子育てが終わらない 「30歳成人」時代の家族論

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766581

作品紹介・あらすじ

子どもが中高年になっても「子どもは子ども」。そんな親子関係でほんとうに大丈夫?ひきこもりの高齢化問題も深刻化するこの国で、これからの家族はどうあるべきか?正しい「親」のやめかた。第一線で活躍するキャリアカウンセラーと精神科医が徹底討論。

感想・レビュー・書評

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  • 「よい結果を早く決めなければならない」という思いに縛られている。
    自分で決められたものでよいという風にはならなくて、皆がよいと思う決断が最善であって、自分で決めてよいのだという発想を持っていない。

    アドラー心理学「アイメッセージ」
    私はこう思う。私はこう感じた。
    あなたはそう思うんだね。
    ⇨感情の受け止め合い、ジャッジをしない

    I'm OK, 私は私でいい
    I'm not OK, you're OK 私はダメ、貴方はいい
    I'm OK, you're OK 私もいい、貴方もいい
    ⇨自信の構造、無条件の承認、親密な人間関係のなかでの承認が基盤となる

    呼び方の関係性
    夫婦間の呼び名 ×お父さん、お母さん
    家族間の呼び名 ×母⇨息子 「お兄ちゃん」

    成長における転機、イベント
    ⇆インイベント=引きこもり、中退、いじめなど
    インイベントを克服できると伝えることこそ大切

    not 以心伝心、他人任せ、先回りで回避してあげる⇨沢山のお喋りを

    問題解決のためのコミュニケーション不全の5パターン
    1 決めつけ 貴方はこうでしょ
    2 逃げ もういいよ
    3 分担 あなたはコレをして、私はアレするから
    4 威圧 何でやってくれないの
    5 提案 自分の意見押し付け

    横並びコミュニケーション
    一緒に同じことをして関係を深める
    「やってみせること」「誘いかけ」

    お願い、誘いに結果を期待しない
    その都度お願いする⇨体験の共有

    ×何でもいい

  • 対談をその場にいるような感覚で読み進めた。
    章ごとにまとめがあり、ポイントをおさえた見出し。

    覚書
    精神年齢は7掛け
    社会が成熟化すると個人が未成熟化する
    厚労省が若者の定義をおおむね34歳から39歳までに
    日本の家族の3大タブー お金 死 性
    自信を支えるのは社会的地位 業績 人間関係のネットワーク
    日本の家庭は母子密着+父親疎外
    社会的排除の形はひきこもりとホームレス
    コミュニケーション不全 決め付け 逃げ 分担 威圧 提案
    節目ごとに親子関係のメンテナンス 契約と交渉

  • 冒頭の話題からですが、社会の成熟化が人間を未成熟化させる、ってのはいい言葉だなーと思いまして、ひきこもりの問題を個人の資質に帰することに風潮に対してとても有効な反論になるんではないかと思います。まあでもそれを受け止められない社会への適応性だけが特技の人たちというのがいて、いつまでも平行線を辿るのでしょうが。対談形式ということでテーマは設定されつつもどうも話が前後するような形でまとめづらいんですが、その全ての前提としてこの話を捉えておかないといけないという感じです。

  • 何歳まで面倒を見るか話し合って決めておくことが大事。なるほど。

  • 子育てが始まったばかりの身としては、育児の終了というのはまだまだ先だ。
    今は、愛情と手間をたくさんかけましょう、の時期なので遠い先の話ではある。
    しかし、そうやっているうちにあっという間に「大人」の時期がやってくる。
    未来を見据えてちょっと勉強してみようか。

    私は24の時に実家を追い出された。
    つまらない喧嘩がきっかけだったが、あの経験がなければ独り立ちはもう少し遅かっただろう。
    とはいえ、20歳で成人のはずだし、今や18歳で選挙権が与えられるというのに、私たちはきちんと大人になれているだろうか。

    親子でくだらない会話をするのが大事だという(36頁〜)。
    大事な話をする素地になるようだ。
    確かに考えてみれば、昔からの友人にはくだらない話をしていた。
    そのくだらない話の積み重ねで「親友」(私は恥ずかしくてその親友たちに親友だと言えないでいるが)になったように思う。
    それと同じことのはずなのに、どうも家族というのは近すぎるせいかうまくいかないようだ。

