暴力 6つの斜めからの省察

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791765737

作品紹介・あらすじ

紛争・衝突と内戦、テロと暴動そして流血だけが悲惨なのか。貧困と暴力にきめこまかに心を配る一方で、グローバリズムに邁進する政治・経済システムから大胆に搾取するリベラル・コミュニストの欺瞞こそが、今日の暴力の最たるものではないのか。ポスト資本主義時代の"暴力"の諸相を根源から捉え直す、創見溢れる論考。

感想・レビュー・書評

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  • ジジェクの暴力と寛容についての本。ジジェクは政治的な内容よりも映画とかの方が面白いな。

  • 時々ビックリするようなことを言っているので面白い、難しかった

  •  哲学者や思想家って、ホント、言葉遊びの世界だよなーと思いながら拝読。
     ジジェクの本作は、現代のポップカルチャー(映画や小説家のインタビュー等)を例に引き、ある程度の理解しやすさを持っている。
     が、基本的には生活者の思惟から乖離した、観念世界のことばを用いての世界の分析。本書では『暴力』を『現実に現れた行為』よりも、『システム的暴力』という深層で分析し、新たな物の見方に光を当てている。

     そう、新たな物の見方に光を当てています!
     でもこれって、世界の大半を動かす生活者、20年くらいで成人として世の中に放り出される人々の『物の見方』とは乖離してますし、当然そうした俗人の心に響くもの言いでもない。

     頼むから二重否定以外の書き方をしてくれ。

     最終章で例に引かれる小説、ジョゼ・サラマーゴの小説『見ること』の例は酷かった。
     「なにもしないこと」がシステム的暴力(国家システム、資本主義システムetc.)に対抗する「もっとも暴力的な行為」になると言及しているが……。
     そういう絵空事はいいから。
     本当に思考実験でしかないから。
     これまでの章では、暴動や歴史的出来事等、現実に起きた事例を引いてきていたのに、最終章でよりによって小説かよ、である。
     もっとも他の章でも、創作を引用した例はあるから、小説を題材にしたこと自体は、特に批判すべきもなかろう。
     ただただ、現実の国で起きている票の買収や利益誘導、恫喝行為に対し、何の役にも立たないことを書いてあるだけだ。

     村人全員バスにのせられて、行った先でポスターを前に、
    「この候補に投票するんだぞ。票の数がお前たちの人数より少なかったら、一票少ない分、お前らを一人ずつ無作為に殺す」
     と脅される社会に生きている人々に、本書で提示されたジジェクの論考は有効な『暴力』にはなり得ない。示し合わせて白紙投票しても、全員殺されるのがオチである(しかもそのことはほとんど話題にならないだろう。アフリカの国で起きた選挙不正の細かい内容が、日本のニュースにならない様に)。

     肩透かしを食らった気分で読了した。
     哲学を新たな象牙塔のゲームとして遊ぶには面白い内容だ。
     現実の生活者に実効性ある思想、理解可能な語りではないという評価であり、平凡な星3つとしたい。

  • 【メモ】「残虐性なき愛は無力であり、愛なき残虐性は盲目である、それは持続力を失い短命の情熱で終わる」(248)。リベラル的慈善行為という欺瞞的暴力、原理主義という似非宗教的暴力を越えた先にジジェクが見ているのは、「純粋な暴力の領域、法(法的権力)の外部の領域、法措定的でも法維持的でもない暴力の領域」、憎しみをもって愛するという「愛の領域」(249)である。

  • 登録番号:5

  • 正月早々にジジェクを読むという…。

    ジジェクの「暴力」観はどことなくハイエクの「自由」観(特に消極的自由)に通じるところがある。フーコーの権力装置とかもそんな話だったろうか。

  • 読んだ。

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著者プロフィール

1949年、スロヴァニア生まれ。
リュブリアナ大学社会学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック校国際ディレクター。
ラカン派マルクス主義者として現代政治、哲学、精神分析、文化批評など多彩な活動をつづける。
翻訳された著書に、『終焉の時代を生きる』(国文社)、『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)、
『パララックス・ヴュー』(作品社)、『大義を忘れるな』『暴力』(ともに青土社)、
『ロベスピエール/毛沢東』(河出文庫)など多数。

「2013年 『2011 危うく夢見た一年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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