文学賞の光と影

著者 :
  • 青土社
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本棚登録 : 60
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766598

作品紹介・あらすじ

文学に関心を持ち始めた高校一年の頃、ほぼ同時に文学賞にも関心を持って、レポート用紙に、各種文学賞の受賞者・受賞作一覧を作っていた。もちろんその頃は、いずれ自分の名前もそこに載るということを夢見ていたのであるが…。文学賞マニアにして作家、小谷野敦による文学賞研究のすべて。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだきっかけはトヨザキ書評集から。あと、本作者の題材選びが秀逸だというのは以前から思っていて、その文学論なら是非読んでみたいと思って。各文学賞受賞作品を並べただけと言ってしまえばそれまでなんだけど、受賞に至る裏事情とか、週刊誌的ネタとかも盛り込まれていて飽きない。他の著作でも感じたことだけど、主語述語の着地点が見えづらかったり、一度読んだだけだとすんなり入ってこないところも散見されはするんですが。

  • 箇条書きで。

    ・西村京太郎が書いた「女王」のモデルの山村美紗が欲しかったのは江戸川乱歩賞(か日本推理作家協会賞)で、小谷野さんがここで予想する直木賞ではないと思う。ミステリとSFは詳しくないね。

    ・ホモファビアと思われている石原慎太郎が、芥川賞選考委員時代に福島次郎「バスタオル」を高く評価していたこと(宮本輝と氏の二人だけがこれを受賞作に推したとのこと)。

    ・夫婦作家のところで小泉喜美子と生島治郎の話題で気になったところ。生島治郎の再婚の経緯を書いたベストセラー「片翼だけの天使」のソープ嬢を「フィリピンから来た」というのは間違いで、再婚相手の国籍は韓国。(在日か半島から稼ぐために来たかは忘れたけど、フィリピーノでないのは確か)。

    ・初耳だった、ある有名男性作家二人のゲイ説。「風流夢譚」の人と「桃尻娘」の人。三島と福島次郎はいわずもがなだけど。

    直木賞オタクのサイト「直木賞のすべて」の作者でアンソロジー編や単行本も出している川口則弘さんと、「文学賞めった斬り!」の豊崎由美さんを誉めている(謝辞を捧げているかのよう)のは、こういう本書くのに滅茶苦茶参考になって助かったんだろうなあ。

  • まあこんなことを高校生の時から調べ続けたとはご苦労様です。
    読んでるうちにどうでもよくなってくるね。
    賞がとれるかどうかは書いてる人には大問題なのだろうけど、読み手にはその本が自分にとっていいかどうかがすべてなんだから。
    まあ、話題になれば、今まで知らなかった作家や作品に出会うきっかけにはなるけど。
    それにしてもどの本でも、こだわる点は変わらず、学歴や(女性の場合は)ルックス。自分も東大出てるんだから鷹揚に構えてりゃいいのに、いつもいつも学歴にこだわるのは情けない。(まあ東大出てるからこそ他人の学歴を値踏してもいい地位にいると考えていることもあるだろうけど。)
    読まなきゃよかった。

  • さまざまな文学賞と受賞者について語られた本。
    「なぜ受賞したかわからない」とか書かれてたりしますが、その辺りも含めてエンターテインメントと思えば楽しめました。

    作家の学歴についての章で、ひたすら出身大学別に作家名が並べられているところとかは、ちょっと斜め読み…表にしても良かったのでは。

  • 帯に「怨念の書」とあり、いろいろな賞の2011年までの受賞者と授賞理由などが書いてあります。本にまとめる上での大変な苦労を思い、それこそ、怨念がなければできなかったのではと敬意を表します。どんな賞であっても、貰う人も貰わない人も、そしてあげる方の人も、等しく人生をすり減らしているのかもしれません。ここに取り上げられた中で、読んでみようと思った本が何冊かありました。出会うきっかけをくれた本書に感謝です。

  • 小谷野さんは芥川賞はあきらめたのかなぁ(笑)。女流作家が美人かどうかを執拗に気にするところなど、小谷野節が炸裂していて面白い。細かいところですごく笑える。この人を嫌う人はけっこう多いけど、人を楽しませる文章を書くことにおいては芸達者な人だと思う。ただし、小説は読んだことがないのでわからない。

  • 結局、筆者自身も文学賞がほしいということなのでしょう。

  • 作家という人種が賞を欲しがるのはなんだか変な気もするが、ある意味役者以上に自分が商品化する側面もあるので、その想いは一般人以上に強く、それが怨念になるのかもしれない。所詮、文学賞には明確な基準はないので、作品の良し悪しだけではなく、書き手に対する感情や商売上の都合やらで決まる部分はあるだろう。今は口コミも発達したので、賞とは関係なく本は選びやすくなっているのかもしれない。
    ニーアカブームが文学界に与えた影響というのはちょっと盲点ではあった。確かに学生時代というのは小説は読まない傾向はあるように思う。世紀末とゼロ年代では学生の読書傾向も違うのかもしれない。
    とにかく無数の作家・作品が登場するので、この世には読んでない本がたくさんあるなあと気づかされるが、いったい何を読めばいいのやら。

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著者プロフィール

1962年茨城県生まれ。本名読み・あつし。東京大学文学部英文科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。1990-92年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学に留学。学術博士(超域文化科学)。大阪大学言語文化部助教授、国際日本文化研究センター客員助教授などを経て、文筆業。文芸批評、小説、演劇、歴史、男女論などフィールドは幅広く、独自の「男性論」を展開。また、論壇・文壇のもたれ合いへの鋭い批判も行なっている。著書に『夏目漱石を江戸から読む』(中公新書)、『江戸幻想批判』『リアリズムの擁護』(新曜社)、『〈男の恋〉の文学史』(朝日選書)、『もてない男』『バカのための読書術』(ちくま新書)、『日本売春史』(新潮選書)、『退屈論』(河出文庫)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『恋愛の昭和史』(文春文庫)など多数。小説に『悲望』『童貞放浪記』(幻冬舎)、『美人作家は二度死ぬ』(論創社)。

「2018年 『江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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