「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

著者 :
  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791767045

感想・レビュー・書評

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  • 社会学ってなんなんだろう
    いまいちわからない
    わからない私には単純に、av女優がどんな仕事をしているのかのルポぐらいに感じられてしまった。
    当初、明確な意思もなくav女優となった女性が働く中で、
    自らなった理由(働き続ける理由?)を語りだす。
    それが性の商品化なんなんだろうか

    つづられるav業界はすごいしっかりしている業界のように思えた
    私の働いている業界(会社?)とは違うなみたいな
    そんなところがどこかお客さん向けの情報を集めただけのようにも思えてしまった。

  • AV女優たちは、自由意志で職業を選択し、働き続けるのだろうか?AV女優たちがより貪欲に仕事の幅を増やしているかのように見えるのはなぜだろうか?AV女優たちの語っているAV女優たる動機は、本心なのだろうか?
    女性目線でAV女優をまじかに見ることによって、本書は、今までにないAV女優の意志、動機、キャリアの形成のあり方に焦点を当てる。

    <目次>
    第一章 饒舌なAV女優
    第二章 性の商品化とセックスワークとAV女優と 彼女たちをめぐる言説史
    第三章 AV女優の仕事
    第四章 面接と語り
    第五章 単体AV女優から企画AV女優へ
    第六章 動機を語る動機
    第七章 おわりに 生きた経験としての性の商品化

  • AV女優について社会学的に分析した一冊。

    これまでAV女優について分析した本は何冊か読んだが、これは当事者が直接内情を語っているだけに非常に貴重。
    個人的には大学の後輩ということもあり、より一層気になった。

  • AV女優という職業の実態を、日々の業務における参与観察を通じて明らかにすることで、自由意志か性暴力か、という二分論的な議論の枠組みを解体し、彼女たちの自由意志が日々の業務の中でどのようにして構築されていくのかという問題に対するきめ細やかな分析をおこなっている本です。

    科学哲学・科学社会学の分野において「ストロング・プログラム」が提唱された頃、実在論と反実在論の間で熱心な、ときに相手方に対する行き過ぎた中傷を含むような論戦がなされてきましたが、ブルーノ・ラトゥールの「実験室人類学」の成果によって、そうした過度に形而上学的な議論は解体され、より洗練された科学の社会的構成の実態に研究者の眼差しが注がれるようになってきました。本書がめざすのも、AV女優という職業に関して、きめ細やかな社会的構成の実態を明らかにするところにあると言えるように思います。

    第2章の研究史についてのサーヴェイは、若干未整理な印象もありますが、このテーマにおける問題の枠組みをおおまかに把握できるようになっています。また第3章は、視聴者には理解しにくい業界の仕組みが分かりやすく解説されていて、単純におもしろく読みました。

    ただし、本書が考察の対象としているのはAV女優という職業を持つ女性たちなので、当然のことながら彼女たちの「自分語り」が彼女たち自身にどのように内面化されていくのかというところに焦点が当てられています。もちろんそれはそれで意義のある議論だとは思いますが、あえてないものねだりをすると、視聴者がAV女優の「自分語り」に何を求めているのか、という問題にも少し目を向けてほしかったように思います。たとえば、森下くるみの自分語りと、現代のAV女優の自分語りでは、明らかに求められているものが違っているように感じているのですが。

  • これって別にAV女優だけに限った話じゃないなと。特にこれといって特別な理由なく今の職に就いたあらゆる人たちについて当てはまる、職業を内面化する過程について語った本だと思う。

  • AV女優が自ら語る、その選択の意志を紐解いていく名著。縦にも横にも現場を観察しながら、彼女たちの思いに耳を傾ける。これを読んだ女性の意見にも興味がある。

  • 2016年1月15日読了。AV女優に関するノンフィクションは色々あるが、「饒舌に自らを語るAV女優」をテーマにしているのは新鮮に感じる。著者が現役AV女優と同世代の女性だからか、「なぜ『普通の女性』がAV女優になったのか?」というテーマ設定がすでに年配のおっさんの発想なのだなと我ながら思う・・・。「性的産業に従事すること自体が反社会的」「自由意志なのだから問題ない」「その自由意志は社会によって強いられたものであり自由意志とはいえない」など色々な観点があるが、自らを饒舌に語ることは、AV女優自身が活動に意義を見出し・製作者側がAV女優のキャラ付けを重視し・視聴者はAV女優側からの情報発信に性的関心を寄せる、と関係者全員の利害が一致した結果求められていることなのだな。それとは別に、AV女優の「キラキラした」感覚については留意しておくべき、か。

  • AV女優がいかに作られてゆくか面白い視点からまとめている。何気なくスカウトに応じた女性が、プロダクション、メーカー、監督などとの数回の面接を介してどのように振る舞えば、いえばよいかを学びAV女優としての考え方、振る舞い方を学ぶ。ギャラが高い単体AV女優から、ギャラが低い企画AV女優になっていく過程も本人たちがさらにAV女優として成長してゆくという気持ちを上手く利用した誘導があるようだ。
    暗い側面(負の側面)に触れずに、たんたんまとめている。
    著者もAV女優だったのかもしれないと想像してしまう。

  • 意外と男の欲求にしたがって「型にはめられている」感じがした。社会学の論文風に書かれているが、内幕ものとして読むのが適切だろう。

  • AV女優になったキッカケはそれほど重要ではなく、動機を自ら作り込み、語り続けることによって真実味を帯びてくる。
    これは、AV女優に限らず、一般的な女優やアイドルでも、キャラを成長させていく点では同じではないだろうか。

    更に発展させて考えると、面接やインタビューがコーチングの役割を果たしていると言える。
    また、彼女たち目指す姿が変化していく様は、マズローの欲求5段階説でかたれると思われる。
    社会学といのであれば、この様な深堀もして欲しかった。

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著者プロフィール

鈴木涼美

作家。1983年東京都生まれ。慶應大環境情報学部在学中にAVデビュー。その後はキャバクラなどに勤務しながら東大大学院社会情報学修士課程修了。修士論文は後に『「AV女優」の社会学』として書籍化。日本経済新聞社記者を経てフリーの文筆業に。書評・映画評から恋愛エッセイまで幅広く執筆。著書に『身体を売ったらサヨウナラ』『可愛くってずるくっていじわるな妹になりたい』『ニッポンのおじさん』『JJとその時代』、『往復書簡 限界から始まる』(上野千鶴子氏との共著)など。

「2022年 『娼婦の本棚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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