文学館を考える 文学館学序説のためのエスキス

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  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791765911

作品紹介・あらすじ

文学者の遺稿、初出誌、初版、遺品等、文学者の息遣いを伝える文学遺産にどう対処すべきか。そのために文学館は何をすべきか。文学館の理念、施設から運営の実務にいたるまでのあらゆる問題を系統的、網羅的、具体的に検討し、省察したわが国で初めての文学館論。図書を愛する人びとに必携の書。

感想・レビュー・書評

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  • 資料ID:21101162
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  •  郷土ゆかりの文学館ができれば文学活動が盛り上がるわけではない。文学者の生涯の業績を追った常設展のスペースを広くとりすぎると、リピーターに飽きられて閉古鳥が鳴く。よって新鮮な企画展を打ち出し続けねばならないが、予備知識のない人々にも魅力的な企画でなければ人が来ない。人気のある文学者は漱石や啄木、太宰や賢治など限られている。入場料収入では、総支出の一~二割しか賄えないのが普通だ。

     しかし、文化は多くの場合、採算の取れる場から生まれるものではない、と日本近代文学館の名誉館長である著者はいう。文学館は、まず資料を充実させ、自然光で劣化しやすい資料の安全、確実な保存のために収蔵庫を広くとるべし。古書の購入や、遺稿や遺品類の寄贈と寄託など、運営面でまだまだ努力と工夫が足りないとも。話題を呼びそうな企画展のアイデアがずらりと列挙されるあたりに、著者の文学館への励ましを見た。

    (週刊朝日 2011/5/6-13 西條博子)

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著者プロフィール

昭和37年生まれ。広島県出身。東京大学法学部卒。
昭和61年に通商産業省(現・経済産業省)に入省。技術開発、情報システム開発、知的財産保護、オゾン層保護対策に携わり、平成5年から8年まで在ポーランド日本国大使館一等書記官としてワルシャワに駐在。帰国後は、航空機武器産業、原子力安全、環境・企業立地などを担当した後、石油公団総務課長、中東アフリカ室長、大臣官房参事官、石油流通課長を務めた。地方へは、近畿経済産業局の総務課長と総務企画部長として大阪で2回勤務し、兵庫県庁出向(産業振興局長と産業労働部長)で神戸にも赴任した。平成25年夏から平成28年夏まで独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 参事・戦略企画部長。

「2016年 『何が「地方」を起こすのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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