するのか、蜘蛛にコーンスターチを掛けて調べてみた。
    蜘蛛は、ゆっくり動き、そしてどこにも行きつかないものだ。
    だから著者は、蜘蛛になりたい!と思い、ロッククライミング施設で縄を張ってみて、蜘蛛を体験してみた。

    ❐良い名前の価値
    新種の動物を発見した場合、発見者には命名の権利が与えられる。
    しかし寄生虫に自分の名前を付くことはそんなに嬉しいだろうか?
    発見者たちは普通の命名に飽きて、駄洒落や皮肉を取り入れた。ちょっと悪ふざけが遣り過ぎになってきた。

    ❐昆虫写真家が取る人物写真から考える彼の世界観
    昆虫写真家が、著者(リチャード・コニフ)の血を吸った蚊の写真を撮って言った。
    「これが、僕の考える仕事の最中の著者の写真だ」

    ❐青い血液
    カブトガニの血液は重要な医薬品の供給源として商業的に取引されている。
    カブトガニは日常的に捕まえられ研究所に送られ、増えすぎて漁に支障をきたすときは駆逐されてきた。
    しかしカブトガニ保護活動が起こり、人間とカブトガニとの関係に思いがけない変転が訪れている。

    ❐痛みの王者
    昆虫から刺された時の痛みの研究家がいる。
    この章は読みながら「うひゃあ…(><)」と思った(笑)

    ❐騒がしいハチドリ
    ハチドリはその外見から生物というより妖精の仲間のようなロマンチックな思いを抱かせる。
    しかしハチドリは生きるために膨大な量の花の蜜を吸わなければいけない。
    そのために、せかせかして気難しくて言い争いの絶えない高速回転の暮らしを強いられている。
    ハチドリは、周りの事を強く意識し、一日の間の個々の花の事を実際におぼえている。

    ❐スニーキーなセックス
    子孫を残すためには大きくてマッチョな雄が有利だとされている。
    しかしそれならなぜ弱い雄たちの遺伝子たちは無くならないのだろう。
    それには、大きくてマッチョな“ミスター・ビッグ”たちの隙をついて雌とセックスのチャンスを得ている“サテライト雄(衛星のように周囲に付きまとう雄)”や、“スニーカー(こそこそ行動する雄)”たちがいるからだ。
    この章では、強くて大きいミスター・ビッグの生き辛さ、弱っこいスニーカーたちの生き方が語られている。

    ❐沼のもの(スワンプシング)
    カミツキガメは一見醜悪な風貌と、目の前のものは何でも噛み付く習性から、人にも危害を為すとされて駆逐されてきた。
    しかし彼らの歯はそこまで頑丈ではない。

    ❐ジェリーベリー
    クラゲは身体を作るゼリー状物質と、その姿形を生き方に仕上げている。
    クラゲの体は事実上組織化された海水で、透明であること衣より防御の役割を果たしている。
    クラゲは身体を収縮させて水を噴出させることはできるが体を元の形に戻す筋肉を持っていないので、代わりに粘液にコラーゲンが詰まった形状記憶上の物質を持っている
    …という趣旨だと思うんだけど、読んでいる私がよく理解できず…
    そしてクラゲを捕食するほかの生物たちは、クラゲを飲み込み、栄養物質だけを残し海水を吐き出すことをする。
    「地球上で計測された地球最大の生物は40mのクラゲ」(その記録が破られていないなら)だけれども、幅は人間の手首くらいしかない。

    ❐ピラニアが欲しいのは美味しい尻尾だけ
    だからピラニアを入れた水槽に餌付けのために入ってみた。
    …しかしピラニアたちは隅っこに固まるだけ。
    次に恐怖伝説のピラニアの実像を試すべくアマゾンに行ってみた。
    ピラニアが実際に好むのは、他の魚や動物たちの尻尾の部分を齧り取ること、死んだ動物の肉を突く頃。死んだ人間を食べることもあるから、「人の性器を齧り取る恐怖の魚」「恐怖の人喰いピラニア」の伝説となってしまったのだろう。
    しかし実際には、人間がピラニアの胃袋に入るより、ピラニアが人間の胃袋に入る方がはるかに多いんだけどね。

    ❐親しい友
    人間や動物と近しい関係を続けるノミやシラミについて…。

  • やっと読了。
    著者はテレビ出演もこなすサイエンスライターらしく、おそらくファニーな語り口なのだろうと思う。
    擬人化や比喩もてんこ盛り。
    ただ、私はがっつり日本人なので、前提知識がないし、訳者がつけてくれた註もうっとうしく感じたりして読みにくいったらなかった。(訳者もこれは懸念しながらつけたようだ)
    でも註がないとその単語が地名なのか人名なのか動物の種別なのか個体の名前なのかがわからない……(T_T)
    各種媒体に発表されたコラムが中心なので、それぞれそんなに長くはないですが、文章が結構長めで詰まってます。

