ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略

著者 :
  • 青土社
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本棚登録 : 177
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766499

作品紹介・あらすじ

『生徒会の一存』 『バカとテストと召喚獣』『とらドラ!』 『ゼロの使い魔』『とある魔術の禁書目録インデックス』『鋼殻のレギオス』そして 『涼宮ハルヒの憂鬱』・・・・・・。
シリーズ累計で数百万部を売り上げ、いまもっとも読者を獲得しているジャンルであるライトノベルから、作品論、メディア論、顧客分析、競争環境分析を駆使して、市場で勝つ戦略までを解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 「言語は思考を制限する」と言うけど、昨今のポップカルチャーを考えようとしたとき、語るべき言葉がないことに焦る。

    ライトノベルにしても、一般文芸と比較したり対置させることで語られることはあっても、真っ向から批評されたものは存在しない。

    本書では、例えば東浩紀さんの『動物化するポストモダン』と『ゲーム的リアリズムの誕生』を汲んだうえで、その批評を補強するかたちで否定している。

    意訳すると、「一部のコアなファン向けの作品ばかり。それでは実際に読まれている本来のライトノベルを何も説明できていない」という提言。

    そして、“ライトノベルは「作品」としても「商品」としても、おもしろい” と強く主張する。

    目からウロボロス! たしかにそうだ。そこが面白いのだ。

    ベストセラー作品のみを扱い、マーケティング面から「作品」を読み解くことが、ライトノベルという「商品」の批評を可能にし、「語るべき言葉」を得ている。

    大学の教科書ぐらいの厚さだが、分析は多岐にわたり、面白いデータで飽きさせずエキサイティングに読ませる良書だった。

    あとがきも情熱的で胸熱。

    • まろんさん
      おお!
      知り合いに、卒論でラノベをテーマに書こうとしてる子がいるので
      ぜひ薦めてみます!
      おお!
      知り合いに、卒論でラノベをテーマに書こうとしてる子がいるので
      ぜひ薦めてみます!
      2012/05/31
    • phondaさん
      留年をくり返し、卒論も書かずに除籍ギリギリで卒業した僕が言うのもなんですが、
      これ1冊でかなりのことがカバーできると思いますよ!
      留年をくり返し、卒論も書かずに除籍ギリギリで卒業した僕が言うのもなんですが、
      これ1冊でかなりのことがカバーできると思いますよ!
      2012/05/31
  • amazonで1位になったライトノベルを読み続け、ライトノベルの商業的な価値の源泉を分析している。
    売れているラノベとそうでないものはどこが違うのか、ラノベとその他文芸は何が違うのか等を、経営学的な視点を持ちつつ、あくまで文芸評論として論じた一冊。

    出版年は2012年。2016年現在、状況はすでに推移しており、やや古いと感じる点はある。
    しかし、ラノベ、ひいてはオタク文化界隈に関わるつもりがある人間は、読んで損はないのではないかと感じた。

    あとがきに述べられた著者の思いに深く感じるところがあった。あとがきまで読み落とさず読んでおきたい本である。

  • 評論

  • 単純にライトノベル一作品の作品論に終始するのではなく、ライトノベル自体を経済のシステムの中で機能する明確な一商品として分析している点が非常に良かった。私自身、本著の中でも取り扱われたクーンツのメソドロジーに強く共感していたのもあり、その理論をライトノベルの分野に最適化している、そしてライトノベルのみに限らない顧客層としてのオタク像を正確に分析しようとする姿勢に共感を覚えた。 著者の言うようにこの方法論に則ったからと言って成功するというわけではないだろうが、作り手が持つべき意識を明確にした点を評価したい。

  • 本格的にマーケティング分析がしてあって大変参考になる。

  • 話題となったライトノベルをいくつか読むも、いつもあまり感情移入が出来ず不思議に思ってましたが、その理由が分かりました。

    ライトノベルとはある特定の読者を狙った戦略的な作品なので、幅広い読者層には受け入れられなくて当然であるといった事が非常に詳しく書いてあり成程と思うことが多かった。
    また、代表的な作品も多く紹介されているので、まずは何のライトノベルを読むか迷われている方が入門書として読んでもいいと思います。

  • おおむね内容はよいと感じるものの、ちらほらと首を大いに傾げる部分がバグのように組み込まれているのでこの星の数に。全体的に「外」から見た印象があり、内容そのものはともかく出発点や真意には疑問が感じられるところだし、想定読者はどんな人なのだろう。あと蒲地って誰

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】910.264||I【資料ID】91124118

  • 本書によれば「ハルヒは悪いツンデレ」だとか。すなわちルイズのように劣等感からくるツンがあると良いツンデレ(ツンデレたる理由がある)なのだが、ハルヒにはそのようなマイナス面がない。つまりハルヒはツンデレでなくただのワガママ女であり最強は長門だということです。ハルヒ好きはマゾヒストか外見しか見てないかからあげ。

  • ライトノベルをベースにビジネス•メソッドを真面目に論じているところが笑える。分析は面白く、示唆に富んでおり、納得感もなかなかある。

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著者プロフィール

ライター。1982年青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。出版社にてカルチャー誌や小説の編集者を経て、独立。マーケティング的視点と批評的観点からウェブカルチャー、出版産業、子どもの本、マンガ等について取材、調査、執筆している。単著に『いま、子どもの本が売れる理由』『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ライトノベル・クロニクル2010ー2021』(Pヴァイン)など。

「2022年 『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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