    ”何でもいい”をやめる(108頁〜)。
    これは特に男性にはしっかりと受け止めてほしい。
    仕事をしていて思うのだが、男性、特に中年以上になると単語だけで会話を成り立たせようとする。
    こちらが単語で返したらきっと「サービスが悪い」と苦情の一つも入れるだろうに。
    相手が自分の状況を説明しない限り、こちらも回答してはいけない。
    これはなかなか目新しい、でも実は皆が薄々感じていたことではないだろうか。
    言わなければわからない。
    当たり前だ。
    以心伝心も美徳には違いないが、私以外他人なのだから。

    本書はとてもユニークな本だ。
    日本的な親子の密着をどう変えていくかを具体化していて面白い。
    世間体を気にしながら子供の面倒をずっと見る、本書の言い方だと「ツンデレ」、これは良くないようだ。
    親が子を思うなら、ある一定の期限を決めて、ダラダラさせない、これが双方のためになる。
    このことを気にしながらあと10年、20年後に振り返ってみたい。できれば本書の内容が、うちには参考にならないな、と笑って言ってしまえるように。

  • 正しい「親」のやめかた。備忘録としてーーー親子間、特に思春期を過ぎた子供との関係においての「以心伝心」は、子供を退行させる。お互い、しっかり会話し、希望や欲求を表現すること。

  • 子どもがいる身としては、何が怖いって(死んだり大病、大けが以外)、将来子どもが自立できないこと。
    引きこもりの子を持つ家族のカウンセリングを行っている小島貴子に、斎藤環がインタビューする形式の本。
    読みやすいし、子育てをする上で気をつけなければいけないことが書いてあって、参考になる。
    が、すでに子どもがひきこもり、ニート(予備軍含む)の場合は、やはり個別にカウンセリングを受けないとわからないことも多いだろう。
    また、小島さんのように頼れる、素晴らしいカウンセラーに巡り合えるのかという不安もある。
    とりあえず、この本に書いてあることを、頭に入れておきたい。

  • 自己回復の一冊(でも少し柔らかめ)。内容としては親から子へのコミュニケーションと親子の関係性の変化を考えていくもの。でも読みながら、子から親へのコミュニケーションになるとまた言い方を考えないといけないのではという感じである。明らかにまずいコミュニケーションをしていることを本人に自覚させるのは難しい。

  • 業界横断的カウンセラー対談。実際のケースでは四十、五十歳代ひきこもり息子なども珍しくなくなってきており、もともとの表題もそのようだったという。
    モラトリアムやアイデンティティといった近代輸入概念を解体し、かといって家父長的な幻想の懐古でもなく、「選択の時代」における実践的な家族(親子)のあり方を提案している。
    ドロップアウトが内に向かえば「ひきこもり」(日、韓、伊)、外へ出れば「ホームレス(英、米、仏)」になるという諸外国間比較は意外と見落としがちで、視野拡張に一役買った。
    リミットは年齢(量)よりも役割(質)の方に掛ける、社会的に困難な面もあれど少なくとも関係性ではそう意識してみてほしいという部分で"成仏"の緩やかに着地するイメージが想起された。

  • 幼児期の子育て本は無数にある。思春期の子育て本も、ぐっと数は減るが、ある。では20歳以降の「子育て」本は?・・・「え?」と思いますね。
    家にひきこもりの子どもを抱える親は、たとえその子どもが40歳であっても「うちの子は…」と話す人が多いという。成人した子どもと親の関係を考え直すことが主旨であること、著者のひとりがその分野の医師であることから「ひきこもり」の事例が多いが、そうでない家庭にとっても非常に示唆に富んだ内容。
    キャリアカウンセラーと精神科医の対談。2人の息子を育てた著者の言葉は厚みがあり説得力が違う。

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著者プロフィール

東洋大学理工学部生体医工学科准教授。キャリアカウンセラー。
1958年、福岡県に生まれる。埼玉県庁職業訓練指導員、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任准教授、東洋大学経営学部経営学科准教授などを経て、現在に至る。多数の企業で採用・人材コンサルタントおよびプログラム作成と講師を務める。多様性キャリア研究所所長。株式会社Ageless社外取締役。
著書には『就職迷子の若者たち』(集英社新書)、『働く意味』(幻冬舎新書)、『天職力と転職力』(角川SSC新書)、『子育てが終わらない』(斎藤環との共著・青土社)などがある。

「2017年 『女50歳からの100歳人生の生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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