    表題は後ろから3番目に収録。ピラニアが噛みつくのは嘘ではないけれど、種類にもよるし、普通は美味しい尻尾や背びれを齧るだけ。
    死肉にはたかるけど、生き物相手だとこそこそチャンスをうかがって、ちょっとちぎって逃げるを繰り返す、というのが実態。
    でもちょっとドキドキするね。というお話。

    装丁 / 桂川 潤
    原題 / "Swimming with Piranhas at Feeding Time : My Life Doing Dumb Stuff with Animals"(2009)
    初出 / 『オーデュボン』『ディスカバー』『ナショナルジオグラフィック』『アウトサイド』『スミソニアン』『ヤンキー』

  •  「旅する物書き募集」。応募条件は、1カ所しかトイレがない泥壁のホテルに泊まり、イノシシのソーセージを食し(甲虫の幼虫添え)、徒歩でサン族とヒョウを追える人。この求人に名乗りをあげた著者は、ボツワナでリカオン(イヌ科の肉食獣)とくつろぎ、ピラニアとアマゾン川で泳ぎ、アメリカのルイジアナで43kgのワニガメを持ち上げる。当然のことながら、行く先々で著者は相当痛々しい災難に見舞われるのだが、科学とユーモアと巧みな観察力とで綴ったこの体験記にまったく怨言はなく、著者が心からこの仕事を楽しんでいるのが伝わってくる。
     「恐れることは死ぬことではない」というバコンジョ族の格言を胸に、著者は今日も自然史の奇妙な世界を旅している。

  • この著者の本、又、この翻訳者の翻訳本も数冊か読んだことがありますが、今回は「ちょっと、まいった」という感じです。

    内容は、他の方が書いていらっしゃるので割愛しますが、非常に読み辛かったです。

    著者の意向なのか、翻訳者の意向なのか、はたまた、出版社の意向なのかはわかりませんが、
    訳注、もしくは、語義が、文中のその単語ごとの後ろに、毎度カッコ( )書きで書かれていて、次に来る文書にたどり着くのに非常に苦労しました。
    難しい、マニアックな単語が多く出てくるのは否めませんが、
    訳注(か、語義)は、各章ごとの終わりにまとめて載せる、とか、
    語義が原因ならば、もう少し工夫して解りやすい言葉を使う、とかすれば一般の読者にも読みやすかったのではないかな、と思いました。

    内容は、「とても”アメリカン”」で好き嫌いがあるかもしれませんが、エッセイ、として興味深いものがありました。

  • 途中まで。
    タイトルの「泳いで『みた』」、「いきもの『紀行』」というのがすべて。思っていたより散漫かつ散文的で、自然科学系ノンフィクションだとばかり思っていたこちらの気持ちはスカされた。
    肌が合う人は合うのだろうが、この手のものは何かを知りたくて読む私には期待はずれだった。

    2020/1/2~

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB02966941

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:480.4||C
    資料ID:95110063

  • 表題から想像するよりはずっと真面目な内容。だがやはりアメリカ人タフガイのやる奇行にはちがいない。なにも身を捨てるというやり方で生物と接しなくてよいと思うが。
    痛みの指標を作った男、ピラニアの話が面白かった。ピラニアが密集した池では泳がないようにしよう。

  • 著者がすごくチャレンジャーでいろいろなことをしていて、面白いと思った。

  • ピラニアはやっぱり安全な動物だという事が分かった。
    怖い印象を与えたのは、ジェームズ・キャメロンのせい?笑

  • まだ、読み途中ですが、途中の感想。
    翻訳がおかしく無いですか?
    口語を上手く日本語に出来ないのかも知れませんが。
    たまに理解出来ません。

  • 興味ひかれる内容。面白い。

  • 筆者も含めた研究馬鹿や興味馬鹿がかなり出てくる(学名に自分と恋人の状況を付けたり、皮膚で寄生虫を飼ったり) しかし、自然と人間の共生の現状などにも触れていて、笑えるだけでなくためになる本。

  • 遠い知らない世界の話だ、と夢見心地で気持よく読む。読み終わると、特別な体験をしたかのような気分の後に、それは実は特別な体験なんかじゃなくて、生きている生物としては、当たり前の生きている現実なんだ、という、忘れかけたナマの感覚が痛みを含んで流れていくことに気がつく。
    つまりは、生きていることへの極上の回帰の旅、ということだ。

  • 生き物も、それを観察する研究者の情熱も興味深い。しかし、翻訳が読み下しにくいのが残念だ。

  • 少しダラダラ感が否めないがおもしろかった!
    というよりもあらゆる面で痛い本である。

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